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一からわかる自民党憲法改正 上

一からわかるシリーズ第五回の今回は、自由民主党の憲法改正について解説していきます。
憲法改正の解説は一度では書ききれないため3回にわけて解説していきます。

自民党の憲法草案は下のリンクから見ることができます
日本国憲法改正草案(全文)
本文中の引用も全てこから引用しています。

今回は ①なぜ憲法改正をしたいのか ②前文の変更点 ③第一章 天皇の変更点 の3点を解説します。

①なぜ憲法改正をしたいのか
岸田総理が総裁選のときから何度も口にする「敵基地攻撃能力」
簡単に説明すると、他国からミサイルなどが飛んできたとき、自国にとんできたミサイルを破壊するとともに、相手のミサイルが発射された基地も破壊するというものです。
この説明を聞くと、すごく物騒な危険なものに聞こえます。
しかし、実際に敵基地攻撃能力を使う可能性は低いです。
現在、日本に他国がミサイルを撃ってきたとき、
日本ができるのはそのミサイルを撃ち落とすだけです。
つまり外国からすれば、自分の国に日本の自衛隊が攻めてくることはないので打ち放題の状態です。

敵基地攻撃能力を保有するとなると問題になるのは、

日本国憲法第九条
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

この第九条があったおかげで日本は76年間戦争に
巻き込まれなかったのですが、
その一方で、このような敵基地攻撃能力保有に関する課題などもあるのです。

現在の日本国憲法は、76年間戦争から日本を守ってきた一方で
近年になり課題が表れ始めているのです。
なので自民党は憲法改正をしようとしているのです。

②前文の変更点
まず現在の日本国憲法の前文(中略あり)をご覧ください。
長いので時間のない人は太字だけでも構いません
現在の日本国憲法をご覧になりたい方こちらからご覧ください。

日本国憲法(前文)
 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。(中略)
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。(中略)
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ

自民党憲法草案によるとこの前文は全て改正するようです。
自民党の憲法草案の前文を載せると長くなってしまうので、
個人的に重要だと思った部分のみを載せさせていただきます

日本国憲法改正草案
 日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇をイタダく国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。
(中略)
 日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自らを守り、基本的人権を尊重するとともに、輪を尊び、家族や社会全体がお互いに助け合って国家を形成する。

下の3行はわかってくれると思うのですが、上4行は複雑な言葉が多いので解説します。
凄く簡潔に書いたものが下になります。

 日本は、長い歴史と文化がある。日本国民の象徴の天皇を敬う国です。三権分立を守って政治を行います。

憲法の前文というのはその国を表す重要なものです。
個人的にはこの新しい前文は現在の憲法の良い部分を切り取っているように感じます。

③第一章 天皇の変更点
まず個人的に大きな変更点は

現在の憲法
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、(以下省略)
新しい憲法
第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって(以下省略)

ご覧のように、象徴が元首に変更されました
象徴と元首の違いはあまりないように感じるのですが…

その他、新設されたのは以下の二点です。

(国旗及び国歌)
第三条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
第六条 5 (前略)天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う。

現在、憲法にも法律にも国旗と国歌の指定はありません。なので、第三条を新設することでこの問題が解決すると思われます。

ここまで①憲法改正する理由 ②前文 ③天皇の3つを解説しました。

ここででてきた憲法草案は以下のリンクからご覧ください。
出典 日本国憲法改正草案(全文)


<次回>

一からわかる自民党憲法改正 中

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