マガジンのカバー画像

【日本史】"世界史のなかの" 日本史のまとめ

34
"世界史のなかの日本" という視点から日本の歴史を学ぶマガジン。
運営しているクリエイター

記事一覧

新科目「歴史総合」入門(4)グローバル化

■3つ目のしくみ「グローバル化」 いよいよ最後、3つ目のしくみは「グローバル化」があらわれる20世紀半ばの時代をみていきましょう。 前回みたように、戦争が終わると、今度はアメリカとソ連の2つの世界に引き裂かれましたが、2度の世界大戦を通して縮小していた貿易や交流は、以前と比べれば回復に向かいます。 ソ連とアメリカは、それぞれの掲げるイデオロギーのもとで、世界をひとつにまとめようとします。 人々は、生活水準を高める憧れを抱き、どちらかの陣営に参加し、よりよい人生をおくる

小池陽慈著『現代評論キーワード講義』&『評論文読書案内』の使い方 【歴史総合編】

結論。小池先生の著作は、高校の地歴公民科の授業で使いやすい! ということで、わたしなりの紹介として、発売されたばかりの『現代評論キーワード講義』(三省堂、2023)に加え、『世界のいまを知り未来をつくる評論文読書案内』(晶文社、2022)を合わせて、使い所を整理してみました。ジグソー学習などのワークシート等で引用したりする際にも、便利であるとおもいます。 読むキーワード辞典というジャンルでいえば、今村仁司の『現代思想を読む辞典』がパッと浮かびます。受験生向けという点では、

【全文無料】 世界史の教科書を最初から最後まで 【#世界史教科書完全攻略マップ】

世界史の教科書って、わかりにくいですよね。 複数の「エリア」が組み合わせられる構成は、難解な“取扱説明書”のようでもあり、時代によって揺れ動く落ち着きのない “パズルのピース” のようでもあります。 とっても合理的に設計されている反面、そのつくりがきわめてややこしいことはたしかです。 しかしながらそうは言っても、どうしても教科書を使って勉強をしなければいけない方もいるでしょうし、機会さえあれば小手先ではなく真正面からガッチリと通史を学んでみたいという人も少なくな

"世界史のなかの"日本史のまとめ 第7話 西日本への稲作の広がり(前600年~前400年)

”世界史のなかの”日本史のまとめでは、世界史の大きな流れと日本の歴史との関わりに焦点を当て、700万年前から現在までを26のピースに分けて案内しています。 ーこの時期、弥生文化は山陰や瀬戸内、それに現在の大阪のあたりにまで広がった。 おお。じわじわと東に広がっていますね。 ―でも、岐阜以東はまだまだ「縄文文化」エリアだ。このへんから東は植生が異なることは、別のところで説明したよね(注:ブナ林・ナラ林、照葉樹林文化。下図は九州森林管理局ウェブサイトより)。人口密度は、この

"世界史のなかの" 日本史のまとめ 第26話(最終話)世界の多極化と日本の選択(1979年~現代)

「"世界史の中の"日本史のまとめ」は、今回でいよいよ現在の世界に合流します。すべての地域を網羅的に扱うと大変に複雑になってしまいますので、とくに政治・経済(国際経済の展開と、アメリカ合衆国との関わりの変化)にしぼって見取り図を描いた上で、日本の置かれているポジションを眺めていきましょう。 【1】「自由な経済」が全世界に広がっている ここで、これまでの世界経済の流れをちょっと整理してみよう。 1-1. 第二次世界大戦前 ―宗主国 vs 植民地  そもそも第二次世界大戦が終わ

"世界史のなかの" 日本史のまとめ 第25話 冷戦下の戦後体制・高度経済成長と国際環境の複雑化(1953年~1979年)

アメリカとソ連の「にらみ合い」が続く中、国際関係が複雑化する時代 ※時系列がわかりやすいように、一部に年(・月・日)を付記しました。 【1】東アジアは、引き続き冷戦に翻弄されるソ連側に立つか、アメリカ側に立つか。それをめぐってアジアは大きく影響を受けていますね。 ―朝鮮半島で大きな戦争(注:朝鮮戦争)が起きていたよね。  北の朝鮮が韓国に侵攻したことが発端だ。  北をソ連と中華人民共和国、南の韓国をアメリカがバックアップする形となった。  しかし、ソ連の最高指導者(注

"世界史のなかの" 日本史のまとめ 第24話 帝国の解体と、アメリカによる占領と独立(1945年~1953年)

ヨーロッパ中心の植民地帝国が崩壊に向かい、2つの「新しいシステム」がせめぎ合う時代へ―未曾有(みぞう)の被害をもたらした第二次世界大戦が、ようやく終わりを迎えた。 じゃあ戦争が終わって、世界は平和に向かって歩み出せますね! ―まあ、「日本の歴史」だけを見ているとそういう印象を持つかもしれないけど、ここでは しっかりと、”世界史の中”から日本の歴史をみてみよう。 戦争が終わって平和になったんじゃないんですか? ―もちろん改善されたところもある。  でも、すべてが「リセッ

