【ダブルバガー候補銘柄続編】【GMOインターネットⅡ】
親子上場ってご存知でしょうか!?
その名の通り、親会社と、子会社が仲良く上場している状態です。
GMOインターネットの場合、
GMOインターネットが親で、
上場している子供9人が、
GMOペイメントゲートウェイ、GMOグローバルサイン・HD、
GMOフィナンシャルHD、GMOフィナンシャルゲート 、GMOペパボ、
GMOアドパートナーズ 、GMOリサーチ、GMOメディア 、GMO TECH
になります。
GMOばかりで目がチカチカするけど、あら子沢山。
親子上場企業
GMOインターネットのお話をする前に、日本でガラパゴス的に進化を遂げた親子上場についてお話したいと思います。
日本に住んでいると、私、上場子会社で働いてます、働いていました、取引先が上場子会社です、みたいな方が、沢山いらっしゃると思います。
でも、その世界観は、世界的にみると、とてもレアなのです。
2018年12月末の、少し古いデータで申し訳ないのですが、親子上場企業数が市場に占める割合は、日本が6.1%、フランスが2.2%、ドイツが2.1%、米国が0.5%、英国が0.0%となっています。
近年、問題点がクローズアップされて、解消が進んできていますが、日本の親子上場数は独走態勢を多分維持しています。。
では、親子上場の問題点とは何でしょうか。
利益相反問題、利益分散問題、コスト問題、子会社独立性問題、企業統治問題、選択と集中問題などがあります。
多いしどうでもいい‥
問題山積みで、全部を説明すると一冊の本になるので、有名な利益分散問題、利益相反問題をドラえもんで説明したいと思います。
大丈夫か‥更に分かりにくくなりそう(汗)
全部の問題や、メリットの方にも興味がある方は、ファイナンスの専門書を読んでみてくださいね。
(利益分散問題)
ジャイアンの名台詞
「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」
一般的に、親会社と未上場子会社の関係は、この名言通りです。
親会社ジャイアンは、子会社のび太の利益と資産(お小遣い、お菓子、オモチャ、漫画、ドラえもん)を全て独占する権利があります。
でも、未上場子会社が上場すると、親会社は、持っていた株の一部分を、不特定多数に販売しますので、新しい株主スネ夫が出てきます。
このスネ夫の部分が、私達のような個人投資家や、ファンドなど、親会社以外の株主で、金融用語的には少数株主と言われてます。
スネ夫も、株主なので、当然配当などを要求しますよね。
子会社が上場するということは、ジャイアンが独占してた、のび太の財産を、スネ夫にも分けないといけないのです。。。
のび太に人権はないのか!!!
これを言い換えます。
子会社が上場すると、親会社が全部独占してた子会社の利益を、親会社とは関係ない、子会社の株主にも渡さないといけないのです。
親会社の株主からしたら、
「親会社の利益は俺のもの、子会社の利益も俺のもの」
がいいですよね。
これが利益分散問題です。
(利益相反問題)
ジャイアンは横暴なので、
のび太にゴミを100円で買わせたり、
オモチャを取り上げたり、
のび太を働かせて、そのバイト代を奪い取ったり、
やりたい放題です。
実際のジャイアンはそこまで悪じゃないか、、助けてドラえもん。
これを親子企業に置き換えますと、親会社は支配力があるので、
子会社に要らないものを販売したり、子会社の資産を安い値段で買い取ったり、子会社の利益を親会社のものにする可能性があります。
更に、子会社には、親会社から使えない役員、社員が派遣されてきます。
子会社が上場していなかったら、好きにしてもらっていいのですが、
上場している場合、子会社の株主からしたら、そんなイジメやめて欲しいですね。
親会社の利益のために、子会社が不利益を被る、これが利益相反問題です。
そんなこんなで、ジャイアン、のび太、スネ夫に置き換えたせいで、余計に分かりにくさ満載ですが、問題も多く、解消される動きが進んでいます。
特に日立は、多くの上場子会社があったのですが、
日立化成、日立物流、日立キャピタル、日立工機、日立国際電気、
5つの上場子会社を完全子会社化し、
昨年は日立化成を昭和電工に売却しました。
さらに今年1月末には、日立ハイテクノロジーズの子会社化を目指してTOBの実施を発表しました。
※TOBとは、買取価格を発表して、親会社などが株式を買い集めることです。
先ほどの例だと、スネ夫に上場する時に売った株を、買い戻すことです。
残る子会社は日立金属と日立建機。
この2つも、いずれは売却もしくは完全子会社化されると考えられています。
多くの場合、子会社のTOBが実施されれば、子会社の株価は、現在の価格より高く買い取られます。
先回りで、上場子会社を狙っている投資家も沢山います。
コングロマリット・ディスカウント
GMOに話しを戻したいと思います。
コングロマリット・ディスカウントをご存知でしょうか>
存じませんよね‥
コングロマリット・ディスカウントなんて、金融機関で働いていないと、一生出逢わないで済む言葉です。
※コングロマリット(巨大複合企業グループ)とは、GMOみたいに沢山グループ会社がある企業です。
前回の記事で、GMOインターネットの株価が、割安だと書きましたが、
