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「私なんて大したことない」その思いから抜け出す

前回は「私は成長できる」と思うことが成功への鍵になるとお伝えしました。でも「そのようには思えない」「子供ならまだしも大人になってから変わることなんてできない」と感じる人もいらっしゃると思います。
そこで、まずは大人になってからマインドセットを変えることができた例を紹介しましょう。

2012年から2015年ワールドカップまでラグビー日本代表のメンタルコーチを務められた荒木香織さんが昨年12月に出版された著書『リーダーシップを鍛える ~ラグビー日本代表「躍進」の原動力~』で、前回紹介したマインドセットについて書かれています。代表に選ばれる選手たちなのでもちろんエリートではありますが、荒木さんが就任した当時は世界ランキング15位、過去ワールドカップ7大会に出場しながら格下だったジンバブエに大差で勝った1勝しかない、つまり世界では負けることしか知らないチームだった代表選手たちのマインドセットを変えることから始めたそうです。そしてその取り組みが原動力の1つとなって、2015年のワールドカップで4戦中3勝、そして昨年の日本大会では予選リーグ4戦4勝でベスト8へ進むという快挙を勝ち取る結果につながったそうです。

ちなみに余談にはなりますが、私は高校生の時にラグビー部、大学生の時にラグビーサークルに所属していたのでラグビーについてはそれなりに詳しいです。ただ自分でプレーしなくなってからはワールドカップの時くらいしかラグビーに注目してなく、日本ワールドカップを観戦してからトップリーグも注目するようになったので、ファンとしてはいわゆる「にわか」です(^ ^)

話を戻してもう一つ、マイクロソフト社について触れたいと思います。マイクロソフト社はかつての勢いを失い世間から「落ち目」と見られていましたが、2014年2月にサティア・ナデラ氏が3代目CEOに就任てから急激な成長を遂げています。日経のアカウントをお持ちの方はこちらの記事「再起動するマイクロソフト」を読んで頂くと良いでしょう。
この記事にも書かれていますし、ご興味ある方はナデラ氏の著書『Hit Refresh ~マイクロソフト再興とテクノロジーの未来~』を読んで頂くとよろしいかと思いますが、ナデラ氏もマインドセットをとても意識して経営をされています。

ラグビー日本代表に選ばれるようなエリートたちだから、マイクロソフトで働くようなエリートたちだからと思う方もいるかもしれませんが、人それぞれ自分のフィールドがあって、そこで硬直マインドセットをしなやかマインドセットに変えることができたという話ですので、エリートかどうかは関係ないですよね。大人になってもマインドセットを変えることができる、それによって成功を勝ち取ることができる、すばらしい実例だと思います。
皆さんもご自身のフィールドで「私は成長できる」と思って一歩一歩成長していく、それが「私なんて大したことがない」という思いから抜け出す道になります。

では続いて、しなやかマインドセットを大きく育てていくためのエクササイズをご紹介します。

毎朝、自分にこう問いかけましょう。
今日は、私にとって、周囲の人にとって、どんな学習と成長のチャンスがあるだろうか?
その日の予定を思い浮かべながら問いかけると良いでしょう。また合わせて成長やチャレンジ心を連想させる画像や名言を見る時間を作るのも良いでしょう。
また1日の終わりに自身のマインドセットを振り返りましょう。しなやかマインドセットの特徴が多く見られたら自分を認めましょう。もし硬直マインドセットの特徴があっても落ち込む必要はありません。どのような心理的要因、例えばご自身の"考え"や"想い"や"価値観"が硬直マインドセットを表出させたのか深掘りしてみましょう。そしてそれらが自身の人生にどのような影響を及ぼしているか考えてみましょう。

硬直マインドセットを表出させる心理的要因の話は、また別の記事で詳しく紹介したいと思います。

ご紹介したエクササイズですが、特に朝の自分への問いかけはおすすめです。ノーベル経済学賞を受賞された、プリンストン大学のダニエル・カーネマン名誉教授の著書『ファスト&スロー ~あなたの意思はどのように決まるか?~』にプライミング効果というものが紹介されています。プライムとは先行刺激を意味し、事前に受けた刺激がそのあとの行動に無意識のうちの影響をおよぼす心理現象がプライミング効果になります。例えば、高齢者を連想させるような言葉(”忘れっぽい” ”しわ”など)が多く含まれた文章を読んだ後に移動速度をこっそり計測する実験を大学生に行ったところ明らかに歩く速度が遅くなったり、お金を連想させる言葉や物に事前に触れさせると自立性が高まる一方で利己心も強まるという実験結果もあります。
朝の自分への問いかけがプライミング効果となって無意識への働きかけが行われ、その状態で仕事などの活動を始めることで、しなやかマインドセットを育てることにつながります。なお振り返りは1日の終わりにとしていますが、それは朝の時間帯に振り返りの時間を持つことが難しい人が多いと思われることと、記憶の新しいうちに振り返った方が思い出しやすいと考えたためです。ただし寝る前に振り返ると寝れなくなってしまうという方もいると思いますし、時間が確保できるのであればプライミング効果も活用できるので朝に行うことも良いと思います。振り返りはぜひ皆さんのやりやすい時間帯で行って頂ければと思います。

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