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「私は成長できる」と思うことが成功への鍵になる

私のnoteでは、よりよい人生を送るために役立つ心理学の理論や実践法をご紹介します。
第1回となるこのnoteは、2019年3月24日に登壇したスクー授業『「自分」を生きる心を育てるレジリエンスの高め方 -チャレンジできる人になる-』でもお話しした内容と重複するところもありますが、とても大事な内容ですのでこの話しからスタートしたいと思います。なお、こちらの放送は人気授業の1つとしてログミーさんに書き起こして頂いてますのでご興味ある方はぜひこちらも(https://logmi.jp/events/2014)ご覧ください。

まず初めに、次の2つの問いをご自身の経験を振り返りながら考えてみてください。

(問1)
チャレンジしたけど上手く行かなかった経験を思い出してください。その時、上手く行かなかった原因をどのように考えましたか?

次の2つは例になります。こちらを参考にご自身がその時に原因をどのように考えたか思い出してみてください。
例1. 自分には向いていない。センスがない。そもそも自分には無理だった。
例2. 努力が足りなかった。もっと努力すれば、あるいはもっと工夫して取り組めば達成できる。
(問2)
現在熱心に、あるいは時間をかけて取り組んでいることを思い浮かべてください。その取り組んでいること、その分野で、皆さんはどこまで成長できると思いますか?

次の3つは例になります。それほど熱心に取り組んでいるものが思い浮かばない方は、ご自身の仕事で考えて頂くと良いでしょう。
例1. 努力しても大した人間にはなれない
例2. ある程度成長はできると思うけど、そこそこな人間で終わるだろう
例3. その分野の第一人者になれる

2つの質問は、皆さんが「成長」についてどのようなマインドセットを持っているか気づいて頂くためのものになります。

スタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック教授の著書『マインドセット「やればできる!」の研究』より、人の能力に対するマインドセットには大きく次の2つがあると言われています。

Fixed Mindset(硬直マインドセット)の人
自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらないと信じている人
Growth Mindset(しなやかマインドセット)の人
人間の基本的資質は努力しだいで伸ばすことができるという信念を持った人
持って生まれた才能、適正、興味、気質は一人ひとり異なるが、努力と経験を重ねることで、誰でもみな大きく伸びていけるという信念を持った人

「石版に刻まれた」とはちょっと表現が大げさに感じられるかもしれませんが、硬直マインドセットの人は「成長の限界には個人差があり、頑張ったところで持って生まれた資質以上にはならないと信じている人」と理解して頂ければ分かりやすいと思います。

ここまでは2つのマインドセットの定義の話になります。そして次にお伝えすることがとても大事になります。ドゥエック教授の研究より、しなやかマインドセット、つまり”人間の能力は努力して学習や経験を積むことで大きく伸ばせるもの”という説を信じることが、大きな成長、成功の要因になると言われています。

ではなぜ、しなやかマインドセットが成長、成功の要因になるのか? 次の表は硬直マインドセットの人としなやかマインドセットの人の特徴を比較したものになります。これをご覧頂くと「なるほどー」と思って頂けるのではと思います。

1-1_しなやかマインドセットの特徴

表の各項目について以下に解説をつけておきます。表を見れば分かるという方は読み飛ばして頂いても大丈夫です。

挑戦:硬直マインドセットの人はチャレンジして失敗すると、それが自分の能力の限界であると自分に突きつけられる、あるいは周りの人にそう思われる、そのような恐怖心からチャレンジすることを避けようとします。しなやかマインドセットの人は例え失敗したとしてもそこから学びを得て自分を成長させることにつながると思ってチャレンジすることを選ぼうとします。
障害:硬直マインドセットの人は壁にぶつかった時点でそれが自分の能力の限界と思ってあきらめてしまいます。しなやかマインドセットの人は自分の能力は努力次第で大きく伸ばすことができると思っているので諦めずに障害を乗り越えようとします。
努力:硬直マインドセットの人は努力すること自体が能力のない人間である証明になると思って努力することを避けようとします。しなやかマインドセットの人は何かを得るために努力は欠かせないものだと思っているので当たり前のように努力します。
批判:硬直マインドセットの人は批判的な意見を受け入れると自分の能力の無さを証明することになると考えて無視しようとします。しなやかマインドセットの人は自分を成長させる糧として、批判から真摯に学ぼうとします。
他人の成功:硬直マインドセットの人は、例えば入社時の同期が大きな成果を挙げた時、その出来事が同じような成果を挙げられていない自分の能力の低さを証明することになると思って脅威に感じます。しなやかマインドセットの人は自分を成長させるために他人の成功から謙虚な姿勢で学びや気づきを得ようとします。

この表を見て皆さんはどのように感じたでしょうか? どちらのマインドセットで人生を過ごしているかによって大きな違いが生まれますよね。ドゥエック教授の著書にはこのような違いにより、硬直マインドセットの人は早い段階で成長が止まり可能性を発揮できない、一方しなやかマインドセットの人は高い成果を達成できる、すべてを自由な意志で切り開いていける人になると書かれています。

例えば、皆さんの周りにも小学生や中学生のころに勉強やスポーツですごく優秀だった人が高校や大学に入ってから伸び悩み、社会人になってもあまり活躍できていない人がいらっしゃると思います。もしかしたら皆さんご自身がそのような経験をされているかもしれません。また社会人の同期で入社したときはたいして差を感じなかったのにすごく成長している人、逆に他の人より成長できていない人がいらっしゃると思います。私も私自身や私の周りの人に目を向けるとマインドセットの影響を大きく感じます。皆さんもマインドセットを意識してご自身、また周りの人を観察してみると良いと思います。

「私は成長できる」と思うことが成功への鍵になります。そう言われるとちょっと重々しく感じられるかもしれませんが、「私は成長できると思って行動していれば、より大きく成長できる! チャレンジできる人に変われる!」と、ポジティブな気持ちで、ぜひ未来に希望を持ってください。ドゥエック教授もマインドセットは変えられると言っています。また100%硬直マインドセットとか、100%しなやかマインドセットということはなく、人はどちらのマインドセットも持っていると言われています。どちらのマインドセットがより多くの場面で現われるか、より強く持てるかが人生に大きく影響します。ぜひ「私は成長できる」と思って、しなやかマインドセットを大きく育ててみてください。

とはいえ「長年培ってきた思考の習慣を変えることは難しい・・・」と思う人もいらっしゃるでしょう。次回以降は「私は成長できる」と思えるように、思考の習慣を変えていくためのヒントになる話しをしばらくの間ご紹介して行きたいと思います。

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