日本における貧困って何だろう。 by 酒井愛珠 / 都立国際高校(東京)#貧困をなくそう
みなさんは日本の貧困の現状を知っていますか?
私は今回#せかい部×SDGs探究PJの活動を通して、学校以外の学べる場所に視点を当てて講義を受けさせていただきました。NPO法人キッズドアさんやNPO法人Learning for allさんたちのプログラムを受けてわかったこと、みなさんと共有したい「私が感じたこと」を書いていきたいと思います。
貧困の定義
みなさんは貧困の定義が何かを考えたことがありますか?
私は今まで貧困という言葉で想像するのは、アフリカや途上国の人々のようなご飯が十分に食べることが困難である、きれいな水がもらえない。そんな漠然としたイメージでしかありませんでした。私は日本の中の貧困の意味がわかっていなかったようです。しかしながら、そのような絶対的貧困ではなく、日本の貧困とは「相対的貧困」です。これは、その国の中の生活基準に対して、適正な水準での生活を送ることが困難な状態のことを言います。そして日本では、現在7人に1人の子供が貧困状態にあります。私はこの数を聞いたとき、とても驚きました。身近なもので例えると、1クラス40人としてクラスに5人以上の子が貧困状態にいるといえます。みなさんもびっくりしたのではないでしょうか。
そしてひとり親家庭の貧困率が高いということがわかっています。
50.8パーセント。およそ2人に1人ひとり親家庭の子供が貧困状態にいます。
ここでもう一つ驚きの事実をお教えします。
日本のひとり親は、世界一働いているのに、世界一貧困な世界一のワーキングプアであるということです。子供の貧困は日本の社会構造の欠陥がうみだしているのです。
ここでもう一度みなさんに質問します。
貧困の定義について考えたことはありますか?
キッズドアのアレックスベンカートさんによると、貧困の定義は次の3つで成り立っています。経済的資本、社会関係資本、文化的資本です。この中でキッズドアなどの事業は3番目の文化的資本を高めるための活動を行っています。
貧困の連鎖
子供の貧困を放置するとどうなると思いますか?ここでいままでの講義を受けてきて、私が「キーポイントだ。」と思ったのは、貧困は連鎖するということです。
低学力は貧困に深く関わっています。世帯収入が少ないほど学力が低くなるのです。低学力になってしまう原因として、教育に投資できないことや、相談相手がいないことや、勉強方法がわからないことが挙げられます。家庭の経済的環境と子供の学力は相関関係にあたり、学力の格差はのちに経済格差、教育格差以外にも進学格差や将来の収入格差も低くなることがわかっています。将来の収入が低くなるということは、その子供たちにも十分な教育ができなくなる可能性があり、貧困の連鎖(負のサークル)から自力で抜け出すのは非常に困難になります。そのためにこのような循環を完全に断ち切る支援などをしているのが、今回講義をしてくださった、NPO法人キッズドアやNPO法人Learning for allといった団体が支援事業を進めています。
このような原因を抱える子供たちの居場所をキッズドアやLearning for allなどが運営されています。学習支援に加えて、食の支援、進路相談、居場所支援を行っています。この居場所を活用していままでもたくさんの子供たちが学習環境を獲得できています。
そしてLearning for allの現場では、学年が早ければ早いほど学力の回復は早く、遅れを取り戻すことができるということがわかっています。小学生のうちからアプローチすることが本当に大切なのだと思います。でも、それは周りの大人たち、友達でも困っていることに気づけなければこの貧困の連鎖を防ぐことは難しいのです。何よりも今の時代に学校を休むことがタブーにとらえられたり、自分の貧困を周りの大人たちに話すことがなかなかできない状況にあると私は思います。このような状況を変えていく必要があり、地域、区や市などの大きな単位で変えていく必要があるのではないでしょうか。
貧困の連鎖をなくすために今できること
最後に、NPO法人キッズドアのアレックスベンカートさんに教えていただいた貧困対策に必要な3つのものを共有したいと思います。一つ目は経済的支援に限らないこと、二つ目はさまざまな事情を認めること、最後の三つ目は「公平<平等」を優先し、適切な支援を提供することです。
私も今回のこのせかい部×SDGs探究PJに参加するまで、日本の本当の貧困の意味を分かっていませんでした。SDGs1番の「貧困をなくそう」、日本国内での解決方法としては、貧困を連鎖させないことがカギだと思います。そしてそのためには、先ほども述べたように貧困の家庭だけでなく周りの人、そして日本のすべての人が少しずつ関心を寄せること、自分ごととして捉えることが何よりもこの問題を解決させるための近道になるのではないのかと思います。
都立国際高校(東京) 酒井愛珠
#せかい部 ×SDGs探究PJ高校生レポーター(1.貧困をなくそう)
#貧困 #キッズドア #Learning for all #自分ごと
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