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【感想】勝手にふるえてろ 綿矢 りさ

1.あらすじ

内容(「BOOK」データベースより)
賞味期限切れの片思いと好きでもない現実の彼氏。どっちも欲しい、どっちも欲しくない。恋愛、しないとだめですか。

2.感想

★★★☆☆   変わった女性の恋愛観

あらすじを補足すると、彼氏いない歴年齢(26年間)のヨシカが、同じ会社の二に告白される。でも、ヨシカは初恋の相手イチのことが忘れられず、物語は進む。

読み始めは状況理解が必要で、読むのが億劫に感じることもあったが、ページが進むにつれてさくさくと読める作品だった。ヨシカの恋愛観はとても独特で常人には理解しづらいのだけれど、いわゆる非モテ層や、過去の恋愛を引きづっている層には、ある部分で突き刺さる。

綿矢りささんの作品は何作か読んだことがあるが、比喩表現や細かい情景描写には、毎回ハッとさせられる。最年少で芥川賞を受賞したのも納得。


3.印象に残った言葉

どうして好きになった人としか付き合わない。どうして自分を好きになってくれた人には目もくれない。自分の純情だけ大切にして、他人の純情には無関心だなんて。ただ勝手なだけだ。
多くの動物は絶滅しないため環境に合わせて進化していく。でも異性獲得の進化に特化したせいで、逆に天敵から逃げにくく絶滅の可能性を高くするほうへ進化している動物もいる。~中略~
人間も、というか私も、そのうちの一種になってしまいそうだ。~中略~
生殖促進効果のはずの恋が、逆に子孫繁栄を阻害している。
なんで産む女の人だけ休みもらえるの。新婚旅行の休暇も育児休暇も当然のように既婚者は取っていくけれど、じゃあ結婚しない人間にも”自分の人生をじっくり見直す休暇”を取らせてほしい。ある意味育児休暇と同じくらい必要ですから。

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