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2017年12月の記事一覧

アニメにおける物体変化を巡る理論 ――作画崩壊、マテリアリスム、世界変革

『干物妹!うまるちゃんR』6話において、本場切絵は土間埋(うまる)をモデルにしてスケッチを描くのだが、そのスケッチというのは見ればわかる通り、明らかに干物妹状態、言い換えればデフォルメ状態の埋なのであった。すなわち、切絵にとって埋は実際にこのように見えており、ということは干物妹状態の埋は、単なるアニメ表現におけるデフォルメ記号といった類のものではない、ということがわかる。 ということはつまり、干物妹状態の埋は、視聴者の眼にとっては二等身のデフォルメ・キャラクターであると

「コスパ思考」は人を貧しくする

「先生、この授業って受ける意味あるんですか?」 こう聞く小学生が、最近増えているらしい。 「最近」といっても、内田樹さんの本でそのことを知ったのはもう4、5年は前のことだけれど。 小学生が先生に授業の意味を問う様子はショッキングだったが、ようは大人のマネなのだろう。 僕たち大人は、本質的にはこの小学生と同じことを毎日尋ね続けている。 「コストとリターンは見合いますか?」と。 職場の同僚のプレゼンに。 飲み会のお店を、食べログで探しながら。 コスパが悪い選択をする

ホールorカット?トマト缶はどっちがおいしいの?

パスタやトマト味の煮込み料理に欠かせない、トマトの水煮缶のお話です。 トマトには、生食に向くトマトと加熱しておいしいトマトがあります。トマト缶は、「加熱しておいしいトマト」を使いやすいよう水煮したものです。缶を開けたままでも食べられますが、通常はトマトソースや煮込みに使われます。 もともと日本では生食でトマトが定着した経緯があるため、トマトはいまだにサラダなど生で食べることが圧倒的です。加熱用のフレッシュトマトはあまり出回らない上、夏以外の季節にお目にかかることは、まずあ

暮しの手帖のすごさをネットサービスの設計者はみんな理解したほうがいい話

Service Design Advent Calendar 2017に、ちなんだ投稿です。 はじめまして!オリジナルライフという会社を運営してる榎本です。 「消費者ジャーナリズムで産業の進化に貢献する」を会社のコンセプトにしています。実際にお金を払ってる消費者の当事者としての生の声や体験レポートの可視化を頑張っています。消費者ニーズによりそった先進的なサービスをやってる会社が勝ちやすく、チートを行なっている会社が勝ちにくくなる=『産業のサービス品質全体が進化する』世界を

なぜ私はバカみたいに、全世界196ヵ国の料理をつくり続けるのか?

こんにちは。ライツ社さんより、『全196ヵ国 おうちで作れる世界のレシピ』を出版させていただいた、料理人の本山尚義です。 今日はこのスペースをお借りして、この本を出版するにあたってのわたしの思いを綴らせていただきます。このレシピ本は、「見たこともない世界中のいろんな味を自分の家でつくれたら」そんな願いを現実にするため、世界中の料理を「スーパーの材料で簡単につくれるレシピ」にして書き起こした、とてもとても楽しい1冊です。 しかし、レシピ本出版の元になったのは「私の叶いそうも