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マッシモ・フィッカデンティ『NO DROW,JUST WIN』のその先(FC東京を予想する(2021年第7節vs名古屋))

名古屋の豊田スタジアムへ向かう新幹線で書いている。

プレビューを書くことはレビュー以上に難しい。
互いのチームスタイルを熟知した上で、あるいは予習した上で頭の中においてチーム同士を戦わせる必要がある。
それは対戦相手の名古屋の試合を数試合見る必要があるということだ。

ちなみに、自分は他チームの試合をあまり見ない。
見たくてもあまり見れない。
FC東京の試合を追うことと、東京からレンタルでJ2に出されている選手の試合を追うことで精一杯だ。

よって、戦局を占う試合全体のマッチプレビューはプロのライターに任せることとする。

●杉崎健氏のマッチプレビュー

今回は参考にこの記事を読んだ。
元横浜Fマリノスのアナリスト・杉崎健氏によって詳細に分析されている。

しかし、口を出さない訳でもない。
レビュー記事を読んだ感想を少しだけ述べる。

渡邊凌磨が負傷離脱し、代表戦で負傷交代した田川に代わり東を右ウイングへ選出している。
守りに重きを置くなら2019年の4−4−2のようにありかもしれないが、相手を攻めで凌駕しようとチャレンジしている長谷川監督がそれを選ぶだろうか。
しかし、代替策としては永井をトップに据えて右にディエゴを回す形か。
右ウイングに東、その脇の中盤にアルが居ると動きが被りそうで少し怖い気もする。

また、宮原とアダイウトンのマッチアップは東京に分があるとし、逆に右サイドの吉田豊と東のマッチアップは名古屋に分があるとしている。
確かに吉田については、清水や鳥栖時代から東京が苦手としている印象。彼はゴリゴリくる対人守備の鬼である。
右に開いたディエゴや東が吉田の前で時間を作り、素早く左サイドに展開するシーンを見たい。


以降は、監督の意気込みや個人的に気になる選手の見どころを述べる。
名古屋は監督のマッシモを含め、東京に縁のある人間が多い。

まず、長谷川監督のインタビューである。

●長谷川監督の意気込み

指揮官は「(勝っても)勝ち点3は変わらないが、上位との直接対決は勝ち点6に相当すると言われる。熱のこもった試合になると思う(が勝ちたい)」と力を込めた。

単なるサポーターの自分ですらも今節は優勝争いに生き残るには負けることはできない試合だと息巻いている。
長谷川監督や選手からしたら気合十分どころではないだろう。
インタビューからもそれが伺える。

●波多野と安部がメンバー入り

GK波多野豪(22)とMF安部柊斗(23)について「彼らも猛省をしている。一定の謹慎期間を経て、4月からは戦力として考えたい」とし、「(帯同する)18名には入れています」と明かした。

また、波多野と安部についてもメンバー入りをさせた模様だ。
サポーターとしてはチームと監督の意思を尊重し、彼らを後押しする以外ない。
「一緒に優勝したい」という思いを伝えるのみだ。頑張ろう。

これは彼らの問題発覚報道の直後に書いた記事である。


●日本代表を経験した小川諒也

国際Aマッチにて2試合に出場した小川。
韓国戦では30分ほど、モンゴル戦ではフル出場した。
インタビューでは日本代表合宿で受けた刺激について語っている。

「もっとプレースピード、判断スピードを上げていかないと強い国と戦った時に食われる場面が多いと思う。Jでも意識的にやっていきたい」

国内リーグを経験しているだけでは感じられない課題、今後の成長への手がかりを掴めたようだ。
今節では対面する宮原に対して、モンゴル戦で見せた攻撃への積極性を保ちつつ、マテウスや柿谷を抑えるために堅実に守備をして欲しい。
日本代表に選出された後の選手は、そこでの刺激から自身のプレースタイルを崩してしまう場合がある。
さらなる飛躍を目指してJで違いを見せるのは大事だ。しかし小川の持ち味は攻撃ではなく守備での好判断にある。そこへの意識の割合は減らさないで欲しい。
名だたる海外組と共にプレーした経験が、いい方向へ転ぶことを祈る。


●マッシモ・フィッカデンティ『NO DROW,JUST WIN』のその先

東京サポにとっては、かつての戦友が立ちはだかる格好だ。

これまでの名古屋は手強い相手であるものの、優勝争いのライバルではなかった。昨年はルヴァン杯でも大荒れの天候の中で完勝するなど、お得意様だった印象すらある。

しかし、今の名古屋は違う。目下開幕6連勝中、失点はオウンゴールで喫した僅か1点。
東京時代には引き分けがあまりにも多く、『NO DROW,JUST WIN』という大弾幕が作成された程だ(現在も味の素スタジアムへ掲示されている)。

武藤嘉紀を擁した2015年は、外国籍選手の獲得を筆頭に補強が上手く行かず、また前線のパワー不足に泣いたものの、4位にまで導いてくれた監督である。身を投げだして守備を行う姿勢は、この頃にチームに植え付けられたのは間違いない。その芽は時を経て、長谷川監督によって開花した。

そんなマッシモだが、名古屋での3年目を迎えた今シーズンはやりたいサッカーを実現しているように思える。
何と言っても補強については監督のリクエスト通りだったのではないか。
長澤和輝、齋藤学、柿谷曜一朗、木本恭生の獲得は凄まじい。

更にマテウス、前田直輝、相馬勇紀、シャビエルと豪華アタッカー陣を要する攻撃陣。
丸山祐市や吉田豊、米本拓司らが支える守備に、最後尾にはランゲラック。国内においてマッシモのサッカーを体現するには、もはや最高値のメンバーではなかろうか。

東京ではメンバーのやり繰りに悩まされていた感のあったマッシモが、クラブから補強の後押しを受け、名古屋での3年目にしてついに優勝へ突き進んでいる。
守れるが点を取れずスコアレスドローで終えるあの時の姿はない。

奇しくも、得点力不足を克服しつつあるのは今シーズンの東京も同じである。
堅守をベースにどちらが先制点を取り、そして突き放すか。

川崎を追走する優勝戦線にとどまるには、本当に負けられない。
4月11日に直接対決を控えている東京としては、大一番前という気分ではいられない。間違いなくこのゲームが優勝への分水嶺だ。

過去のマッシモトーキョーを乗り越え、長谷川トーキョーが勝利する。

4月3日14時、舞台は豊田スタジアム。



たまにサポートをいただけるのですが、あまりにも申し訳ないのでお題のリクエストなどを併せていただけるとありがたいです。もちろんなくても大丈夫です!読んで頂きありがとうございます。