地球を守ろう!SDGs生物多様性 ~世界の山頂で、SDGsをさけぶの巻~ by 中山公太郎 / 芝高等学校(東京)#生物多様性を守ろう

「もう限界だ!」

この声が聞こえるかい?
僕には聞こえる、ハッキリと。

今、彼らは叫んでいる。
「何やってんだ、ヒト。お前たちは、地球を破滅の道に追い込んでいるのがわからないのか?」と世界中から、叫んでいる。

本当に聞こえない?
じゃあ、聞こうとしてくれ、彼らの悲しげな叫びを。
きっと聞こえる、あなたなら…


【 山男の誕生 】

 そう、あれは4年前。中高一貫校に入学した僕は、サッカーも野球もバスケもできやしない。でも、やっぱり男ならカッコ良くなりたいじゃないか!そうだ、僕には足がある。登れ山!大自然を満喫するアウトドア系男子もナカナカええじゃないか。気楽に入部したワンダーフォーゲル部が、僕に背負わせた課題とは?!

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【 山男の試練 】

 「つらぁーい」でかザックには、着替え、テント、寝袋、食料、鍋、水…。山頂での自給自足を担う荷物は25㎏を超え、重たさが身体にかかる。一歩一歩踏みしめる大地。目の前の景色?なんて見る余裕はない。前にいる友のザックを必死に追う。何が大自然を満喫だぁ。頭に過るのは、「帰りたい」の言葉だけ。雨で濡れた岩に足元をすくわれないように注意しろ!喚起の中、前進あるのみ。一時の休憩でふと横を見ると、下界では見られない高山植物が僕を迎え入れてくれている。隊列の先頭からは、「ライチョウ発見!」との声。疲れていたはずの身体がヒョイと身軽に動く。かわええ~

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【 大自然 】

 3000m級を超える山々からは、さまざまな大地の恵みを感じることができる。澄んだ湧き水、高山植物、野生動物、ゴツゴツとした岩石…。美しい自然は、人の手によって作られるものではない。自然環境の中で何億年もの時をかけて織り成される究極の美だ。時には地震や噴火、台風などの脅威が大地の姿を変える。人が手出しのできない地球のキャンパス、それが大自然だ!   

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【 生物多様性 】

 わかるようで、わかり辛い言葉「生物多様性」。ちゃんと説明できる人は少ないと思う。
だから、簡単に説明するぞ!

・僕たちの周りには、山•川•海・町、たくさんの種類の自然環境があるよね。これを「生態系の多様性」。
・地球には、動物•植物•昆虫、たくさんの生き物がいるよね。これを「種の多様性」。
・色•形•模様、たくさんの個性があるよね。これを「遺伝子の多様性」。

この3つの多様性があって、地球は豊かに保たれる。つまり、全部あって地球ってこと!もしも、人間だけが存在する地球だったらと考えてみて? 肉•魚•野菜の無い地球。森•川•海の無い地球。あり得ないでしょ!

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 植物が酸素をつくり、森は水を蓄え、微生物は豊かな土壌を作る。衣服や食料、医薬品など生活に必要な資源とし衣食住を支え、地域の多様な生態系や生き物は、景観やお祭り、郷土料理などの文化の土台となる。また、森林や湿地は土砂崩れや洪水などの災害から僕たちを守ってくれる存在でもあるよね。
 これらの生物多様性からの恵みを「生態系サービス」っていうんだ。

【 絶滅危機 】

 地球には、本当にたくさんの生き物がいるよね!どれくらいいるかって? 今、わかっているだけで175万種、未知のものを含めると3000万種とも言われているんだ。そして、なんと日本は9万種以上の生き物が存在している世界でも誇れる自然あふれる美しい国なんだ!さすが四季がある日本。と、ここで一つ。実は、日本と同じ緯度で世界をみてみると砂漠が多いことがわかる。でも、日本はインド洋を通る偏西風のお陰で豊かな自然あふれる姿となるのだ。   

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▼1975年以前は1年間に絶滅する種数は1種以下

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 しかし今、人間の活動が生き物を絶滅に追い込んでいるって知っていた?なんと1年間に4万種の生き物が絶滅している!うそだろーって思った人、じゃあ聞いてみればいいじゃん!

