なぜ行動しないといけないの? ~気候変動~ by 大木佑香 / みつ朝日学園鹿島朝日高等学校(岡山) #気候変動に対策を

“You will die of old age. I will die of climate change.”(君ら大人は老衰で死ぬけど、僕は気候変動で死ぬだろう。)気候正義を求めた若者が、デモで掲げた言葉です。この言葉を初めて聞いた時、「そうか、私たちの世代は気候変動で死ぬかも。」と妙なリアルさを感じてぞっとしました。今回のPJではこんな衝撃をたくさん受けたので、それをたくさんの人にシェアできればと思います。

目次
1.現在の私達の生活
2.現在の地球と生き物
3.気候変動と社会問題とのつながり~アフガニスタンでは~
4.未来の地球ー今、行動しなかったらー
5.気候変動って悪いこと?
6.気候変動って結局何がいけないの?
7.温暖化懐疑論について思うこと
8.温室効果は、水蒸気の方が大きい⁉
9.エネルギーについて
10.プラスチックについて
11.私達にできること(衣)
12.私達にできること(食)
13.私達にできること(住)
14.まとめ
15.あとがき
16.参考


1.現在の私達の生活

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1日の生活に必要なエネルギーは江戸時代に比べて4~5倍。1900年頃に比べて10倍以上のエネルギーを消費。日本で世界の3.6%の二酸化炭素を排出。日本人が排出するCO2は1日、1人あたり25㎏。アパレル業界では供給される衣服の半数以上が売れ残り、世界で毎秒トラック1台分の衣類が処分されている。畜産に必要な水の量は、牛肉1㎏あたり15,415L、卵1個あたり約196L、牛乳コップ1杯分(200ml)あたり約204Lと言われています。

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2.現在の地球と生き物

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気温や海水温が上昇し、北極では氷がとけ、各地で毎年のように「数十(百)年に一度」や「観測史上初」の気象災害が発生しています。熱帯の感染症が世界中に拡大。干ばつで水不足が起こったり、作物が生産できなくなったり、海面の上昇で住む場所を失う人もいます。もちろん人への影響だけではありません。海の酸性化、低酸素化が進み、世界遺産のグレートバリアリーフでは22年間でサンゴが半減。1年間で4万種もの生物が絶滅し、多くの命と生物多様性が失われています。

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3.気候変動と社会問題とのつながり~アフガニスタンでは~

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アフガニスタンでは、かつてない規模の洪水が頻発し草木が根こそぎ流され、農地の保水力がなくなり干ばつが起きています。農業で生計を立てていた人々は貧困状態に陥り、お金を得るための労働や結婚によって教育を受けられない子どもがいます。さらには仕事を見つけられずにいたところ、武装勢力に給料がもらえると誘われ、テロや襲撃に関わってしまう人もいます。気候変動は、貧困、早期結婚等のジェンダー、まちづくり、そして生物多様性にまつわる社会問題とも繋がっているのです。

4.未来の地球―今、行動しなかったらー

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未来のお寿司屋さんでは、イカ、マグロ、トロ、エビ、いくらなど、定番のメニューはほとんど食べられなくなるとされています。さらにこのままプラスチックの大量生産・大量消費・投棄が続けば、温暖化の進行はもちろん、2050年には魚より海洋プラスチックごみの量の方が多くなると考えられています。地球の気温が4℃上昇した場合には、気象災害の損害は世界で600兆ドル、世界の資産は360兆ドルとされているので、経済が破綻してしまうでしょう。経済と気候変動対策とのバランスが難しいとよく感じますが、対策をとらなければ結局経済は成り立たなくなってしまうとも思います。


5.気候変動って悪いこと?

