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「#世界はジャズを求めてる」2022.9月4週(9/22) 「女性特集 Ladys in Latin」eLPop伊藤嘉章・岡本郁生 #鎌倉FM

『世界はジャズを求めてる』第4週は「ラテンとジャズの危険な関係」。eLPopの伊藤嘉章(mofongo)と岡本郁生(el Caminante)がお送りします。

さて、9/4に史上初・日本を代表する女性ラテンミュージシャンが大集合した『FIESTA LATINA~女たちのラテン祭 2022~ 』がDoo Aoyama Cross Theaterで開催されました。 バンドも含め出演者は全員女性。日本のラテンも女性の層が本当に厚くなりました。

あちらの「ラテン」の世界はけっこうマッチョな「マチスモ」(男性優位主義)が伝統的でしたが、近年の社会の変化でかなり状況は動いてきました。そして日本も従来女性と言えば歌手のイメージだったものが作編曲や楽器のプレイヤーもとよりバンドリーダー、イベント企画、レーベルオーナー、マネージメントなどがあたりまえの形になってきています。

ということで、ことさら男女いうのもなんですが今日はビリーホリディの"Lady In Satin"から思いついて『Ladys in Latin』をお送りします。”Fiesta Latina”に出演したミュージシャンの「ジャズとラテンの危険な関係」も含めご紹介です。

1.      赤木りえ with Karen Joseph'fl), Andrea Blachfeld (fl) / Descarga -El Paso de Encarnaci on 小麦色のお嬢さん from "La Flauta Magica" (2020) 

https://youtu.be/Z4kQYmrg3EY
前述の「Fiesta Latina」にも参加した、日本を代表するカリビアン・フルートの一人者、ラテン~ジャズ~クラシックと幅広い活躍を続ける赤木りえの曲から。

ニューヨーク録音の最新作『La Flauta Magica/Magic Flute』から、エディ・パルミエリのメンバーで来日もある女性フルート奏者のカレン・ジョセフと同じくNYを中心にジャズとラテンで活躍するアンドレア・ブラックフェルドと共に赤木さんがバトルを繰り広げる<Descarga -El Paso de Encarnacion>をどうぞ。バックのメンバーはニューヨークのラテンからジャズまでを支える重鎮たち。現地ライブ公演も含め、海外にも知られ活躍する女性がほんと増えて来ました。プロデュースはファニア・オールスターズのメンバーでもあった、ラテン音楽のレジェンド、ピアニストのラリー・ハーロウです。

赤木りえ(fl), ラリー・ハーロウ(producer)
ベレーザ/ガブリエラ・アンダース(vo), アンドレア・ブラックフェルド(fl),カレン・ジョセフ(fl),ビル・オコーネル(p/kyd),ヒルベルト“プルーポ”コローン・ジュニア(p),ルベーン・ロドリゲス(b),レイ・マルティネス(b),ボビー・サナブリア(ds, timb),ウィリー・マルティネス(ds, timb),ルイス・カーン(vln),ベンジャミン・ラピドゥス(g, tres),イモ・ルシアーノ(coro),ルイシート・ロサリオ(coro)

2. Regina Carte(vln) with Eddie Palmieri / Nica's Dream from "Listen Here" (2005)

https://youtu.be/mFUKpEUJPp0

NY ラテンと言えばエディ・パルミエリ。そのパルミエリ・バンドでプレイするヴァイオリン奏者レジーナ・カーターです。錚々たるNYのジャズ~ラテンのメンバーの中で素晴らしい演奏を聴かせてくれます。デトロイト生まれ。クラシックのピアノとヴァイオリンを学び、ボストンのニューイングランド音楽院在籍時にジャズにやられて転向。以後何枚もの自己のアルバムやジャズでの共演は数えきれない実力派です。

Regina Carter (vln)
Eddie Palmieri (p), Donald Harrison (as), John Benítez (b), Giovanni Hidalgo (congas), Horacio "El Negro" Hernández (ds), Conrad Herwig (tb), Doug Beavers (tb), Brian Lynch (tp), Guest: Nicholus Payton (tp)

さて、場所を東海岸NYから西海岸LAに。LAと言えばまずティンバレスのシーラEを!