"世界史のなかの" 日本史のまとめ 第23話 総力戦体制と人類史上最悪の大戦 1929年~1945年

「総力戦」に対応した、新しい「国のしくみ」づくりがエスカレートする時代 【1】世界経済危機によって国際関係に亀裂が走った◆経済危機が起きると国によりさまざまな対応がとられ、国際連盟に批判する国も現れた ―第一次世界大戦によって、戦争が「異次元」に突入したことについては前回確認したよね(注:1870年~1920年、1920年~1929年の"世界史の中の"日本史のまとめ)。 世の中のあり方もそれに合わせて一変したんでしたよね。 ―そう。  いかに忠実で健康な国民の「数」

"世界史のなかの" 日本史のまとめ 第22話 大戦と革命の衝撃と国内情勢の転換(1920年~1929年)

この時代はどんな時代ですか?―大戦と革命、地震と恐慌がキーワードだ。 地震って、関東大震災のことですね?―そう。首都直下型の大地震だった。 関東大震災で被災した東京都心(銀座4丁目から見た日本橋方面)(毎日新聞) 焼け野原ですね…―そう。死者行方不明者は14万人を数えた。  歴史学研究者の加藤陽子さんが指摘するように、災害の光景には、われわれに「戦争の光景」を思い起こさせるところがある。   東日本大震災で被害を受けた気仙沼港(震災の約2週間後に撮影された航空写真)(

"世界史のなかの" 日本史のまとめ 第21話 その4(1870年~1920年)

 今回も1870年~1920年の日本を、世界の歴史との関係を意識しながら見ていきましょう。以下の4期に分けてお送りしています。 いったんこれまでの流れを振り返りたいです。―OK。  どんな出来事があっただろうか? 江戸幕府が倒され、元・武士たちによって「新しい政府」ができました。その後、それに対抗する元・武士たちによる抵抗もありました(注:士族反乱)が、なんとかまとまっていきます。―そうそう。「新しい政府」(注:明治政府)が「国としてのまとまり」を強めていくんだったよね。

"世界史のなかの" 日本史のまとめ 第21話 その2(1870年~1920年)

今回も1870年~1920年の日本を、世界の歴史との関係を意識しながら見ていきます。以下の4期に分けてお送りしています。 その1 1870~1880年 その2 1880~1895年(今回) その3 1895~1910年 その4 1910~1920年 この時期になってもまだ憲法はできていないんですよね。 ―そう。  政府も、政府に敵対するグループも、「憲法は必要だ」という点では一致していた。  でも「どんな憲法にするべきか」をめぐっては、いろんな意見があったんだよ。 たと

"世界史のなかの" 日本史のまとめ 第21話 その1 1870年~1920年)

今回は、1870年~1920年の日本を、世界の歴史との関係を意識しながら見ていきます。以下の4期に分けてお送りします。 その1 1870~1880年 その2 1880~1895年 その3 1895~1910年 その4 1910~1920年 どうして廃藩置県にとりかかったんですか?―新政権の指導者たちには「あたらしい日本」を、欧米が「同じランク」と認めもらう国にしなければ、アジア諸国のように植民地化されてしまうとの危機感があった。 どうすれば「一人前の国」と認めてもらえるっ

"世界史のなかの" 日本史のまとめ 第20話 欧米の国民統合と武家政権の崩壊(1848年~1870年)

【1】アメリカ合衆国はクジラ捕りの最盛期前回みたとおり、太平洋ではクジラ捕りがブームだったんですよね。 ―そう、最盛期を迎えている。  でも、この時期の初めにアメリカで大変な発見が起きた。 何ですか?―アメリカは、南にあるメキシコ(すでにスペインから独立していた)と戦争をして領土を獲得(注:米墨戦争)。  そのうちのカリフォルニアというところで金(ゴールド)が大量に発見されたんだ。 なんと!―クジラの漁師の一部は「そっちに行ったほうがもうかる」ということで、カリフォルニ

"世界史のなかの" 日本史のまとめ 第19話 米英仏の接近と海防への関心の高まり(1815年~1848年)

◎総目次 ◎前々回(1650年~1760年)、前回(1760年~1815年) ―前回見たように、イギリスで始まった新技術のインパクトは、急速に世界に広がっている。  世界各地で、イギリスのペースに合わせて協力しようとする人たち、イギリスに追いつこうとがんばる人たち、そもそもそんなこと意に介さない人たちが、さまざまな反応をしている。  利害関係は人によって地域によってさまざまだ。 大陸を超えた人々の移動もますます活発になっていますね。―風の力で動いていた船は蒸気船に代わり