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カルメン・ブラック

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万年筆屋だって、恋をする。
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カルメン・ブラック(後半)

カルメン・ブラック(後半)

 霜月にはいりますと、日の角度が変わって、当店のあたりは一日中日がささないようになります。当店には、夏にはアスファルトが照り返して店の中まではいってきて明るく、冷房のききが悪くなるほどなのですが、冬場は反対に、あの日差しが恋しくなるほど暗く、冷え冷えしてまいります。直射日光ではありませんけれども、店内が照明に頼らなくても明るい季節は、春を待たねばなりません。
 そして、暗いアスファルトから沸き立つ

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カルメン・ブラック(前半)

カルメン・ブラック(前半)

 カレンさんは、当店のお客様です。
 当店は、万年筆の専門店です。ですが、カレンさんは、当店でご自身がお使いになる万年筆をお求めになられたことはございません。というのは、カレンさんは、当店が主催していたペン習字教室の生徒さんでございまして、お使いになるペンは、教室に通われるようになる前からお持ちだったものですから。確か、パイロットのエラボーをお使いでしたね。ええ、大変書き味のよい万年筆です。当店で

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