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エッセイ集『二十一日の夜明け前に』

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どうしてこの星にやって来たのか思い出せなくなってしまったときに。 Cover illustration : Satsuki Mishima
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#エッセイ

エッセイ集「二十一日の夜明け前に」リニューアルスタート

「誕生日」という数字にどきどきする 11月14日から22日のあいだは毎年そわそわして過ごしてい…

どうしようもない自分のまんまで信頼すること

 昨夜インスタグラムに書いたことなのですが、今朝になってもうすこし深く書きたかったので、…

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あなたはわたしの憎しみを得ることはできない

 今こうしているあいだにもガザで行われていることの、特集番組をみた。イスラエルはユダヤ人…

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「いち」

 鍼灸院の帰り、買い物をおえてビルの外階段をおりていた。  むこうから、母親に手をひかれ…

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レッツ・ノット・メイクセンス

 数学がにがてだった。とくに高校の数学ができなかった。永遠に正解にたどりつかない。テスト…

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野枝が、アンネが、さけんだ

 今年初め、頭の中で「福岡、福岡へいけ」と声がした。秋までに行くよ、と答えた。お金がなか…

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10の夏の好きなもの

小さい頃繰り返し観た映画のひとつにミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」がある。すてきな歌がたくさんでてくるんだけど、なかでもお気に入りだったひとつが「My Favorite Things(私のお気に入り)」。 いやなことがあって落ち込むときはすてきなもののことを考えてみるの、とマリア先生が言って、ひとつひとつ挙げながら歌にのせていく。ばらの上の雨粒。仔猫のひげ。ぴかぴかの銅のやかんに、暖かい毛糸のてぶくろ。紐でしばった茶色い紙の包み。月を翼にかすめて飛ぶ雁の群れ。ま

人生は一枚のラブレターを書くようなもの

 三日三晩寝不足ですごした旅先からへとへとで帰宅した、昨年秋のとある深夜。  W杯のグル…

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今日が雨でよかった、と思える日が少しでも人生に多くありますように

 梅雨らしいしとしと雨の日、友人と会った。    長谷の大仏さまへつづくにぎやかな通り沿い…

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一日四メートル、前へすすもう

 梅雨のある晩、ごはんのあとふとデスク横の窓をみたら、大きなナメクジがひっついていた。つ…

日記を書いている「私」はだれなのか

先日、日記とは一体何か?なぜ私たちは日記を書くのか?について思案したことを書いた。そのつ…

日記を書くということについて

1944年3月7日火曜日に、14歳のアンネが書いた日記だ。 2年に及ぶ潜伏生活の末にナチスに連行…

年を重ねようとしている雨の土曜の朝に

 三十四回目の誕生日まであと一週間。  同い年くらいの友人の中には「じぶんの誕生日、うっ…

来年の目標を作るより、来年がどんな年だったか思いだしてみる

 もうすぐ新しい年がくる。  来年の目標をたてることはずっと苦手だ。来年のことを話すと鬼がわらうと昔から言うけれど、今にしかいられない自分が未来をああしよう、こうしようと算段することに昔から抵抗があった。  なんでだろうと考えていたら、無意識に今→未来という一方通行の時間感覚に囚われていたからだ、と気がついた。  時間は「過去→今→未来」というふうに、ひとつの方向だけに流れているわけではないと今の私は思っている。  これまでの経験の蓄積から、今の前にあるのが過去で、今の