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中学受験に熱心な祖父母がストレスに…。どう対応したらよいでしょう?『中学受験 親のお悩み相談室』(#12)

少子化にもかかわらず、中学受験者は年々増加しています。中学受験は親と子がタッグを組んで取り組むものだからこそ、さまざまな悩みや壁にぶつかることも…。本連載では、子どもの中学受験を控えた親御さんの悩みに、教育ジャーナリストの中曽根陽子先生が答えます。

質問:子どもの祖父母が中学受験に熱心で、いろいろと口を出してきます。そのことが私のストレスになっていて…。どう対応したらいいでしょう?

回答:夫婦で「どんな中学受験にしたいか」を決めた上で、祖父母にその考えや気持ちを丁寧に伝えてみましょう。そのとき、祖父母への感謝の言葉を忘れずに伝えられるといいですね。


役立ててほしいがゆえのアドバイスかもしれません

祖父母が中学受験に熱心で口を出してくるということですが、ご自身のご両親でしょうか? それともパートナーのご両親でしょうか?

実親か義父母で対応も違ってきますが、いずれにしてもストレスになっているというほどですから、これはなんとかしなくてはいけませんね。

実は、私も祖父母世代です。娘たちは中学受験をしましたし、仕事でいろいろな学校を見ているので、情報提供はできるのですが、私自身は娘たちの子育てには口を挟まないように心がけています。

なぜなら、子育てをするのはあくまでも親であり、祖父母の役割は距離を持って見守ることだと思うからです。

しかし、そう思っていても、孫の様子を見ていて、「こうしたらいいのでは」と思うこともあります。自分たちの経験を、子ども世代の子育てに役立ててほしいという気持ちはきっと祖父母の中にはあるはず。だから、「距離をとる!」と、意識しないと口を出したくなっちゃうのですよね。

中学受験に口を出したくなる、その行動の裏にある想いとは?

祖父母が中学受験に熱心ということですから、ご相談者さん自身、あるいはパートナーの方が中学受験経験者なのかなと思いました。

つまり、祖父母も中学受験を「保護者」として経験しているので、自分の経験からアドバイスをしたいと思っているのかもしれませんね。

でも、当時とは事情も大きく変わっていますから、祖父母の方には申し訳ないですが、的外れなアドバイスになりがちです。

この問題は、相談者さんとその親との関係にも影響することなので、こうすればいいという単純な解決法をお伝えできないのですが…。

ここは、まず、ご夫婦でどんな受験にするのかをよく話し合った上で、きちんと時間をとって、祖父母に気持ちや考えを伝えてはどうでしょうか?

そのときに、言い方は間違えないように。間違っても「余計な口出しはしないでください」なんて言わないでくださいね。

そんなことを言ったら、火に油を注ぐようなもの。相手も反発して亀裂が入りかねません。祖父母には孫のことを心配してくれていることの感謝を伝えた上で、自分たちの考えを話してください。

祖父母が中学受験に口出しをする――その行動の裏には、孫を大事に思っているという善意があると私は思います(まあ、そう感じられなかったとしても、そういう気持ちで伝えるほうが、問題解決につながると考えます)。

感謝を伝え、もし手伝ってほしいことがあれば、どのように関わってほしいかを話してみてましょう。

中学受験にしても、今は時代が大きく変わるタイミングで、私立中高も大きく変わってきています。学校選びについて書いたように、偏差値だって10年も経てば様変わりしています。祖父母との付き合い方は、とても気を遣われると思います。

その辺りの情報も伝えて、祖父母にも理解してもらえるといいですね。


中曽根陽子(なかそねようこ)
教育ジャーナリスト。マザークエスト代表。出版社勤務後、女性のネットワークを生かした編集企画会社を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに、数多くの書籍をプロデュースした。現在は、教育ジャーナリストとして、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆する傍ら、海外の教育視察も行う。20年近く教育の現場を取材し、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。「子育ては人材育成のプロジェクトであり、そのキーマンのお母さんが探究することが必要」とマザークエストを立ち上げた。常に自身の最新学習歴の更新に務め、お母さんの気持ちがわかるポジティブ心理学コンサルタントとして、エンパワメントサークルも主宰している。著書に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)などがある。