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気候変動が生物に与える影響には、実はポジティブなものもあります。今回の探究活動で学んだのは、ペンギンは気候変動でちょっと得をしているということ。南極にすむペンギンは氷がとけて日光が当たることで、餌のプランクトンが大きくなり、体重が増えているのです。また、今まで寒冷な地域では育てられなかった温暖な地域の作物が、温暖化により収穫できるようになるとも言われています。


6.気候変動って結局何がいけないの?
気候変動にはポジティブな面があることをお話ししました。ではなぜ気候変動に対策が必要なのか。私が思う答えは、格差が拡大するのをとめるべきだからです。ポジティブな面もネガティブな面も、気候変動の影響の一部を見たものです。全体を見た時、ホッキョクグマは痩せ細って絶滅の危機に瀕しているのに、ペンギンは太っていく。災害に、より影響を受けるのは貧困層の方々です。気候変動が進めば経済の格差はより広く、深くなるとされています。地球上のあらゆる命が人間の活動によって奪われます。ネガティブな影響は、ポジティブな影響を圧倒的に凌ぐのです。
  

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7.温暖化懐疑論について思うこと
今回の探究でお話しを伺った専門家の方々からは、「地球温暖化が人為的なものではないとする懐疑論には根拠がない」とききました。また、今回の地球温暖化は人間活動の影響が主な要因である可能性が極めて高いということも教わりました。

気候変動はすでに始まっている。進んでいる。もう、気候変動が始まる前の地球に戻すことはできない。

ですが、気候変動への対策をとれば、地球温暖化が緩和する可能性はあります。一方で気候変動への対策をとらなければ、地球温暖化が緩和する可能性はゼロに等しい。つまり、行動しなければ、未来の命も地球の豊かさも必然的に失われる。だけど今行動すれば、多くの命が失われたり格差が広がったりするリスクを抑えることができる。最悪の事態になるのを防げるかもしれない、未来の誰かの命を救う希望がみえると私は思います。

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8.温室効果は、水蒸気の方が大きい!?
社会には、温室効果ガス=二酸化炭素のようなイメージがあると感じます。ですが、実際、地球の温室効果の5割、サイトによっては6割が水蒸気によるもので、約2-3割が二酸化炭素によるものです。ではなぜ、私達は二酸化炭素排出を減らす努力をするのか?1つ目の理由は、水蒸気のほとんどが自然の循環の中で発生するもので、人間活動による水蒸気の増加は1%にも満たないからです。2つ目の理由は、二酸化炭素が増加することで気温が上昇し、海などから水が蒸発、水蒸気が発生し、二重三重に温暖化が進んでしまうからです。

9.エネルギーについて
現在日本のエネルギー自給率は9.6%(OECD加盟国の中では34位)、再生可能エネルギー比率は16%(主要国では最下位)となっており、再エネ後進国や環境後進国と言われることがあります。再エネにかかるコストは国際水準に比べて非常に高く、海外では20万回以上航行しているバイオ燃料を使った商業フライトは、日本でいまだ0回です。     

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10.プラスチックについて
世界のプラスチックごみ問題の年間の被害総額は約1兆4千億円と報告されています。日本ではプラスチックリサイクル率が2017年時点で86%という数値が出ています。しかしイメージするようなプラスチックがプラスチックに生まれ変わるリサイクル(マテリアルリサイクルとケミカルリサイクル)はそのうち合わせて27%で、残りは単純焼却や埋め立ての14%、そして「サーマルリサイクル」の58%に分類されます。「サーマルリサイクル」とは、プラスチックごみを燃やした際に得られる熱エネルギーを回収することです。果たしてこれらがリサイクルと呼べるのか。これではプラスチックを新しく製造するために再び石油を使用することになってしまいます。今まで日本のプラスチックごみを輸出してきた中国や東南アジアの国々は、受け入れをやめはじめています。さらには、プラスチックをリサイクルするにしても製造するにしても、機械を動かすのにエネルギーを使ってしまうことにかわりありません。やはりプラスチックフリーを目指すべきなのでしょうか。


11.私達にできること(衣)
気候変動を緩和するために私達ができること。

それはきっと考えれば考えるほどたくさんあると思います。今すぐにでもできそうな生活に関わることから思いつく限り書いてみました。まずは衣食住の衣について。

・購入するものを決めて出かける
・本当に着る服、似合う服、長持ちする服を買う
・新品の服を見る前に中古の服を見てみる
・環境問題に取り組んでいる企業の服を購入する
・正しく管理、着用、手入れする
・環境にいい洗剤等を使う etc.