【 生物にインタビュー 】

#僕らだって別に森から下りたい訳じゃない。昔と違って、里山が荒れて人間の暮らす場所との境界線がわからないだけだよ。人を襲うって怖がられているけれど、僕らのほうが人間怖いよ。すぐ、撃つし。ベアドックで追い払ってくれれば、覚えるよ。それにしても、どんぐりの実が少なくてお腹がすいたなぁ。byクマ

#登山者をほっと一息させる私たち。ひっそりと咲いているんだから、むしり取るのはやめて!私を持ち帰っても下界じゃあ咲けないわ。最近は、この場所の気温が高くなってきたの。何故かわかる?by高山植物

#最近、人間たちは携帯電話っていうヘンテコリンなものを耳にあてているよな。あの道具には、レアメタルっていう金属が使われているんだけれど、その資源は俺たちの暮らす森林にあるんだ。人間って奴は、好き勝手に森林を破壊し、採掘に目をギラギラさせていやがる。俺たちはどこで暮らせばいいんだよ。byゴリラ

#僕の自慢は、この牙。そりゃあ、こいつを見れば欲しくなってしまうのもわからなくは無い。でもさぁ、牙の密輸のために乱獲ってどういうことだよ。個体数を考えないで殺すのは人間だけだ。野生動物も互いを捕食するけれど、それは生きるためにいただく大切な命とわかった上だ。byゾウ

#7000㎞も泳ぎ、やっと産卵のために故郷に帰ってきた私。こんなゴミだらけの砂浜では、大切な子供を産めやしない。それと、大好物のクラゲかと思って食べたらビニール袋で苦しくて苦しくて。by海ガメ

#なんかさぁ、プラスチックごみっていうのがさぁ、水深5700mにどんどん溜まってくるんだけれど。これ食べられるのか?by深海魚

#私たちは美しいだけじゃなくて、小魚と共存して幸せにくらしているの。それなのに、最近の30℃を超える海の温度に、もう限界だわ。自然の防波堤として、陸地を波から守っているのも私たちなのに。byサンゴ

#南極の極寒の地で暮らす私たち。氷の隙間から海に入り獲物を仕留めるのは至難の業よ。何年かに一度、ほとんど氷がはらない年があるの。生態系が崩れるって心配してくれる人もいるけれど、私たちは今のところ元気に過ごせているわ。魚が取りやすくて太っちゃうくらい!でもね、安心はできないわ。これ以上の環境の変化に耐えられるかどうかは、経験したことがないもの。そんなの味わいたくもないわ。byペンギン

#水田、ため池、雑木林。さまざまな要素を含んだ山からの湧き水は美味しかったなぁ。いつからか、化学肥料っていうのが撒かれ、どんどん仲間が減っていった。最近は、人まで居なくなって、もう水田も干からびた。もう、生きられぬ。byタガメ

#嫌われ者だってことは重々承知。でも、人間だって私の見事な刺し口をまねして痛くない注射針(バイオミミクリー)の開発してるじゃな~い。by蚊

#俺たちの仲間は、どんな環境変化にも適応できちゃう優れもの。塩素が強い土壌にだって、岩壁にだって生息している仲間がいるんだ。俺たちの適応能力をもっと知れば、食糧危機なんてやってこないぜ!by小豆

#昔は、林業者っていう者たちが森にはいってワシ等の面倒をみてくれたのになぁ。最近は荒れ放題。これじゃあ、りっぱな木は育たんよ。by杉の木

#なんでもかんでも俺たちに吸い取らせて、微生物くんたちに分解させようなんて、随分と強引すぎるんじゃあないかい。俺たちは自然物質を分解したいんであって、汚染物質は俺たちだって大っ嫌いだ!by土壌

#公園で子供たちがよく私たちをフゥーってして綿毛を飛ばして遊んでくれたわ。でも今では仲間が激減。え!タンポポ咲いているよって。それは殆どがセイヨウタンポポっていう外来種よ。セイヨウタンポポの繁殖力に負けたのよ。外国から違う種の生き物を勝手に持ち込んだのは、誰よ!byカントウタンポポ

