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介護の終わりに

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2020年5月の記事一覧

介護の終わりに(9)

父親は、危篤状態の人らしくしていた。具合が悪いというアピールを入念にしていた。私は全く相手にしなかった。
父「あちこち、痛い」
私「そうなんだ。そりゃきついね」。
父が何を言ってもこの一文を繰り返す。

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介護の終わりに(8)

危篤の、今にも死にそうと母から父のことを聞いた時、私は前頭葉でしか考えてなかった。理性的に、娘であれば父親の危篤の際にこのようにものを言い、このように行動するのだ、ということをそのまま実行した。

そうしたかったのではない。もちろん違う。だけど、自分の中の名前を付けることのできないでいた(今もつけてない)何かが、「そのようにせよ」と命じていたのだ。

さて、そのなにかは大変無責任なことに、危篤の父

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介護の終わりに;ちょっと休憩

記事を有料にする。その設定を、何回か使ってみた。その感想を書く。

当初、自分の書いたものの有料化は、全く思ったことがなかった。卑下しているわけでもない。自分はライターさんや、作家ではないので、有料にする必要があるのだろうか、と思った。

父親との関係について、あれこれ思い起こして書いているうちに、自分の真っ黒な父への思いだけがいよいよ書かれ始めた。

「これをだれに読んでほしいのか」
自分に問い

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介護の終わりに(7)

これまでの人生でよくあったことだが、結局自分が何をしたいのかわからなくなることが多い。
例えば、外来の担当の日。たくさんの人の話を聞いていると、自分が一体何をしているのか、わからなくなる。何をしたいのか、何のために自分はこんなにたくさんの人の話を聞いているのか。

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介護の終わりに(6)

おそらく、だけれども、最近のコロナウイルスのことを私の家族で一番怖がるのは、父だろう。生きていたら、の話だけれども。

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