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その日の朝、目が覚めるとリヤドの中庭から、カチャカチャ、という食器の鳴る音がした。ナビルがミントティーを淹れて、オムレツを焼きながら私が階下へ行くのを待っている。彼は私がすこし疲れているのを、言葉が通じないのになんだか分かっていてくれる気がした。 初めてモロッコで目を覚ましたあの日、私はアザーンというお祈りの声を、暗がりの中でひとり耳をそばだてて聞くことになる。 モロッコへ来て1週間ほどが経つ。それでもまだ、私は気持ちの整理ができていない。 今は、とても不思議な人生の段
わけあって中東の大国イランについて勉強している。「中東の大国」という冠ことばを学んだのもつい最近であるのだけれど。 ちょっと古い本だけれど、図書館で「東京のキャバブのけむり」という本を見つけて読んだ。なんの本か、タイトルからよく分からないかもしれない。キャバブとは、今は「ケバブ」として親しまれている中東の肉料理のことだ。この本の英語で書かれているタイトルは"The photo document of Iranian's life in Japan, 1991-1994"であ