見出し画像

「ギリギリ入れるチャレンジ校と、余裕を持って入れる実力相応の学校、どちらが子どもにとっていいでしょうか?」『中学受験 親のお悩み相談室』(#4)

少子化にもかかわらず、中学受験者は年々増加しています。中学受験は親と子がタッグを組んで取り組むものだからこそ、さまざまな悩みや壁にぶつかることも…。本連載では、子どもの中学受験を控えた親御さんの悩みに、教育ジャーナリストの中曽根陽子先生が答えます。

質問:ギリギリ入れるチャレンジ校と、余裕を持って入れる実力相応の学校、どちらが子どもにとっていい環境でしょうか?

回答:余裕を持って入れる実力相応の学校がおすすめ。でも、一番大事なのは子ども本人の意思です。


入学後もずっと競争を続けるのは、ある意味「過酷」です

結論から申し上げると、私は余裕を持って入れる実力相応の学校のほうがいいのではと考えています。ただ、状況はそれぞれ違うので、本人がその学校に通いたい! と思っているなら、チャレンジ校に進学したらいいのではないでしょうか。

こう言うと、「どっちやねん⁉︎」というツッコミがきそうですが…。

要するに、どちらが本人のモチベーションが上がるのか、あるいは過ごしやすい学校なのかという視点で選んだほうがいいということです。

というのも、入学後学力が伸びるか伸びないかは、入学時の成績よりメンタルの影響のほうが大きいからです。

考えてみてください。子ども達は、受験勉強をしている間、常に塾内の試験や模試の成績による順位付けにさらされてきました。成績が上がらなければ、「もっと頑張れ!」と言われ、成績が良ければ良いで、「下がったらいけない」というプレッシャーにさらされます。

受験中は、脳内ではアドレナリンが出っ放しの状態だったと思います。でも、その状態は長くは続きません。

よく聞くのが、受験が終わった途端に伸び切ったゴム状態で、せっかく志望校に入れたのに、やる気を見せない子どもにイライラするという話。これなど、典型的です。

親は、入学したらしたで、その先が気になりますが、本人にしてみれば、「受験まで」と思って頑張ってきた。終わりがあるから頑張れた。中学校に入ったら、こんなことをしたい! どんな楽しいことがあるだろう! そんな未来への希望をモチベーションにして頑張れた。そんな感じだと思います。

それなのに、入学後もまた競争にさらされるのはなかなか大変ですよね。そういう意味で、集団の中である程度余裕を持っていられるほうが、学校生活を楽しめるのではないかと、私は思うのです。常に自分は集団の後ろにいるという状態で、自信を持てと言われても簡単ではないですから。

また、親御さんが気になる大学進学という側面でも、集団の中で上位1/3にいられたら、その学校の進学実績の上位校にはいける可能性が高いと言われています。

最後大事にしたいのは、子どもの意思と「感覚」

ただ、お子さんがその学校を目指してここまで頑張ってきて、たとえぎりぎりの成績だったとしても合格できたなら、そこにいかれたらいいと思います。

子どものほうが、自分はその集団の中での位置はわかっていると思います。それでも、「この学校に行きたい!」という気持ちがあれば、それは逆に入学後のモチベーションになるでしょう。どちらにしても、本人の意思を尊重してあげましょう。

本当は、入学時の成績なんて、その後にあまり関係ないのです。成績より、本人の気持ちのほうが大事です。どんな学校を選ぼうと、何があるかはわかりません。

たとえ大変なことがあったとしても、「これは自分も納得して決めたことだ!」と思えたら、踏ん張れるじゃないですか。しかも、6年間は、大学入試を突破するためだけにあるのではないですよね。

これからの6年間をどちらの学校に行ったほうが、楽しくなりそうか。最後はその感覚で決められたいいのではないでしょうか?


中曽根陽子(なかそねようこ)
教育ジャーナリスト。マザークエスト代表。出版社勤務後、女性のネットワークを生かした編集企画会社を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに、数多くの書籍をプロデュースした。現在は、教育ジャーナリストとして、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆する傍ら、海外の教育視察も行う。20年近く教育の現場を取材し、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。「子育ては人材育成のプロジェクトであり、そのキーマンのお母さんが探究することが必要」とマザークエストを立ち上げた。常に自身の最新学習歴の更新に務め、お母さんの気持ちがわかるポジティブ心理学コンサルタントとして、エンパワメントサークルも主宰している。著書に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)などがある。