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瀬戸内のアートに触れる旅 #4|李禹煥美術館で考える「関係」

2日目の概要

直島滞在の2日目。この日は、地中美術館と李禹煥美術館を巡る。前の記事では、地中美術館を訪れた様子を記載した。引き続き、この記事では李禹煥美術館について記載する。

李禹煥美術館に向かう

地中美術館を出るタイミングで、軽い雨が降ってきていたんですよね。それと、李禹煥美術館に向かうにあたって、シャトルバスを利用するとなると30分くらい待つ必要があったため、もともと予定していたとおり歩きで向かうことにする。

傘は持っていなかったけど、レインウェアは着ていたので、フードを被ればそんなに濡れるほどでもなかったですしね。結局、10分もしないうちに到着することができた。

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屋外の展示エリア

で、外の作品を見るなら雨が強くならない今のうちだ、と思って、そのまま草上の展示エリアに繰り出す。

  • 関係項

  • 無限門

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内部へと向かう

いよいよ建物の内部へ。こちらもまた安藤忠雄建築であり、むき出しのコンクリートがそびえたつモダンなデザイン。とはいえ、いい加減このあたりで安藤デザインに対する耐性がついてしまったせいか、驚きは多少薄れてしまったかもしれない。

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受付で、チケットを購入するとともに、参照用のブックレットを配っていたので受け取ってみた。各種の展示に対して「問い」が記載されていて、貼られた付箋に対してそれぞれの鑑賞者が自身の回答をメモしていくというもの。

たとえば、先の写真にある「関係項-対話」については、「これは、何と何の対話を表している?」というような問いが記載されている。やっぱり、他の人の感性とか感覚に触れてみるっていうのは面白いですね。(と言いつつ、自分の回答を記載することはなかったのだけれど。)

「関係項」という作品、初めて知ったときに興味深いと思ったんですよね。実際に配置されている物体は、変哲のない岩だったり鉄板だったりする。ただ、それらが複数存在する時には、相対的な位置関係が必ず発生して意味を持ち、さらにその関係性を捉える自分自身の視野や角度が掛け合わされることで、見た目はまた形を変える。

そんな"関係"の中にあって、個人的にはちょうどバランスがとれていて美しいと感じる視点が存在していて、そんなポイントを探しながら鑑賞することが面白いと思っている。

そして、さらに鑑賞者が他にもいる場合には、その人もまた一つの要素として含めた上で、新しい"関係"が見い出されると思うんですよね。つまり、自分自身も、他人の目から見れば、一つの要素としてその作品の一部になれるというわけ。

このような人自体も美術館という空間作品の一部とするような考え方って、前の記事で触れたクロード・モネの睡蓮の展示室の検討にあたっても、絶対に盛り込まれているんじゃないかと(勝手に)思っている。

そんな「関係項」を中心に、沈黙の間・影の間・瞑想の間という、それぞれ趣向が異なるいくつかの部屋から成り立っていたのが、この展示でした。

それで、展示室を出てみると、どうやらこのタイミングで雨が上がっていたんですね。なので、また違った表情が見られるのではないかと思い、最後に駆け足で、先ほども見た屋外の展示エリアを再度回った後、バスにて帰路についたのでした。

おわりに

夕方以降、雨がすっかり上がってむしろ晴れてきたので、本村エリアから宮ノ浦エリアまで歩いてみたり、ライトアップされた直島パヴィリオンを拝んだりして、ゆっくりと島時間を堪能した。

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あと、余談だけれども、ぜひ写真に収めておきたかったのが、この「なおしま」号。

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いつかのCasaでこの船体が表紙に乗っていたのが印象的で、その写真でもこんな感じで「ましおな」というアラビア語のような右から文字が記載された状態になっていったので、一目見るとなんだこれ?となるようなカバーではあったのだけれど、きっとそれが心のどこかに引っかかって一種の羨望となっていたことがあったのだろう。それ自体も実物を見られて嬉しいと思った瞬間だった。

この冊子がちょうど宿泊先にも置いてあって、読み漁ってみたりもしたのでした。

今日の一曲

「関係項」にあやかり、人と人との関係・関連から連想した曲。
サカナクション - エンドレス


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