3. Shiela E and the E-Trane : Closer from “Heaven” (2001)

https://youtu.be/yWph8AAiwJg

シーラEは本名シーラ・エスコベード。1957年オークランド生まれ。父はティンバレス奏者、バンドリーダーのピート・エスコベード(メキシコ系)(母は仏クレオール系)。シーラは音楽一家で育ちます。サンタナ、アステカのメンバー、コーク・エスコバードは叔父にあたる人。父に伴われステージ&レコードのデビューをし、76年アルフォンソ・ジョンソン(b)のアルバムでソロ・デビュー。以後ジョージ・デューク・バンドに参加し、ハンコックの『モンスター』(83)にも参加。マーヴィン・ゲイのツアーメンバーにもなり、83年独立。84年の『グラマラス・ライフ』が大ヒットしてスターに上り詰めます。以後数々のヒットを連発し、共演の依頼も多数。例えば96年の安室奈美恵公演、98年のフィル・コリンズ公演、02年のビヨンセ、03年プリンス、07年ホァン・ルイス・ゲーラからマークアンソニーまでと引っ張りだこ。特にプリンスとは共演期間は長く、プリンスでシーラEを知った人も多いでしょう。

本作はプロデュース、作編曲から演奏、アートディレクションまでの才能があふれた作品です。

Sheila E.(Produce, 作曲、編曲、ds, perc, vo, Mix, Art direction), Maurice Fitzgerald (b)
Renato Neto (kyd), Mano Hanes* (kyd)

さて、ここで日本にもどって前述の「FIESTA LATINA」の言い出しっぺで、もちろん出演もしているNORAの曲を。

4. NORA /Sabor A Mi from Tratame Como Soy/Cuban Colors (1999)

https://youtu.be/MPk8i5W_q_o

NORAは言うまでもなく日本を代表するサルサ・バンド、オスケスタ・デ・ラ・ルスのリーダー&シンガー。
本作はNORA名義のキューバ録音で、キューバのミュージシャンと制作したセルフ・プロデュース作品です。曲は言わずと知れたラテンのスタンダート&名曲です。

Nora Suzuki (vo, produce)
Lazaro "Fino" Rivero Alarcón (b)他, Abraham Mansfaroll (bongos, bata, perc), Yaroldy Abreu Robles (congas), Orlando Sanchéz (ts), Juan "El Peje" Carlos Rojas (timb), Geandelaxis "Mandella" Bell Carbonell*(tb)他, Alexander Brown(tp) Luis Valle (tp), Reynaldo "Molote" Melián(tp)Orlando "Maraca" Valle(arr),

Guest: Miguel "Angá" Díaz (congas), Orlando "Maraca" Valle (fl, p),Chucho Valdés (p), Pancho Amat (tres), Issac Delgado (vo), Lazaro Cardenas Dalau (g 5)Yoshiro Suzuki (perc)Masaru Okuyama (p 10), Orlando "Maraca" Valle (tracks: 7, 9)Ken Morimura (p 11)

次は、「FIESTA LATINA」を実質的に仕切ったボーカルの奈奈カンタリーナ阿部道子(kyd)と共に率いるグループAfro Urbanityから1曲。アフロ・アーバニティはアフロキューバンなどのラテン音楽を「アフロ」ルーツのある音楽として現代的解釈・現代的サウンドで作り上げたかっこいい音が魅力です。ジャズやファンク、時にヒップホップまでが重なる音はとても個性的!

5. Oggun/アフロ・アーバニティ from "Afro Urbanity" (2019)

曲は2019年の衝撃のファースト・アルバムから。「FIESTA LATINA」のライブにも参加のSAYAKA(vln)をフィーチャーしています。

なおアフロ・アーバニティは2022年10月22日、3年ぶり2枚目となるアルバム《DESDE TOKIO》のデジタルリリース。


下記の様々な配信で聴けます。
https://linkco.re/4mM0gEsx
リリース記念ライブを 2022年11月9日(水) JZ Brat sound of Tokyo にて 開催します。SAYAKA氏率いる”CHAKA STRINGS QUARTET”をスペシャルゲストで参加します。

阿部 道子 (p, Kyd,作編曲、プログラミング), 奈奈カンタリーナ (vo, 作編曲), 津垣 博通 (kyd), 小泉 哲夫 (b), 吉羽 一星 (timb, perc), 加納 樹麻 (ds), 関 弘太 (congas, bata, chekele, perc, vo)l
Guest: SAYAKA (vin), 宮本 仁 (congas)

