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スクラムガイドに学ぶ「信頼は1日にして成らず」

チームで定期的に「スクラムガイド」の読み合わせをしている。

この読み合わせで再発見した「信頼」についての捉え方について記してゆきたい。

スクラムの価値基準

スクラムガイドには「スクラムが成功するかどうかは、次の5つの価値基準を実践できるかどうかにかかっている」とある。

その5つとは

  • 確約(Commitment)

  • 集中(Focus)

  • 公開(Openness)

  • 尊敬(Respect)

  • 勇気(Courage)

である。

スクラムチームは、ゴールの達成とお互いのサポートを確約し、スプリントの作業に集中することでゴールに向けて可能な限り進捗を生み、その中で作業や課題を公開する。更にお互いを尊敬し、正しいことや困難な問題に取り組む勇気をもつ。

そして、この「スクラムの価値基準」の章は、以下の文で締め括られている。

これらの価値基準がスクラムチームや⼀緒に働く⼈たちによって具現化されるとき、経験主義のスクラムの三本柱「透明性」「検査」「適応」に息が吹き込まれ、信頼が構築される。

2020-Scrum-Guide-Japanese

信頼するということ

信頼関係が構築された上で行う仕事は、この上なく素晴らしいものだ。
相手を疑うことに神経を使わずに済むし、足元を掬われるのではないかとびくびくする必要もない。
安心して背中を預け、自分がすべきことに集中できる。

このスクラムガイドの素晴らしいところは「お互いを信頼しましょう」とは書いていないところだ。

代わりに、信頼を構築する土壌の作り方を提示してくれている。
「信頼しよう」と声高らかに言ったところで、信頼が生まれるわけではない。

確約集中によってサポートし合い価値のあるインクリメントを具現化させなければ、何も始まらない。たとえ自分にとって不都合な情報でも勇気を持って公開しなければ、チーム全体がリスクを負うことになる。お互いを尊敬することで意見やアイデアが尊重され、協力的に問題解決に取り組めるようになる。

5つの価値基準に注意を払い、行動として繰り返し実践し続けてゆくと、スクラムの三本柱である「透明性」「検査」「適応」が意味を成し始める。

5つの価値基準を土台に「透明性」の高い成果物が生まれる。
透明性の高い成果物によって「検査」が可能になる。
検査をすることで「適応」が可能になる。
透明性を足掛かりに、検査と適応のフィードバックループが何度も繰り返される。

これらの地道な協働という営みの上で「信頼」は徐々に形成されてゆく。

自分をよく見せたいだとか、不都合な事実をごまかしたいだとか、そんなつまらないことをやっていては「信頼」にはたどり着けない。

一朝一夕に体得できるものではないが、まずは土台となる5つの価値基準の実践ができているか検査してゆこう。
課題が見つかったら、改善すればいいだけだ。

信頼は一日にして成らず。

銀の弾丸などなく、泥臭い日々の積み重ねこそが最大の近道なのだと信じている。


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