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杖を忘れて帰る患者さんに「優しさ」を考えさせられた話

質問です。

もし、相手のことを想い「優しさ100%」で行った行動の結果、その相手から感謝の言葉の一つもないなら、あなたはどんな気分になりますか?

少しモヤモヤする…。

ちょっとイラッとするかも、、、

そう思う方は、割と要注意。優しさとは何か?を勘違いしている可能性が高いです。その勘違いによって自分自身を苦しめていることもあるかもしれません。

なぜそこまで言えるかというと、ぼく自身がその勘違いをしていた一人だったからです。

今日は、優しさとは何か?を考えさせられた2つの体験をお話します。


杖を忘れて帰るおばあちゃん

5年ほど前、ぼくがまだ整骨院をしていた時の話です。

娘さんの紹介でこられた80代の女性患者さんが膝の痛みで歩くのが辛いと来院されました。この患者さんは膝の痛みが強く、当時は杖をついてこられていました。5、6回の治療が終わった頃、膝の痛みが軽くなってきたのか治療を終えた後、杖を忘れて帰られたことがありました。

それを見つけて、ぼくは杖を持って患者さんを追いかけて渡しました。

「ありがとう」そう言われて嬉しい気持ちで院に戻りましたが、よくよく考えてみると、「杖を忘れて帰る」というのは膝の状態がとても良いからで、むしろ「杖を忘れたままにしておく」方がこの患者さんにとって優しさだったかもしれないとも思えたんですよね。

そのことがきっかけで優しさとは何か?をよく考えるようになりました。

ぼくは忘れた杖を持っていくことが優しさだと当時は思っていましたが、せっかく膝の状態がよくて、杖の存在を忘れてたのにぼくが杖を持っていったことによって「あ、私は杖がないと歩けない足だったんだ」と思い出せてしまった可能性もあります。よかれと思ってやったことが、「余計なお世話だった」みたいになることもあるので、優しさって実は答えがないのかもしれません。


盲目の方に怒られた話

こんな経験もあります。これはぼくがまだ高校3年生くらいの頃だったと思いますが、駅で大きな荷物をもつ盲目の方がおられ、階段をゆっくり確認しながら登ろうとしていたので「荷物を持ちましょうか?」と声をかけたのですが、「障害者扱いをするな!!」と一喝されてしまいました。

当時は、ぼくが高校生だったこともあり「せっかく持ってあげようと思ったのに、、、」と少しイライラしてしまいましたが、今思えば当然で、ぼくは優しさをその人に押し付けて、その人から感謝されたいという欲求を満たしたくて声をかけただけなんですよ。

だからイライラしてしまうんですね。自分の思い通りの反応じゃなかったから。これはその人に対する優しさではなくて、ただ自分の欲求を満たしたいためにその人を利用しようとしているだけかもしれませんよね。

少なくとも、当時のぼくはそうでした。とても反省です。


目に「みえる」優しさと「みえない」優しさ

目に「みえる」優しさは例えば、大丈夫?とか、持ちましょうか?みたいな優しさですかね。耳障りのいい言葉が多いです。

「みえない」優しさとは、失敗するとわかっていてあえて失敗させてみる親心的優しさと言うイメージ。

現代では、表面上の優しさが求められやすいというか、耳障りのいい優しさというか、そういうのを優しさの定義として捉えているような感じがあります。

ぼくが子供の頃行っていた小児科の先生は、風邪をひいたりすると怒る先生でした。小学校の保健室の先生も、怪我していったらめちゃくちゃ怒られる先生で怖かった思い出があります。

小児科の先生は、「熱が出たくらいで病院に来るな」と言われていたことを今でも覚えています。でも、これもある意味では優しさです。熱が出ていること自体を異常に捉える必要はないというのをぼくの親やぼくに対して指導をしてくれています。医学を学んだ今、ぼくも同じことを思うので、ぼくは子供たちが熱を出したり、吐き下しがある程度なら病院に連れて行かないですね。もちろんぼくや妻が体調悪くても同じです。

現代ではこういう怒る先生はほとんどいなくなりましたね。w

この辺りからも目に見えるやさしさを求める人が多いという時代背景があるのだと思います。


目に見える優しさは相手の力を奪うこともある

相手に対する「よかれ」と思った親切心は相手の自立心を奪うことにもつながります。もっと言えば、ぼくのように自分の承認欲求を満たしたいがために相手に「よかれ」と余分な優しさを押し付けているケースも意外と多いです。

自分の承認欲求が主体の優しさではたいてい「色々やってあげているのに…」とイライラすることが多いです。本来の親切心は相手の反応とは無縁なはずです。自分がやりたいからやっているだけなら相手の反応などは関係ないはずですが「相手に感謝されたい」という承認欲求という腹黒さのある表面上の「優しさ」は、相手の反応にイライラしたりしますね。

この優しさは、余分で、本来のやさしさとは全く違うことを理解しておかないと結果的に自分がどんどんしんどくなります。そういう意味でも、優しさというのを深く考えずに人に行うことは要注意と言えますね。


まとめ

本記事の結論は、残念ながらありません。この記事は「優しさとはこうである」という結論は出ないというのが結論かもしれません。

優しさとは何か?をよくよく考えるきっかけになってもらえれば十分かなと思います。答えがないし、時と場合により答えが変わるので、、、

考えるほどに難しいですが、考える価値のある大切なことだとぼくは思っています。皆さんの生活に何かヒントになっていれば嬉しく思います。

本記事は以上になります。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!


記事執筆者紹介

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整体庵大空 下大前陽介(シモオオマエ ヨウスケ)

<プロフィール:整体師歴19年>

スポーツトレーナー、トレーニングコーチ、プロ野球選手のサポート歴

スポーツ整形外科、産婦人科での施術を経て、整骨院開業。

現在は保険診療を廃止し自費診療で整体院を夫婦で営んでいます。

ファスティング歴10年以上、-25kgのダイエット経験者

定期的にファスティング講座をオンラインで開催しています。

妻(美容鍼灸師)、子供2人、猫1匹の5人家族です。


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