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マノーリンはかもめの夢をみる

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少年はある日、灯台をめざして泳ぎ始める。
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記事一覧

あとがき:マノーリンはかもめの夢をみる

子どもだった頃、文庫本の小説の最後に収録されているあとがきを読むのが好きだった。そこには…

もぐら
1年前
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マノーリンはかもめの夢をみる(10/10)

 灯台の向こうの空が明るみ、今まさに夜が明けようとしている。白く光る水平線を背後に背負っ…

もぐら
1年前
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マノーリンはかもめの夢をみる(9/10)

 かもめは、他のどのカモメよりも早くねぐらを抜け出し、群青の空と漆黒の海の境界面を滑るよ…

もぐら
1年前
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マノーリンはかもめの夢をみる(8/10)

 着替えて町営プールを出ると、強い潮の香りを含んだ風が踊るように吹いていた。リョウヘイは…

もぐら
1年前
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マノーリンはかもめの夢をみる(7/10)

 登校日の翌日からは、また頭上に青空が広がった。  世間は盆休みを迎えている。すると、海…

もぐら
1年前
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マノーリンはかもめの夢をみる(6/10)

 登校日は朝から雨だった。  凪ぎ渡った海に垂直に降り落ちる雨は霧を呼び、街を灰色のカー…

もぐら
1年前
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マノーリンはかもめの夢をみる(5/10)

 あんなことがあってから、リョウヘイは海で泳ぐのをやめてしまった。叱られたのが堪えたというのではない。ただ、きまりを破ってみたということだけでもう、灯台まで泳いでみたいという熱がほとんど冷めてしまったのだった。  だから、漁師に怒鳴られた次の日からは夏休みだというのに、リョウヘイは海水浴場はもちろん、隣町の町営プールにも行く気になれなかった。  リョウヘイの夏休みは退屈だった。役所勤めの父と漁協のパート員である母は、夏休みを口実にどこかへ旅行してみようかという発想をもたない。

マノーリンはかもめの夢をみる(4/10)

 一学期の給食が終わった週末は、もう終業式だった。  リョウヘイたちは、いつもと変わらず…

もぐら
1年前
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マノーリンはかもめの夢をみる(3/10)

 リョウヘイは、船だまりのところでリュウとトモキと別れた。そして、湾の町の西の端にある家…

もぐら
1年前
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マノーリンはかもめの夢をみる(2/10)

 仲間の群れをぬけだした一羽のかもめが、翼端から雲をひきながら風の上を滑っていく。くちば…

もぐら
1年前
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マノーリンはかもめの夢をみる(1/10)

 ツバメの子が巣からいなくなると、海と空の青はいっそう濃くなる。それは、立ち上がる入道雲…

もぐら
1年前
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