宛先不明

もうどうしても幸福な空間じゃ息ができないようですどうして、なんて、今泣きながらこれを打っている間だけ、私の舌は修羅の色をしていられるから、どうか信じて、信じてほしいよ。
さいきん気温はすっかり夏になってて、n畳一間の部屋で重ねたセックスばかりを思い出してはdelete,delete と連打して、あの日風呂場で焦がした陰毛を一本一本引きちぎってる、日々、Bivi、愛でした、それは私に残されたたった一つの手段です、七色に染めるはずだった体毛は結局一本残らず持って生まれた色に戻ってしまって、まだ痛みをしらない雛の顔して私の脇でうずくまってて、それを未だに剃れないでいる。
今のは時候の挨拶です、ハロー、ハローなんて挨拶は嫌いだけど、そっちの暮らしはどうですか。こっちは十代最後の日に一気飲みしてどうにかなっちゃうつもりで冷凍保存していたほろよいを、あわよくば死因をホワイトサワーにしちゃおう、とかって置いてたそれを、いつの間にやら空けてしまって飲みながら「来世ではちゃんとします」を観るのだけが楽しみの、あんたがきっと一番嫌いなタイプの女をやっています、一歩外に出てみたら貝印のカミソリも液体ブロンも金パブも当たり前のようにサンドラッグには売っていて、私にとってそれらはもっと自然に"もたらされる"べきもので、そんな簡単に届いちゃうようになった死というものにもう焦がれない自分が生きてて、あーだから何が言いたいってわかんないけどつまり私はもうつまんない大人に5分の6程成りかかっているということだって、わかっちゃったよ。
これは遺書です、ひとつの、というのも今日の私はあと数分で死ねるから、ってだけで、たぶん明日になったらひとつ増えた空き缶やグチャグチャになったティシュの塊と引き換えに、こんな文のことは忘れて爽やかな朝を迎えていると思います、そんなもんだと気付いちゃったし、だから最近全部ことばで残すってことがほんの少しだけ怖くなってて、そんなこと怖がってまで守って生きるくらいなら死んだ方がいいんじゃないって思える自分がまだいることだけが救いで、こんな余生を私は、きみを弔うためにピッタリな花を探すためだと信じています。ごめん、ごめんね勝手に神様にして、幽霊になんてなれやしないから私は私を殺しません、きみも、幸せでも汚いままでも醜くなくても私はきっと許します、だからお願い、どうかこれからもまだ生きててください。かしこ

最大限のエゴを添えて 私より

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