その原因は、コングロマリット・ディスカウントにあると思います。
まず、目がチカチカするのですが、GMOグループの時価総額一覧をご覧ください。
(親会社)
GMOインターネット 時価総額3646億円
(上場子会社)
GMOペイメントゲートウェイ 時価総額1兆1602億円 親会社持分42.4%
GMOグローバルサイン・HD 時価総額1184億円 親会社持分51.8%
GMOフィナンシャルHD 時価総額877億円 親会社持分62.9%
GMOフィナンシャルゲート 時価総額821億円 親会社持分25.8%
GMOペパボ 時価総額308億円 親会社持分64.8%
GMOアドパートナーズ 時価総額108億円 親会社持分56.4%
GMOリサーチ 時価総額29億円 親会社持分54.9%
GMOメディア 時価総額27億円 親会社持分66.4%
GMO TECH 時価総額25億円 親会社持分54.1%
※時価総額は2月5日記事執筆時、親会社持分は前回の四半期決算時
う、親会社持分って何だ、数字も滅茶苦茶出てきた、と思ってサッとブログを閉じないでくださいね。
親会社持分とは、子会社が発行している株式の内、親会社が何%持っているかという割合です。
この時価総額と、親会社持分から、私が何を言いたいか、察しのいい方はお気づきだと思います。
子会社の時価総額に、親会社の持分を掛け合わせますと、
4919億円+613億円+552億円+212億円+200億円+61億円+16億円+18億円+14億円=
9社合計で4936億円となります。
そうなんです!!
親会社の時価総額は、3646億円なのに、親会社が保有する子会社の株の価値が4936億円もあります。
超お金持ちが3646億円で、GMOインターネットをお買い上げして、子会社の株を全部売却すれば、4936億円−3646億円=1290億円の利益がイージーに出ます。
上場子会社以外の資産もあるわけですし、GMOインターネットの時価総額は最低でも4936億円以上ないとおかしいですよね。
この親会社の評価が、ディスカウントされた状態をコングロマリット・ディスカウントと言います。
※実際に親会社の株を買い占めようとすると、株価が上がったり、子会社の株を現在の価格で、全部売れる訳ではないので、あくまで理論上の話です。
では、何故このようなことが起きるか、不思議に思う方もいると思います。
金融関連の本を読むと、小難しい理由が色々と書いているのですが、
要するに、「何だかよく分からない」からなんですね。
ふわっとしてる。。。
これは、福袋に例えると、分かりやすいのですが、
中に何が入っているか全く情報がない福袋を、読者の皆様は1000万円で買わないと思います。
1000万円相当の宝石が入ってるよと教えてくれたら、どうでしょう。
買うでしょう。
買わないか。。
GMOインターネットも全く同じ状況です。
グループ企業が130社もあると、GMOオタク、もしくはGMOマニアの方以外は、全てのグループ企業が、どのような状況なのか正確に把握できないのです。
だから、突然、上場していないグループ子会社で、100億円の損が発生しました。みたいなことが起こるかもと、投資家は常に警戒しています。
つまり、GMOインターネットみたいなコングロマリット企業は、「何だかよく分からない」から株価が過小評価されやすいのです。
そして、逆に、GMOペイメントゲートウェイのような子会社は、一つの事業に集中していることが多く、一つの事業なら投資家も成長性や、リスクが分かりやすいため、市場から正当な評価を受けます。
それでも、親子で時価総額が逆転しているというのは、おかしいですよね。
そして、このような状況を、GMOインターネットが放置しているから、儲からない、ケシカランと怒る株主も中にはいます。
2018年に、物言う株主、香港の投資ファンド、オアシス・マネジメント・カンパニーが、株主総会で吠えました。
企業統治の方法を変えて、正当に会社の価値が市場から評価されるようにしろと、6項目の株主提案を行ったのです。
この主張に対して社長は反対しました。
反対の趣旨を要約すると、
・グループ会社が沢山あるのは、教科書的には良くないかもしれないが、これまでこの企業統治方法で企業は成長を続けている。
・親会社1社にするのではなく、会社を分けることで、各分野のプロフェッショナルが集まり、権限を分散して、競合よりすばやく意思決定し、実行に移せる。
・全て熊谷社長が判断する、トップダウンのピラミッド組織では、変化の激しいインターネットビジネスで競争に勝てない。
私は、社長の主張を、信じてみようと思っています。
GMOインターネットの発表でも、子会社の時価総額が、親会社の時価総額より高いのは放置しないと言っていますので、
正当に評価されるようIR(企業PR)をしっかりしてくれるはず。。
個人的に、正当に評価されるその日が来れば、ダブルバガーになるポテンシャルはあると思ってます。
重ねてになりますが、個別銘柄の投資を推奨していませんし、
株価が正当に評価されるその日が永遠に来ない可能性もあります。
投資は自己責任でよろしくお願いいたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?