たぶん俺のせいで整体店が潰れた話
1章 ファンキーな登場人物しかいない
整体の店は潰れる、普通の会社よりいとも簡単に潰れる。ちょっとしたことで 始めからそこになかったかのようにすぐ潰れる。オーナーの気分で潰れる。昨日あった職場が今日なくなる。セミやカゲロウよりも線香花火よりも儚(はかな)いのが整体の職場だ。
普通の感覚だったら、5,6店舗も店を渡ればわかる。なので「整体情報」とか「整体師になるには?」とか、発信してる奴は、ガンジーみたいな聖人か、ゴミみたいな副業ビジネスをしてるかどっちかだ。整体店がなぜ潰れるのか?それは登場人物が全員ファンキーだからである。
まず、整体師やセラピストになる人は、人生をアドリブで生きてきたタイプの人が多い。資格ビジネス商法に「治療家」だ「独立開業」だと煽られて、たどり着く終着駅、それが療術業である。そんな天性のその日暮らしが、水物人気ギャラ商売をすれば、それは潰れるというものだ。
整体は本質、一発当てよう健康「エンタメ」商売である。普通に勤め人をやってる人は、そう会社がとつぜん消滅するなんてことは、体験していないと思うが、俺たち施術家は違う。店の閉店、職場の消滅とともに大きくなっていくんだ。
★★★
ずさんで行き当たりばったり、でたらめとしか言いようがない経営は、中の人にとっては様式美、安定の整体クオリティである。倒産というのは、俺たちにとっては滅びの美学、カタルシスを感じる祭り。
かくいう俺も、数々の閉店を体験してきたが、相変わらず、情弱を狩る副業ビジネス野郎が、整体コタツ記事を発信してたりするので、本当の整体を書こうと思った。2、3年整体かじった程度で「悟り感」出す、実務経験がすさんでる人材も多いのも、この業界の特徴である。
それでも自分が働いている店がなくなるというのは、悲しく残念なことだ。できれば、そんな思いは、してもらいたくない。関係ない人は、整体の店が潰れるカオスを、楽しんでもらいたいし、同業の若手には、どうか、今いる店が潰れてしまわないように、参考にしてほしい。(もう二度と、そこで働くことはできないし、仲間がバラバラになる)
そして日本中のコンビニ跡地を2980円激安整体で埋め尽くしてほしい。では話す。たぶん俺のせいで整体店が潰れてしまった話を―。
2章 あばずれ、淫売、このズベタが!!
整体の求人は二種類ある、年齢経験すべて不問な「ブラック臭しかしない求人」と、兄ちゃん、姉ちゃんを募集する「色物求人」のふたつだ。若いのは、ちょろいから、女はギャル枠。俺のせいで潰れた店は前者だった。
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