日本の男尊女卑についての考察㉖(古事記⑤出雲神話②オホアナムヂ君奮闘記④)
いつも読んでいただけて、
誠に嬉しく思います。
今回は、引き続き
スサノオの試練のお話から
させていただきます。
蜂とムカデの寝屋から
生還を果たしたオホアナムヂ
翌朝、スサノオの前に
平伏します。
スサノオは、オホアナムヂを
ひと睨みし、威圧するが如く
口を開きました。
「昨日も、よく眠れたようで
何よりである。
ところで青年、
今日は、我と葦原に参ろう。
着いて参れ。」
とオホアナムヂに伝えました。
オホアナムヂとスセリヒメは
スサノオに従い葦原に着くと
スサノオは鏑矢を
弓につがえ、力一杯引き絞り
遠くの方に矢を放ちました。
スサノオは二人の方を見て
「青年、放たれた矢を探して来ては
くれまいか。」
と伝えました。
するとスセリヒメが
「この広い葦原に放たれた矢を
探しに行けと言われるのですか。
父上」
と言いい出すと同時に
「心得ました。しばしお待ちを」
とオホアナムヂが返答し
早々に、放たれた鏑矢の
飛んだ方向に向かい駆け出しました。
スセリヒメもそれに応じて、
「では、私もオホアナムヂ様を
お助けいたしたく存じます。」
とスサノオに言いました。
スサノオは走り出そうとする
娘スセリヒメを
制止し、松明を片手に
葦原に火を放ってしまったのです。
スセリヒメは、父スサノオに
嘆き縋りました.。
「ああ、父上様、
このままではあの方が
焼け死んでしまいます。
どうかお助けくださいませ。父上様」
スサノオは踵を返して
「ならぬ。捨て置くのじゃ。」
と一言答え
スセリヒメを連れ、
宮に帰って行きました。
一方、鏑矢を探していた。
オホアナムヂは、四方八方を
炎で包まれ、進退極まってしまいました。
するとどこからともなく
一匹のネズミがオホアナムヂに
話しかけました。
「内はほらほら
外はすぶすぶ」
ネズミはオホアナムヂを誘い
その場所にオホアナムヂが
立つと、地面がみるみるぬかるみ
オホアナムヂを飲み込んで
下に落ちて行きました。
我に返ったオホアナムヂは
地中の空洞に落ち込んでいることに
気づきました。
「あの炎も、この空洞にまでは
届くまい。 命拾いをした。」
と安堵するオホアナムヂ。
すると、またネズミが
どこからともなく現れ
そのネズミの口には
スサノオが放った鏑矢が
咥えられていました。
「おぉ、これはありがたい
矢羽が少し
ネズミにかじられてしまっているが
さしたる触りはないだろう。
そこのネズミに尋ねる。
なぜに我を助けてくれるのか?」
ネズミはオホアナムヂに
かしづくような仕草を見せ答えました。
「貴方様は、いつぞやに
毒蛇大蛇が住まう
寝屋におられました。
その時、私めは毒蛇大蛇の贄に
されるところでしたが、
貴方様の頭巾に命を救われた
ネズミにございます。」
オホアナムヂは納得しました。
オホアナムヂは鏑矢を持って
スサノオの宮に急ぎ
スサノオに矢を渡しました。
スサノオはとても感心した
表情を初めて見せました。
(第三の試練)
次の日、
スセリヒメはオホアナムヂを
呼び止めました。
「我が父スサノオは
貴方様を呼び出し
またお試しになるはずです。」
と言って、イチヂクと赤土を
オホアナムヂに手渡しました。
すると、スサノオが
「おい青年!我が宮に
来てはもらえまいかぁ」
と大声で叫びました。
急いで宮に向かい
スサノオの前に平伏す
オホアナムヂ
するとスサノオは
オホアナムヂを睨み
口を開きました。
「青年よ、ここのところ
我はよく眠れぬ日々を過ごしている。
それはおそらく、我が頭に巣食う
虱のせいに他ならぬ。
青年よ。我が頭に巣食う
虱を取って潰してくれまいか?」
オホアナムヂは
「心得ました。では
虱を潰しますので、
板の間に横になってください。」
と答え、スサノオは板の間に大の字に
寝転びました。
スサノオの髪の毛を掻き分け
覗いたオホアナムヂは
言葉を飲むほど驚きました。
スサノオの頭に巣食っていたのは
何幾匹もの大きなムカデが
縦横無尽に這いずり回っています。
オホアナムヂは
スセリヒメに手渡された
イチジクと赤土を口に
その都度運び、吐き出し
ムカデを取って口で噛み潰す仕草を
繰り返しました。
(第四の試練)
その姿を見ていたスサノオは
今までの試練にも
この青年の懸命に頭のムカデを
噛み潰す姿にも文句ひとつ言わず
従っているのを見て とても感心し
この青年を大変気に入ってしまいました。
安心し切ったスサノオは
不覚にも眠ってしまいました。
この話の続きと
一連のスサノオの試練の話の考察は次回に
させていただきたいと思います。
ここまで読んでいただけて
とても感謝しております。
次回もどうぞ お楽しみください。