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学習スケジュールを立てられない子ども…親ができることって?『中学受験 親のお悩み相談室』(#18)

少子化にもかかわらず、中学受験者は年々増加しています。中学受験は親と子がタッグを組んで取り組むものだからこそ、さまざまな悩みや壁にぶつかることも…。本連載では、子どもの中学受験を控えた親御さんの悩みに、教育ジャーナリストの中曽根陽子先生が答えます。

質問:子どもが学習スケジュールを立てるのが、ひどく苦手です。親としては心配なのですが、何をしてあげればよいでしょうか?

回答:まず、「やるべきこと」を明確にする手伝いを。その後、1週間ごとのスケジュールを子どもと一緒に立ててみましょう。親はあくまでサポート係。「子どもが自分で決める」のが大事です。

学習スケジュールを立てる力は、大人になっても役に立つ

小学生の子どもが、自分で学習スケジュールを立てて自走するって理想ですが、そうそうできるものではないと思います。

大人向けの「時間管理術の本」が山ほど出ているくらいですからね。なので、できないからといって心配しすぎないように。

でも、ここはチャンスです。自分でスケジュールを立てられるようになったら、この後大人になっても役立ちますから、ぜひできるようにしていきましょう。

学習スケジュールを立てるときには、それが何のために必要なのか、目的をはっきりさせること、そしてその目的を達成するためのマイルストーンとして、日々の学習があることを子どもが理解できるように話してみてください。

そのあとで、学習スケジュールの立て方を教える必要があります。

1週間単位でスケジュールを立てよう

スケジュールを立てるときは、まずいつまでにどのくらいのことをする必要があるか、見通しを立てましょう。

塾によって、家庭学習を重要視しているところから、ほぼ塾にお任せで、家では毎日の計算や漢字などのドリル程度のものしか出さないところまで、考え方はさまざまです。

いずれにしても、大体1週間毎のルーティンで動いていると思うので、1週間でどのくらいのものをこなす必要があるかを割り出し、ポストイットに1タスク1枚で書いていきます。

そして、カレンダーアプリなどを使ってバーチカル週間カレンダーを作り、拡大印刷して、いつ何をやるかを決めて貼っていきます(カレンダーに直接書いてもいいのですが、できなかったときに動かせるので、学習管理はポストイットがおすすめです)。

大事なのは「子どもが自分で決めること」

そのときに、学習時間だけでなく日常生活管理もするのがコツです。

まず、学校や塾、習い事の時間をブロックします。そして、寝る時間・起きる時間も決めます(睡眠については大事なことなので、今後しっかりふれていきます)。

このほか、食事やお風呂などの時間も書き込むと、残り時間の空白が現れます。

このときに大事なのが、子どもに決めさせるということです。この課題はどのくらいの時間がかかるのかを予測して、いつやるかを自分で決める。

これによって、勉強が自分ごとになります。

自分で決めたことは実現する可能性が高いですし、自己管理能力を育む一歩になります。

勉強だけでなく、たとえばゲームなどの時間を決めるときにも、この方法は使えます。

遊びタイムも書き込んでおくと、メリハリがついて、その時間を確保するために頑張ろうという気持ちになるでしょう。

決めた課題が予定より早く終わったときには、「じゃあこれ」と次の課題をやらせたくなるかもしれませんが、それはNG。

時間が余ったら残り時間は好きにしていいことにすれば、集中して取り組めるかもしれません。

あとは、習慣化ですね。ここは焦らず積み重ねていきましょう。毎日やると決めたことが終わったら、赤線で消して達成感を味わい、できたことを褒め、できなかったことは、じゃあそれをいつやるかを考えさせていく。

その繰り返しでだんだんできるようになっていきます。

いずれにしても、自分の時間を自分でコントロールできる力は、一生物です。親子で話し合いながら楽しく決めていってくださいね。


中曽根陽子(なかそねようこ)
教育ジャーナリスト。マザークエスト代表。出版社勤務後、女性のネットワークを生かした編集企画会社を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに、数多くの書籍をプロデュースした。現在は、教育ジャーナリストとして、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆する傍ら、海外の教育視察も行う。20年近く教育の現場を取材し、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。「子育ては人材育成のプロジェクトであり、そのキーマンのお母さんが探究することが必要」とマザークエストを立ち上げた。常に自身の最新学習歴の更新に務め、お母さんの気持ちがわかるポジティブ心理学コンサルタントとして、エンパワメントサークルも主宰している。著書に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)などがある。