では日本から離れてカナダに。サックス奏者のジェーン・バネット率いる女性だけのグループ、「マケケ」

6. Jane Bunnett and Maqueque / On Firm Ground (2019)

https://youtu.be/IZ6dz9-w0xo

2014 年の結成以降、ニューポートやモントレー、NPRなどに出演しファースト・アルバム『Jane Bunnett and Maqueque』でジュノー賞を受賞、セカンド・アルバム『Oddara』でグラミー賞にノミネート、最新作は『On Firm Ground/Tierra Firme』

Jane Bunnett(ss, fl)、Joanna Tendai Majoko(vo)、Mary Paz(conga, vo)、Dánae Olano(p)、Tailin Marrero(b)、Yissy García(ds)。

次は南に下がってプエルトリコでジャズとボンバの共演する作品を発表したピアニスト、ブレンダ・ホプキンスを。

7. Brenda Hopkins Miranda /Aeropiano From Aeropiano (2014) 

https://youtu.be/SFlsTA7LkRY

ブレンダ・ホプキンスはプエルトリコ生まれ、(アメリカ人の父とプエルトリコ人の母)。プエルトリコ音楽院でピアノを学び、以後数々のレコーディングに参加しジャズを中心に様々に活動しています。
兄はプエルトリコのメタル/フォルクロリック・バンドのPUYAのベースト。本作には彼のグループのタンボール・カリエンテがボンバの曲に参加。またベースはCAFEZZで来日したエギ・シエラ。

Brenda Hopkins Miranda (p, perc), Hector Matos (ds): drums(2, 3, 5, 6, 7, 12, 14, 15), Luis Edgardo “Egui” Sierra (b), Enrique “El Peru” Chávez (perc), Osvaldo A. Ortiz Allende (cello), Jorge Luis Morales (tabla), Maria de los Angeles Argote Molina (voice),
Tambor Calieste : Harold Hopkins Miranda (b), Gilberto Alomar (g), Marcos Peñaloza (Bomba barrill), José L. Elicier (Bomba barrill), Angel M. Dávila (Bomba barrill)

そして南米と日本とポルトガルをまたにかけ、活躍する松田美緒を。

8."Palo y Tamboril" 松田美緒&ウーゴ・ファトルソ from "La Selva" (2021)

https://youtu.be/h3ulxslZlXY

ウルグアイの転載ピアノ奏者ウーゴ・ファトゥルソと組んだ作品から1曲。なお本年9-10月に京都、東京でウーゴとのライブを行っています。

松田美緒(vo)
ウーゴ・ファトルーソ(key)、アルバナ・バロッカス(drms, per)

ゲストミュージシャン:フランシスコ・ファトルーソ (b) ニコラス・イバルブル(g) 渥美幸裕(g)他

最後は「FIESTA LATINA」でも大トリを務めた岸のりこ。

9.Parablas /岸のりこ from Doce Recetas De Amor 恋の12の料理法 (2013)

岸のりこは大学卒業後、演劇活動と共にジャズ歌手として活動。1982年には当時日本では数少ないサルサバンド「オルケスタ・246」に参加、以後数々のラテン音楽フエスティバルにも出演。キューバ国立民族舞踊団に留学し、キューバでの3年間の音楽活動でTV,ラジオ出演やぺージョ・エル・アフロカン、パウリ―トF.G.,ロス・バンバンなどキューバの代表的ミュージシャン達とも共演しています。

その後、ベネズエラのソニーミュージックと契約しCD「NORIKO」をリリース。以後アメリカ本土に拠点を移しマイアミ、ラスベガス、ニューヨークにてTV出演、ライブ活動。2000年より日本で活動。2013年、CD「恋の12の料理法」を発表するなど、精力的に活動しています。2020年には“ジャズ大賞”(日本ジャズ音楽協会)を受賞。
その受賞作よりラテンの名曲「Parablas」を

納見義徳(perc),あびる竜太(p),澁谷和利(b)加塩人嗣(as)伊波淑(perc)毛利真帆(coro)

9 月は以上です。ありがとうございました!気に入った方はぜひ「スキ」(ハートマークのクリック)をお願いします!
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「世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。
進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。
鎌倉FMの周波数は82.8MHz。
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