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「#世界はジャズを求めてる」2022.12月4週(12/22)クリスマス特集 eLPop伊藤嘉章・岡本郁生 #鎌倉FM

『世界はジャズを求めてる』第4週は「ラテンとジャズの危険な関係」。eLPopの伊藤嘉章(mofongo)と岡本郁生(el Caminante)がお送りします。
クリスマス目前ですのでクリスマス特集です。まずはポピュラーな「サンタが街にやって来る」をデイヴ・ヴァレンティン(fl)の演奏で。

1.    Santa Claus is coming to Town / Dave Valentine from ”A GRP Christmas Collection” (1988)

デイブ・バレンティン(1952-2017)はプエルトリカンの両親の元NY・ブロンクスで生まれました。ヒューバート・ロウズ(fl)に学び1977年レコーディング・デビュー。GRPレーベルと契約し16枚のアルバムをリリースしています。1985年にはグラミー賞ノミネート。次いで2006年にはラテン・グラミー賞ノミネートされています。
 
曲はGRPレーベルのクリスマス・コンピから。GRPは1970年、音楽プロデューサー/ピアニストのデイヴ・グルーシンと、音楽プロデューサーのラリー・ローゼンにより「グルーシン・ローゼン・プロダクションズ(GRP : Grusin/Rosen Productions)」として発足。アール・クルーの『リヴィング・インサイド・ユア・ラヴ』、渡辺貞夫の『カリフォルニア・シャワー』や『モーニング・アイランド』、リー・リトナーの『ザ・キャプテンズ・ジャーニー』などの初期のヒット作はフュージョンの名盤。
 
Dave Valentin (fl), Bill O'Connell (p), Lincoln Goines (b), Robbie Ameen (ds), Rafael DeJesus (congas, bells)

2. Alegre Vengo / Pedro Guzman & Jibaro Jazz from “Feliz NaviJazz” (2013)

プエルトリコのクリスマス定番曲の一つの明るい曲。ラテン・アメリカにはヨーロッパと違ったクリスマスソングが沢山あります。これもその一つ。

ペドロ・グスマン(1956-、プエルトルコ生まれ)はクアトロ奏者(プエルトリコ独特の小型ギター的な弦楽器。5コース10弦)。13歳から兄弟とグループを組みギターとベースを始めます。1970年からはクアトロ奏者に。1987年から「ヒバロ・ジャズ」という彼のグループでソロに。ジャズとヒバロ音楽(プエルトリコの山岳地帯中心の農民の伝統音楽。)を結ぶエリアで活躍してます。

3. El Nazareno /Miguel Zenon from “Sonero” (2019)

コンテンポラリー・ジャズで活躍するアルト・サックス奏者ミゲル・セノンの作品からクリスマスにちなんだものを。イスマエル・リベラ・トリビュートの作品から。ナザレのイエスへの語り掛けとなったいる原曲で、パナマのポルト・ベジョの黒いイエスの事が歌われたりとイスマエル・リベラらしい曲ですが、ミゲル・セノンは原曲のメロディを生かしながらがっつりした今のジャズとしています。

ミゲル・セノン(1976/12/30サンファン生まれ)はプエルトリコの超庶民の団地育ち。6歳からサックスを習い、中学・高校は音楽系、大学はマヤゲス大学だが1996年にバークリーの奨学金を得てボストンへ。バークリーではアントニオ・サンチェス、アヴィシャイ・コーエンなどがクラスメート。1年で卒業し、マンハッタン音楽学校で学位をとります。またSF Jazz Collectiveやチャーリー・ヘイデン、ダビッド・サンチェス、ダニーロ・ペレス、カート・エリング、ミンガス・ビッグ・バンド、レイ・バレット、ジェフ・バラード、ボビー・ハッチャーソン、スティーブ・コールマン、ブライアン・リンチ、アントニオ・サンチェスなどと共演。1999年からは自己のグループも開始します。リーダー作15作目。今作はグラミー賞にノミネートされました

Miguel Zenón (as), Luis Perdomo (p), Hans Glawischnig (b), Henry Cole (ds)

