研究室の中で抱いた話

大学生の頃。

俺は理系の学部に所属しており、研究室に配属されていた。

卒論の時期になると研究が忙しくなり、自分の研究室に入り浸っていた。


夏の日差しが強い日、別の研究室の女友達から連絡がきた。

「研究室が移動になるから教授に研究室の大掃除を頼まれたんだけど、良かったら手伝ってくれない?」

その子は格別に可愛いというわけではないが、以前から結構仲が良かった。その女友達の教授が、学生一人に研究室の掃除を任せたのが許せなくて俺は手伝いに行った。


俺の研究室と女友達の研究室は近い場所にあった。女友達の研究室に着くと、俺はひたすら研究室内の荷物を段ボール箱に詰めた。

掃除がひと段落して俺たちは休憩をした。にじみ出た汗を拭いながら、俺たちはなんとなく見つめあった。俺は女友達に興奮してしまった。

俺が後ろから抱きしめたら女友達は応じた。そのまま研究室の中で、俺たちは果てた。

ことが終わると俺らは、何もなかったように掃除を終わらせアイスを買って食べた。


それ以来、その子とは会わなくなった。関係が進んでしまったことの気まずさなのだろうか。理由はよくわからない。確かに覚えていることは、あの日俺たちは研究室の中で一つになったことと、終わった後のやけに甘く感じたパルムの味だけだ。

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