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マイ・フェイバリット・ソングス 第33回~ボン・ジョヴィ

(2021年1月改訂版)

僕が中2の頃『Slippery When Wet』が爆発的にヒットしていたので、BON JOVIの音楽はテレビでもラジオでも日常的に流れていました。キャッチ―で分かりやすいカッコよさなので、中学生の僕にとってはハードロックの入口となりました。個人的には彼らのロック・バラードが大好きです。


『Runaway』(1984年)

デビュー・アルバム。僕がボン・ジョヴィを聴き始めたのは3枚目からなので、この頃の事情はあまり知らないのですが、表題曲の「Runaway」を麻倉未稀さんや伊藤かずえさんがカバーしてたそうで、日本では早くも火がついていたみたいですね。この曲のイントロを聴くだけでも、ボン・ジョヴィの初期はキーボードが特徴的であることが分かります。コーラスも大きな武器ですね。まだ全米では43位ですが、間違いなくヒットしていく要素を孕んでいる楽曲群だと思います。僕はこのアルバムだと「Shot Through The Heart」と「Burning For Love」が好きです。


『7800°Fahrenheit』(1985年)

来日時に熱烈な歓迎をくれた日本のファンへ向けて作ったという「Tokyo Road」が収録されています。イントロに「さくらさくら」が使われていますね。なぜかボン・ジョヴィの曲は日本人の琴線に触れるところがあって、日本での人気が特に高いんですよね。キーボードが主張しているハードロックのサウンドは当時のジャパニーズ・ロックにも大きな影響を与えているように思います。大ブレイク前夜といった感じで、全米では37位ですが日本では早くもオリコン5位を獲得。楽曲はジョンが中心となってメンバーと共に作っています。ちなみにタイトルの「華氏7800度」は岩(ロック)を溶かす温度とのこと。なんてかっこいいタイトルでしょう。


『Slippery When Wet』(1986年)

僕は中学生の頃このアルバムによって大ブレイクしていくボン・ジョヴィをリアルタイムで見ていました。全米1位、全世界で2800万枚のセールスをあげています。シングルでも「You Give Love A Bad Name」「Livin’ On A Prayer」「Wanted Dead Or Alive」が大ヒットしていて、ベストヒットU.S.AやMTVで見ない日はありませんでしたね。僕も繰り返し聴いていました。さすがにこのアルバムは全曲カッコいいですが、特に初のロックバラードとなる「Never Say Goodbye」がノスタルジックで切なくて素晴らしい。僕がボン・ジョヴィのバラードを好きになる最初のきっかけでした。一番好きな曲はラストを締める「Wild In The Street」ですね。ちなみにこのアルバムではほとんどの楽曲(10曲中9曲)でリッチー・サンボラが曲作りに参加していたり、新たにデズモンド・チャイルドを制作者に加えていたりするのですが、それがブレイクの大きな理由のような気もします。尚、このジャケットは過激すぎるということでアメリカでは差し替えられていますが、日本ではそのままリリースされています。


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『New Jersey』(1988年)

故郷ニュージャージーをタイトルにしたアルバム。元々2枚組にするつもりで22曲レコーディングした中から厳選された12曲。これも当時売れまくっていました。アルバムセールスは1800万枚。シングルも「Bad Medicine」「I’ll Be There For You」が全米1位。「Born To Be My Baby」「Lay Your Hands On Me」「Living In Sin」もベスト10入り。僕は高1くらいだったと思いますが、これもヘビロテしていました。特に好きなのは、同じニュージャージー出身のブルース・スプリングスティーンを彷彿とさせる「Blood On Blood」とリッチー・サンボラのギターがカッコいい「99 In The Shade」。「Stick To Your Guns」もいい。ボン・ジョヴィのバラード好きの僕としては、もちろん「I’ll Be There For You」も「Living In Sin」もたまらないですね。


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『Keep The Faith』(1992年)

前々作・前作の爆発的ヒットを受けた世界ツアーにより疲労困憊となったメンバーは関係が悪化。解散説がささやかれる中、ジョンもリッチーもそれぞれにソロアルバムをリリース。そんな過程を経て4年ぶりに再集結したのがこのアルバム。ふたたび一丸となった様子がタイトルやジャケットにも象徴されていますが、これまでに比べてジョンが一人で作ってる曲が多めですね。時代はオルタナの波が押し寄せていて、80年代ロックは過去のものと揶揄される風潮の中、自分たちの音楽を貫いているところがボン・ジョヴィのカッコいいところですね。このアルバムだとやはりバラードの「Bed of Roses」が好きです。「I Believe」と「I'll Sleep When I'm Dead」もカッコいい。「Dry County」という10分近くにわたる大作も新たな試みですね。


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『These Days』(1995年)

僕はこのアルバムが一番好きです。ボン・ジョヴィ史上最もダークでネガティヴな作品群。最後の二曲「If That’s What It Takes」と「Diamond Rings」以外はほとんどどん底のような歌詞の曲が並んでいます。曲調も全体的に暗いですね。従来の明るく前向きなボン・ジョヴィが好きだった人には抵抗があるかもしれないけど、僕はこの大人の憂いを帯びた感じのボン・ジョヴィ大好きですね。まず冒頭の「Hey God」からいきなり撃ち抜かれます。めちゃくちゃカッコいい。そしてこのアルバムには僕が最も好きなスロー・ナンバーの曲が3曲収録されています。それは「This Ain’t A Love Song」(僕の中でボン・ジョヴィのベストソング。リッチーのギターとジョンの歌声がたまらなく切ない)。「My Guitar Lies Bleeding In My Arms」(3回目のサビで急にオクターヴのあがるところが最高に好き)。「Hearts Breaking Even」(美しいメロディと悲しい歌詞の失恋ソングの名曲)。ボン・ジョヴィのバラードここに極まれりといった感じです。ちなみにこのアルバムからベーシストのアレック・ジョン・サッチが脱退していて、ベースはサポートメンバーが弾いています。