                
12.私達にできること(食)
・お腹いっぱいにして買い物に出かけ、衝動的な食欲で買わない
・エコマークがついていたり、環境問題に取り組んだりしている企業の食品を買う
・地元の食材を買う
・プラスチックの包装や過剰な包装の商品はできる限り購入を避ける
・食べきれそうなら賞味期限、消費期限が早いものを購入する
・食べきれる量だけ買う
・可能なら少しずつ肉、魚、卵、乳製品を減らしてみる。
・量り売りのバルクショップで買い物をする
・エコバッグを使う
・購入するものを決めて出かける
・期限を確認し適切に管理する
・賞味期限なら切れてもまだ食べられる
・果物や魚の皮等も食べられるなら食べる
・洗剤は少なめに、水は出しっぱなしにしない
・環境にいい洗剤やスポンジ、ラップを使う etc.

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13.私達にできること(住)

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・公共交通機関や徒歩、自転車を利用する
・防寒着等衣類で暑さ寒さ対策
・ごみの量を減らす etc.


14.まとめ
私達の生活には、想像もできないくらい多くの資源やエネルギーが使われ、大量生産・大量消費の中で生きています。世界中の人が日本人と同じ生活をする場合、地球2.8個分が必要だとも言われています。今の私達の生活が地球を破壊し、子どもたちの未来を奪っているかもしれません。気候変動への対策に取り組めば、他の社会問題にも解決するものがあるはずです。SDGsへの向き合い方は多様です。真っ向から取り組んでもよし。ファッションやトレンドとしてかっこよく取り入れてもよし。ただし、「トレンド」で終わすことなく、2030年の達成へ向けて、“継続的に”“みんなで”取り組んでいきましょう!最後に、エマ・ワトソンさんの国連スピーチより。
”If not now, when? If not you, who?“


15.あとがき
長文を最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。ここまで読んでくれたあなたに、「すごい忍耐力で賞」を送ります。おめでとうございます。途中でとばしてきた人にはあげません(笑)。
このレポートは、「自分が誰かに伝えたいこと」を意識して書きあげました。できるだけ正しく根拠のあるデータを使うようにしましたが……間違いがあったらすみません!誰かの心を動かせたら嬉しいです。#せかい部×SDGs探究レポーターとして活動してきて、大変でしたがすごく充実していました。メインに選んだテーマに関係なく、さまざまなプログラムに参加し、興味のあるテーマを新たに見つけたり、驚きや発見があったりして、もっともっと学びたくなりました。どの社会課題にも共通すると感じたことは、地道な支援や対策は大事だけれど、社会の仕組みや人々の意識を変えなければ完全な解決は難しいということです。高校生レポーターのみなさんのおもしろい意見や考えに刺激を受け、本当に楽しくて、もっと繋がりたい、話したい気持ちでいっぱいです。この大変な時期を乗り越えて、いつか会えることを楽しみにしています。最後に、このプロジェクトを運営してくださったみなさん、ナビゲーター、レポーターのみなさん、本当にありがとうございました。


16.参 考
このプロジェクトに登壇したナビゲーターさんたちの資料やお話
https://www.sfinter.com/topics/post-784/
https://www.hopeforanimals.org/environment/577/
https://youtu.be/pYpHs1p3uAQ
https://www.bbc.com/japanese/54534283.amp
https://kids.gakken.co.jp/kagaku/eco110/ecology0055/
https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/catch/archive/2019/12/1202.html
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/20107
https://youtu.be/RqZf5dl0CBM
https://skepticalscience.com/translation.php?a=50&l=11
http://daily-ondanka.es-inc.jp/faq/archives/id000617.html
https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/11/11-2/qa_11-2-j.html
https://www.google.co.jp/amp/s/data.wingarc.com/plastic_recycle-20920/amp
https://youtu.be/pc5sKlJxXJk
https://youtu.be/Z3ORiJXIyyc
https://youtu.be/jQbpLVI6DwE


みつ朝日学園鹿島朝日高等学校(岡山) 大木佑香
#せかい部 ×SDGs 探究 PJ 高校生レポーター(気候変動に対策を)

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