当たり前が当たり前になるように by#せかい部×SDGs探究PJ高校生レポーター 渡辺 凜(中央中等教育学校)

あなたにとって「当たり前」とは何だろうか。きっとそれは人それぞれで考えは違うと思う。世界には、私たちが「当たり前」だと思っていることができないひとがたくさんいる。人々の「当たり前」の概念を変えることは、きっとジェンダー平等への一歩になると私は考える。

①この活動を通した意識の変化
 
 まず、この「せかい部×SDGs探究」高校生レポーターとして活動できたことに感謝を伝えたい。私は、学校の先生がこのプログラムについての紹介をしていたのをきっかけに、レポーターに応募した。中学一年生のころからSDGsに興味があり、その中の「ジェンダー平等を実現しよう」に焦点を置き、3年間研究を続けてきた。

 中学三年間はジェンダー問題の基本的なことについて学び、その後「LGBTQ+」に興味を持ち、当事者の生きづらさや今の世界の現状を知り、その苦しさを理解してもらえるように学校や学校外でも発表を何度もした。また、身近なことから始めることが大切ではないのかと考え、「メンズメイク」を勧めてきたりもした。

 正直に言うと、「レポーターになれたらラッキーだな」と軽い気持ちで応募した、このせかい部×SDGs。だが本当に驚くぐらいに自分の中で、意識が変化した。周りのレポーターの高校生の行動力とやる気と意識の高さに刺激された。

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②テーマ 「ジェンダー平等を実現しよう」

途上国にも先進国にもある
あらゆる形の女性差別をなくそう

世界には女の子だからという理由で学校に行かせてもらえない、大人になる前に自分の意志ではない結婚をし、出産や家事をしなくていけないという国や地域が数多くある。このような開発途上国での深刻な状況だけでなく、日本を含め、先進国でも、雇用や労働賃金、財産、家事の分担、社会におけるリーダーシップなど、さまざまな場面で女性は差別や不利益を受けてきた。日本政府はSDGsの「誰も取り残さない世界」の実現を目指し、積極的な取り組みを進めてきた。しかしながら、ジェンダーギャップ指数が示すように、世界との比較では日本にもまだ大きな課題が残る。

どの性別であってもすべての人が
自分の意欲に応じてあらゆる分野で
能力を発揮する社会をつくる。

SDGs目標5は「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う」ことだ。これを実現するために、社会の制度や「いままでこうだったから」という慣行を見直そうと呼びかけている。
せかい部×SDGsホームページより<https://tobitate.mext.go.jp/sekaibu-SDGs/gender/>
ジェンダー平等は最終的なゴールが明確ではないから、とても難しいと国立女性教育会館、NWEC<https://www.nwec.jp/>の佐野敦子さんは言う。
 また、国際的な視点で見ることで、日本の本当の課題が分かるらしい。日本だけの問題ではなく、グローバルな問題として捉えていくことが大切だと学んだ。

③あなたはジェンダー差別を受けたことがありますか?

 正直に言えば、戸籍上女性として生まれてきて、今まで生きてきて、私はジェンダー差別を受けたことはない。差別的な言葉を言われた覚えはないし、困ったと感じたこともない。でもそれは私の主観的な受け止め方にすぎない。

 そう気づいたのが、ジェンダーを学び始めた中学一年生のころだった。「女性だからピンク、男性だから青でしょ?」「女性はスカート、男性はズボンを履きなさい」そう言われた経験のある人は少なからずいるはずだ。

 また、大人になるにつれ、ジェンダー差別は深刻化していくと思われる。日本では安倍政権が成長戦略のひとつとして「女性の活躍」を掲げ、各方面で積極的な女性登用を図っており、日本の男女間格差もなくなりつつあるようにも思われる。

 日本法規情報株式会社が昨年、同社が運営するサイト『セクハラ・パワハラ相談サポート』『育児休暇取得相談サポート』『雇い止め・リストラ・解雇相談サポート』の運用情報や相談者へのアンケートを元に「男女間格差に関する調査レポート」について発表したレポートによると、男性を優位に感じている男性は6割を超え、女性では約8割にも及ぶことがわかった。

