見出し画像

アップル創業者ジョブズが「営業出身の社長はつまらない」と切り捨てた理由

■イノベーションに必要なのは 美意識やこだわり、知られざる価値・物語

 何らかの製品を営業によって売り込むには、相手のニーズとこちらの製品が一致することをPRする必要がある。顧客のニーズは、価格であったり、性能であったりするかもしれない。だが価格や性能を知っていることが「製品を知っている」ことには直結しない。

 開発部門の人間は、もちろん市場のニーズを吸い上げて新商品を開発するだろう。しかしそれ「だけ」では革新的な変化を生み出すことはできない。自分なりの美意識や、「分かる人にだけ分かればいい」というこだわり、まだ誰も気付いていない価値や物語の存在……。そうしたものがなければ、新しいものを生み出すことはできない。

 つまりそれは、マーケティングの過程で上がってくる数字を眺めているだけで見えてくるようなものではない。「その製品を手にした人たちの生活が、どう変わるのか」を思い描く圧倒的な想像力と、新しい世界を作り出すナラティブ(物語)の力を必要とするのだ。

 今でこそ他企業もまねるようになったアップルの製品だが、そのCMがスペックや新機能を羅列するのではなく、その製品を手にした人の世界の見え方が変わるようなイメージムービーになっていることを思い出してほしい。もちろんそうしたナラティブの背景には、緻密に積み上げた数字があることも間違いないのだが。

 企業の革新的な変化は「みんなが見ているもの」を見ていては成し得ない。

 マーケティング的な数字を眺め、精査する作業は部下に任せ、経営者は数字の見方を変え、あるいはまだ見えていない数字を探すことに専念すべきだろう。

 誰も見たことがないもの、それを消費者は「面白い」と感じるのだ。

■自身として

私は今月いっぱいで法人営業の会社を退職する。みんなになぜこの時期に退職するの?成績も残せているのに何故辞めるの?と多くの人に言われた。

営業という分野では自分の強みは最大限には発揮できないと思ったのだ。自分は左脳タイプの人間ではなく、右脳タイプの新しいイノベーションやデザインを考えるほうが好きだし、向いていると感じた。アートディレクター、またはプランナーなどの職へ早期に舵を取りたいと思い退職を志願した。

今は生きていることに感謝できるほど前向きになれている。営業を始めてから失っていた感情が舞い戻ってきて嬉しい。広大な草原の中心に胡坐をかきながら、平然と前を向いている気分です。

さあ、行こう。新たな自分へ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?