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Vol.6 遺言書のつくり方って難しい?

遺言書を作る

終活を進めていくと、必ずお目にかかるのが遺言書に関する話です。
そこで遺言書について調べてみました。
なるほど、遺言書を自分で作ることは可能のようですが、自分の思った通りに法的効力がある遺言書を作成するのは大変のようです。
また遺言と遺言書は一文字の違いですが、中身は大きく違います。
遺言は心情を伝えるもので法的拘束力はありません。しかし正しい手順を踏んで作成された遺言書は相続において絶対的な実効力を持ちます。
では何が違うのかを見ていきましょう。

公正証書遺言書と自筆遺言書

遺言書には公正証書遺言書と自筆遺言書があります。
公正証書遺言書とは証人の立ち合いの元、公証役場で預かってもらう遺言書です。
自筆遺言書は字のごとく自分で書いた遺言書です。
この二つには大きな違いがあるので、注意点を書いてみます。

公正証書遺言書を公証役場で保管するための費用が発生します。
こちらは遺言で残す財産の額で決まっています。
また公正証書遺言には証人2名以上の立ち合いが必要です。
遺言が法的効果を発揮するための必要条件は、資産の洗い出しが終わって専門家に依頼する時になってから満たせばいいのですが、人選は進めておいたほうが良いでしょう。
ところがこの証人、誰でも良いというわけにはいきません、
亡くなって遺産の配分をするときの関係者は成れません。
つまり利害関係の無い、第三者でないと成れないと法律で決まっています。
その場合は公証役場で紹介してもらったり、依頼している弁護士さんや行政書士さんのような士業の方だったり、知人にお願いすることになります。
その時に証人への支払いが発生します。
しかし、法的に保証された遺言書なので、実効力が保証されます。

自筆遺言書は自由に書いても良い印象を受けますが、その書式は厳格に決まっています。
つまり自己流で書いても効力を発揮しないわけです。
また自筆遺言書では証人は不要ですが、ここに大きな落とし穴があります。
自筆だと言っても本当に本人が書いたかどうかの証拠が残らないとか、書式が合っているかのチェック機能が存在しないので実効力があるかどうかが分からないわけです。
加えて、その遺言書を書き換えた場合、書き換えた日付や訂正箇所の指摘とその箇所への押印など正確に修正しなければなりません。
やらなければならないことが山ほどありますね。
これらの要因で法的に無効になってしまうリスクがとても高いと言えます。
「本に書いてあった通りに書いたのに実効力がない」可能性があるのです。

私は父の遺産相続の際に本を真似て遺産分割協議書を自分で作成しました。が、お願いした行政書士さんからダメ出しをされ、危うく書類が無効になるところでした。その場はなんとか修正印だけで収まりましたが、遺言書では修正ができる本人が既にいないのですから、気持ちを込めて作った遺言書が無効となり、ひいては自分の意思を後世に残すことは不可能です。
そんな悲しいことにならないように、遺言書は細心の注意を払って作成しなければなりません。

遺言書のバージョンアップできるけれど、注意が必要

先にも書きましたが、遺言書の書き換えには規定があります。
例えばなにかの事情で遺言書を書き換えた場合、自筆遺言書の場合は最新の日付のものが有効で、それ以前のものは無効です。
ちなみに日付が無いものは初めから無効なので、自筆遺言書を残そうと考えている方は注意してください。
また公証役場で預かってもらう場合、保管期間が20年になっているので、20年以上前の遺言書は原本が失われてしまう場合があります。
実際は遺言者が存命であれば20年を超えても保管すべきとされているようなので、とりあえずは安心です。
しかし古すぎる遺言書にはいろいろと問題が生じる可能性があります。
例えば指定した相続人がすでに亡くなっている場合や財産の内容が大きく変わっている場合もあるでしょう。
特に金融資産で変動する可能性のある財産を、金額で指定した場合は、金融資産の価値が目減りして遺言書通りの分配ができないなどが想定されます。
なので一定期間で見直して更新するのが、どうやら良策のようです。

専門家

遺言書だけを専門にしている士業の方は少ないでしょう。
そこで終活でお世話になりそうな士業の方を挙げてみました。
弁護士
税理士
司法書士
行政書士
この中では一般的には弁護士さんにお願いするのが良いとされています。
が、しかしです。
相続や遺言書に精通している弁護士さんばかりではありません。
それに遺言書を数多く手がけている行政書士さんは専門外の士業の方と比べて、よほど頼りになります。
まずは多くの情報を収集してから依頼するのが良策です。

実際に父と母の相続の時にお世話になった行政書士さんは、ダメ出しもされましたが、とても丁寧に対応していただきました。
残念ながらご高齢で引退されてしまったので、次になにかあった場合は、他の方を探さなければなりません。

遺言書作成のコツとは

書店などで遺言書の書き方の書籍は数多く見られますし、「自分でできる」と書かれているものもあります。
しかしよく考えてみてください。
確かに自分で作ることはできます。が、それが本当に正しくできているかは分かりません。慣れない遺言書を書くために何冊もの書籍を買って、漏れなく内容を一言一句を確かめながら作る労力は、計り知れないと思いませんか。
お金をかけないことは、ある意味で美徳ではありますが、なにも自分の遺言書を作るためだけに遺言書のエキスパートになる必要もないと思います。

私は20数年のあいだ確定申告を自分だけで会計ソフトを使ってやってきましたが、青色申告会を活用して申告をしてからは、チェックする時間がそれまでの半分以下になりました。
「餅は餅屋」と言われる通り、必要なところは専門家に依頼するのが効率的だということですね。

では、どのように専門家に依頼すればいいでしょうか。
大事な事は一から十まで、初めから丸投げをしないことだと思います。
何も決めていない段階からスタートして、全てをお願いすると依頼内容が雑事にまで及んでしまうので、依頼料が高くなることは想像に難くありません。
そうではなく必要な資料は自分でまとめて、清書してもらうのがコツではないでしょうか。
つまり先にお話しした事務的なデータ収集は事前にやっておくのです。
しかも漏れの無いようにリストにすれば大半の仕事は終わりですし、自分の財産を正確に把握もできている状態です。
そこから専門家に話を持っていけば話は早いという段取りです。
実際に自分で最後まで作成するのではなく、集めた資料のフィニッシュワークを依頼するのが賢い選択だと思います。

ともあれ、時間的余裕を持って終活に取り組むのが良いのは確かですね。


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