#私たち生き物は、人間と上手く共生してきたわ。なのに、いつから私たちの存在を無視してしまったの?生き物はいったん絶滅してしまうと二度と地球上に戻ることはないのよ。そしてその影響は、もちろん人類も例外ではないと言うことを、忘れているのでは?by生物多様性代表

【 何ができる何をする 】

 どぉ?生物たちの声、聞こえたでしょ!みんな、人間のやりたい放題にうんざりだったよね。この「叫び」を聞いて、少しは何かしなくちゃって思ってくれた人 thank you! でも、何をすれば良いかって?それは難しいことじゃないんだよ。

1.地産地消を心がけよう! 運搬によるCO2排出の削減につながり、不揃い品も販売できて無駄なし。
2.食べ残しや買いすぎに注意! 日本の食品ロスは国民全員が毎日お茶碗1杯分の食料を捨てている計算になるくらい多いんだ。
3.買い物袋を持とう! プラごみは、環境破壊につながる。深海魚や海ガメも困っていたよね。
4.エコマークの商品を選ぼう! 環境にやさしいと認定された商品だよ。
5.自然に触れよう! 自然に触れ、愛することで環境意識が高まる。可愛いって大切。
6.みんなに広める! 1~5番までを、みんなに広めて欲しい。全員がやってくれてこそ地球は守られる。

まずは、この6つをお願いしたい!なーんだ、
簡単なことじゃんって思うでしょ。

【 山男の渾身の訴え 】

伝統、祭り、言い伝え、文化。これらは地球ができ生命が宿った中で、大切に受け継がれてきたものだ。科学が発展した今、そんなことは迷信だって笑う人もいるだろう。しかし、昔の生活は知らず知らずと完全リサイクルの法則に則った美しい循環型システムだった。いつから「ヒト」は自然を破壊する凶器に変身していったのか。「地球の中で生かされている」という認識の欠如は、環境破壊を招くだけでなく自然災害の引き金を人間自らが引くことに繋がるのだ。日本の四季それぞれ景色は、人を魅了する。これを美しくないという人はいない。しかし、自らがこの自然の美しさを壊していることに気がついていない人が多くいることに悲しみを隠せない。発信力の大切さ、知ろうとすることが保全に繋がる。目の前にあることが当たり前でないことを知ってほしい。この当たり前は、誰かが必死に守ろうとする活動をしてくれた成果であり、それを知らないことは恥である。多くの企業も、この地球の危機的状況に動き始めている。自らが気にかけて目を向けることで見えてくる実態がある。無関心こそが一番の破壊者なのだ。

楽しむ=そこを守る活動があってこそ。
自分で出したもの=自己責任とする。

【 山男の醍醐味 】

 「辛い」僕が山を登るとき、この言葉しか浮かばない。しかし、その言葉の何百倍もの力を大自然は見返りとして僕に与えてくれる。ワンダーフォーゲル部の活動が僕に自然との共生を考えさせるきっかけを与えてくれた。山頂は何もない空間。そこにあるのは地球本来の姿のみ。そこに置かれたとき、人は何を思い何を考えるのか。この大地に命を与えられたすべてのものが、この美しい景色の中にいる。日々の生活で忘れがちな、共に生きられることの素晴らしさを実感するために、僕は山に登る。

そして、山男は愛をさけぶ。「みんながいて地球だ!」


青い海、緑あふれる山々、川のせせらぎ、鳥の声、こんな美しい惑星は「地球のみ」
あなたは、この美しい地球に暮らし続けたいですか?それとも…

すぐにでも、誰にでもできる!
地球を守るのは、みんなの心がけひとつ。

▼奥穂高岳3190m(涸沢ヒュッテ)

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▼ともいき共生

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▼屋久島の縄文杉(樹齢7200年)  

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▼象使いの僕(タイ・チェンマイにて取得)

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芝高等学校(東京)  中山 公太郎 
#せかい部 ×SDGs探究PJ高校生レポーター(生物多様性を守ろう)


#せかい部 ×SDGs探究PJ高校生レポーター最終レポート
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