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アンケート調査の結果、「男性優位・少し男性優位」と感じている人が、男性では合計63%であるのに対して、女性では合計78%に上っていることがわかる。一方、「女性優位・少し女性優位」と感じている人は、男性では合計15%であるのに対して、女性では合計4%にとどまっている。「おおむね男女平等」と感じている人は、男性で13%、女性で9%という結果。男性においても「男性優位・少し男性優位」が「女性優位・少し女性優位」を上回り、女性の視点からだけではなく男性の視点から見ても男女間格差を感じていることがわかった。

 1985年に男女雇用機会均等法が制定されてから今年で31年目になる。国や地方自治体では、育児支援のほか、相談窓口を設けるなどしてさまざまな活動が行なわれてきたが、まだまだ多くの人が男女平等を感じられる世の中にはなっていないようだ。


【調査概要】
調査期間:2015-12-05〜2015-12-31
回答者:1052人(男性505人 女性545人
みんなのライフスタイル@DIME <https://dime.jp/genre/363172/>

④ジェンダーギャップ指数について
 
 みなさんは、「ジェンダーギャップ指数」というものを知っているだろうか。 ジェンダーギャップ指数とは、「健康と生存率」、「教育」、「経済活動への参加と機会」、「政治への参加」の4つの領域で、男女間の格差がどれくらいあるかをみている指数である。日本の順位が低いのは、「経済」と「政治」の分野で「経済」では、男女間の賃金格差が大きい。「経済」でも「政治」でも、方針決定に関わるポジションに占める女性割合が著しく低い。

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男女平等参画局<https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2019/202003/202003_07.html>
 男がやるべきとされる労働はお金が入り、女がやるべきとされる労働は無報酬。これが一番根本的な問題なのだそうだ。また日本は先進国だから、お助けがこない。そうなると自力で上げていくしかない。自力で意思決定の場に行くしかない。だが、どこの国もそうだが、途上国も国連の支援が入っているとはいえ、主体は必ず市民社会。その国の一般の女性だ。女性たちが連帯して、声を上げて、女性に不平等な社会の仕組みを変えてもいる。今こそ、私たち女性が立ち上がるときなのではないのだろうか!

⑤ニュージーランドの例 

 女性が連携し、声をあげて積極的に活動している国の一つに、ニュージーランドがあげられる。私たちはニュージーランド大使館・エデュケーション・ニュージーランド駐日代表<https://www.studyinnewzealand.govt.nz/jp>の北岡美佐子さんにお話しを伺うことができた。
 ニュージーランド議会の半数近くは女性で、LGBTの方もいるという。子育て支援もあり、レディー・ファーストが主流。ケイト・シェパード氏やジャシンダ・アーダーン首相などの女性の活躍が目立つ。

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⑥自分自身の思い

 ジェンダー問題について語るということはものすごく難しい。そして、明確なゴールがないため、人によって考え方や価値観も本当に多種多様だ。今回、このせかい部×SDGs探究PJ高校生レポーターとして活動しているうちに、本当にたくさんの考え方を学び、自分自身何が正解なのか、不正解なのか、よくわからず、悩んでいた時期もあった。
でも、絶対に「正解」「不正解」などなくて、それぞれの中で、最終的な目標を定めればいいのだと学んだ。それは、日本と海外の違いのようでもあり、数々の先生レポーターの方々は、このようなことを多くおっしゃられていた。
「他の国の景色を見ないと、今の状況が当たり前だと思ってしまう。」
私はこの活動を通して、本当にたくさんのことを学ぶことができた。人々の「当たり前」の概念を変わって、誰一人取り残さない社会で生きていたい。みんなが堂々と自分に誇りをもって生きられるような社会で生きていたい。その社会を築き上げていく一員となるのが、今の私のゴールだ。



渡辺 凜 中央中等教育学校(群馬)  
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