4. A los Boricuas Ausentes / Choco Orta from “Raices” Banco Popular de Puerto Rico 2001 (2001)

プエルトリコのバンコ・ポプラールが毎年12月にリリースするクリスマス盤から。チョコ・オルタ(1959-、プエルトリコ生まれ)の歌手。70年代、女優として活動開始し、同時にロベルト・アングレロなどのバンドで歌い始める。1996年にMPレーベルと契約し活動を続けています。本作はバンコ・ポプラールの2001年の年末盤でボンバとプレーナを取り上げた『Raices』の一曲。クコ・ペーニャのビッグ・バンドとの共演しています。1940-50年代、ビッグバンドジャズとボンバを融合させたオルケスタ・セサル・コンセプシオンの大ヒット曲。ライバルだったオルケスタ・パナメリカーナのリーダーだったクコ・ペーニャの息子のオルケスタでの作品となっているのが感慨深いです。明るく楽しい曲。

5.Santa Meta / Gonzalo Rubalcaba from “Suite Caminos” (2015)

「サンタ」というタイトルのみで、クリスマスとか関係ないのですが、けっこうかっこいいので。ゴンサロの2016年の2枚組Suite Caminosから。2015年グラミー賞ノミネート(ベスト・ラテンジャズ・アルバム)、ゴンサロのルーツを反映した2枚組の作品。シンセも使いサウンドも面白いです。

Gonzalo Rubalcaba (p, synth, perc)
Seamus Blake (ts), Matt Brewer (b), Sonyalsi “Sonia” Feldman (vo, coro), Adam Rogers (g), Ernesto Simpson (ds), Alex Sipiagin (tp, flh), Will Vinson (as, ss)

6 . Rudolph The Red Nosed Reindeer(赤鼻のトナカイ)/Mr. Jazz Quartet from “Christmas Time Vol.3” (2022) 

さて、ここで日本のグループMr. Jazz Quartet(ミスター・ジャズ・カルテット)の新譜から。略称「MJQ」となるこのグループは3年前結成。ジャズを中心に様々なセッションなどで活躍する名手揃いのメンバー。クリスマス専門ではないのに今までクリスマスソングを取り上げたアルバムを3枚連続でリリースという驚きのユニットです。クリスマスソングが「スタンダード」としての魅力的メロディーを持っていることが分かります。その中からラテン風味の楽しい<赤鼻のトナカイ>をどうぞ。
中沢剛(ds), 遠藤征志(p),宅間善之(vib),嶌田憲二(b)

7: Donde Vas Maria / Henry Cole & Villa Locura from “Tiempo de Aguinaldo” Banco Popular 2019

ゲル・セノンや90 milesのユニットでの来日などで日本でもファンの多いのヘンリー・コール(ds)のバンド、ビジャ・・ロクラの曲から。<どこへ行くのマリア>。
これもクリスマスの定番曲ですが、プエルトリコのアフロビートでどうぞ。
Henry Cole (ds, cua, synth)
Jahaziel Garcia (tp), Jonathan Acevedo (ts), Victor “Yuka” Maldonado (bs), Giovanni De La Rosa (g), Javier Perez (g), Giovanni Ortiz (b), Brandon Cores (moog), Luis Amed Irizarry (Fender Rhodes), Miosoti Alvarado Burgos (guiro), Hector Tito Matos (Punteador, requinto, barrill), Alberto “Beto” Torrens (Barril), Melisa Madre Tierra (vo)


8.En La Felicidad / Mongo Santamaria from “Sabroso!” (1960) 

クリスマスのパーティに相応し楽しい曲を。「Mongo Santamaria in Christmas Wonderland」という怪しいコンピに含まれるおめでたい曲。オリジナルは1960年のアルバム『Sabroso! 』。陽気なチャランガをお楽しみください。
Mongo Santamaria (congas, ds)
Rolando Lozano (fl), Victor Venegas (b), Renè "El Flaco" Hernandez (p), Willie Bobo (timb), Louis Valizán (tp), Marcus Cabuto (tp), José "Chombo" Silva (vln)*, Felix "Pupi" Legarreta (vln), Bayardo Velarde (vo), Pete Escovedo (vo), Rudi Calzado (vo)

9.“Santa Clause is Coming to Town” Sonora Poncena from 「Merry Christmas」(1991)

さて最後の曲は、プエルトリコを代表するサルサのオルケスタ、ソノーラ・ポンセーニャの1991年のクリスマス・アルバムから。ジャズに強い影響をうけたピアニストのパポ・ルカが、バンドを結成した父親の後を継ぎ現在のリーダーですが、今年60何周年?にもなる超名門がバリバリの現役の人気バンドなのはすごいですね。お楽しみください!

Papo Lucca (p), Quique Lucca (leader)

12月は以上です。12月は最終週5週目がありますが、ラテン・チームはこれが今年最後。この1年も聴いて頂きありがとうございました!良い年をお迎えください。
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「世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。
進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。
鎌倉FMの周波数は82.8MHz。
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