1.2.1 地中海世界の風土と人々 世界史の教科書を最初から最後まで
所変わって、今回からは地中海周辺の世界を見ていくよ。
地中海はひとつの世界?
「地中海」というのは、地中にある海というわけではなくて、まわりがほとんど大陸に囲まれているような海のことだ。
そういう海は世界中に存在するけれど、なんといっても有名なのは、ヨーロッパとアフリカの間に広がる地中海だ。
ヨーロッパ側の観光地としては、景色がキレイなことで知られるミコノス島が人気だね。
ギリシャ沿岸に広がる地中海の海域のことを、「エーゲ海」というよ。
太平洋の一部分が「東シナ海」とか「日本海」と呼ばれるのと一緒だね。
スペインの沿岸近くのイビサ島は、クラブで有名だね。
イタリアの沿岸近くにあるシチリア島は、レモンで有名だ。
こんなふうに、地中海の北側には、ギリシャ、イタリア、フランス、スペインといったヨーロッパの国々が広がっている。
反対に、地中海の南側にあるのは、アフリカ大陸だ。
砂漠のイメージがあるエジプトも地中海沿岸の国の一つ。
「アラブの春」以降、政情が不安定となったチュニジアなどからは、ヨーロッパに向かう難民・移民の悲しいニュースも増えているのが実情だ。
このように、現在は地中海の北岸と、東・南岸では、大きな違いが見られる。
現状では、北岸にはキリスト教徒が多く、東・南岸ではイスラーム教徒が多い。
でも、このような違いが昔からあったわけじゃない。
かつて古代の地中海は、”まとまった文化”を持つ”まとまりのあるエリア”だったんだよ。
そういうわけで、このエリアのことを「地中海世界」とか「古代地中海世界」って言ったりするんだ。
古くから港町が発達した
地中海には海流がおおむね反時計回りに流れている。
これを利用する形で、古くから交易が栄えた。
その背景には、エジプトを例外として、大きな川があまりないことがある。
伊豆や三陸のようなギザギザのリアス海岸が多くて平野は少なく、土壌も肥沃とは言えない。
地面が白っぽくみえるのは、土壌が石灰岩由来だからだ。
夏場の降水量が少ないため、森林は茂らず、暑さに耐えることができる分厚い葉を持つオリーブ、オレンジ、ブドウがまばらに生えるくらいだ。
地中海から、その北東部分にある狭~い通り道を抜けると、「黒海」(こっかい)と呼ばれる内海がある。
その北岸には現在ウクライナという国があり、小麦の栽培に適した広い平原が広がっていて、ナイル川を持つエジプトとともに地中海周辺では有数の穀物栽培地帯として発展していった。
でも、ほとんどの場所は穀物よりも、先ほど挙げたフルーツや、乾燥に強い羊の飼育に適していた。
特にブドウからつくられるワインづくりは、古くから地中海の特産品として発展していくことになるよ。水道のない時代には、水よりもワインを飲んだほうがかえっって衛生的だったから需要があったんだ。
だから、地中海沿岸の人々がパンをゲットするためには、船に乗って航海をする必要があったというわけだ。
こうして交易が盛んになるにつれ、港や交易ルート、それに果樹園や牧草地などを支配する人々が現れるようになっていくよ。
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