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『Crush』(2000年)

このアルバムも大好きです。打って変わってこちらはアップテンポで明るい楽曲群。爆発的にヒットした『Slippery When Wet』や『New Jersey』に近い雰囲気で、ボン・ジョヴィの本領発揮といったところでしょうか。「It’s My Life」は、ここにきてまた新たな代表曲が生まれたといった感じですよね。コーラスとか詞にトミーとジーナが出てくるところとか「Livin’ On A Prayer」の姉妹曲と呼べそうな曲。このアルバムは全曲好きですが、特に好きなのは名バラード「Thank You For Loving Me」と「Save The World」ですね。「Say It Isn’t So」「Mystery Train」「Captain Crush And The Beauty Queen From Mars」もカッコいいし、「Next 100 Years」の最後のところも痺れますね。キャッチーな曲が満載で、これがヒットしないはずがないですよね。


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『Bounce』(2002年)

表題曲の「Bounce」や冒頭の「Undivided」が象徴しているようにアメリカ同時多発テロの影響が反映されたアルバム。沈んでいるアメリカを励ますために作られたような作品群ですね。最初の3曲「Undivided」「Everyday」「The Distance」の流れが非常にカッコよく、4曲目以降はバラード調の曲とロック調の曲が交互に並ぶ構成になっています。そのため比較的バラードが多いアルバムですね。僕は特に「All About Lovin’ You」が好き。この曲は『Slippery When Wet』の「Never Say Goodbye」にちょっと似てますね。「Love Me Back To Life」も美しいです。


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『Have A Nice Day』(2005年)

ボン・ジョヴィお得意の力強く前向きになれるような楽曲群。アメリカの社会情勢を踏まえてのメッセージも込められています。表題作「Have A Nice Day」はもちろんカッコいいし、「Welcome To Wherever You Are」「Who Says You Can’t Go Home」「Last Man Standing」の流れもいいですね。これだけキャッチ―な曲を作り続けられるって本当に凄いよなあ。ちなみにこのアルバムに収録されている「Who Says You Can't Go Home」はカントリー風アレンジでジェニファー・ネトルズとのデュエットによってリリースされ、ロックバンドとしては初のカントリーチャートで1位を獲得。グラミー賞でも「ベスト・カントリー・コラボレーション・ウィズ・ボーカルズ部門」を受賞しました。このヒットとグラミー受賞が次のアルバムへと繋がっていきます。


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『Lost Highway』(2007年)

前作の「Who Says You Can't Go Home」のヒット及びグラミー賞をきっかけにして、カントリーの要素を取り入れたアルバム。カントリー界の人気アーティストのコラボ曲もあり、「We Got It Going On」はビッグ&リッチとの共作、「Till We Ain’t Strangers Anymore」ではリアン・ライムスとのデュエットとなっています。ボン・ジョヴィとしては新しい試み。このアルバムだと僕は「Seat Next You」が好きですね。「Everybody’s Broken」の詞はとても優しくて励まされます。これが通算10枚目のオリジナルアルバム。


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『The Circle』(2009年)

前作はカントリー色の強いアルバムでしたが、これは従来のロックンロールに戻っています。『Have A Nice Day』からこれまでの3枚は日本のオリコンチャートで3作連続1位となり、洋楽アーティスト初の快挙となったそうです。アメリカでは当然ずっと売れているけど、2000年代の日本でも1位を獲得し続けているってすごいですよね。僕はこのアルバムだと「Superman Tonight」と「Love’s The Only Rule」が好きです。一発で心を掴まれるようなボン・ジョヴィらしい曲。


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『What About Now』(2013年)

リッチー・サンボラが在籍していた最後のアルバム。長年共同制作者として欠かせない存在だったデズモンド・チャイルドがクレジットされているのもこのアルバムが最後となります。僕は「That’s What The Water Made Me」と「Beautiful World」が好き。アコースティックな「The Fighter」もいいですね。ジャケットはカモフラージュ・アートになっていて、よく見るとメンバーが浮かび上がってきます。


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『Burning Bridges』(2015年)

リッチー・サンボラが実質的に脱退してから初のアルバム。これは32年間在籍したマーキュリー・レコードと訣別すべく、契約を果たすためだけにリリースしたという背景があるようです。表題曲は明るい曲調ですが歌詞でレーベルに毒を吐きまくっています。(歌詞に日本語の「さよなら」という言葉が使われています)このアルバムだと「We Don't Run」と「Fingerprints」が好き。1曲だけリッチーが作詞作曲に関わっている「Saturday Night Gave Me Sunday Morning」もいい。やはりリッチーがいなくなってしまったのは残念ですね。


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『This House Is Not For Sale』(2016年)

サポートメンバーだったヒュー・マクドナルドとフィル・Xが正式メンバーに。このアルバムで『Slippery When Wet』から11作連続トップ10入り(通算6作目の1位)というから依然としてすごい人気ですよね。これまた全曲シングルでもいけるんじゃないかというくらいキャッチーな楽曲群。僕は「New Years Day」「Reunion」が特に好きです。


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『2020』(2020年)

最新作。当初は5月にリリースされる予定だったのが、コロナパンデミックや黒人差別問題をテーマにした曲に差し替えるなどして、10月リリースとなりました。より時代に則した作品にしようというこだわりが感じられますね。ジョンもついに58歳。さすがに声は低くなっていますが、まだまだ「Do What You Can」のような若々しい曲を作れるのが凄いです。オープニングの「Limitless」カッコいいですね。「Story of Love」も好きな一曲。


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