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vol.16 真鍋氏

こんにちは。地学、物理、現代文の講師をやっております、石原怜甫です。
さて、このブログを書こうと思っていた時に、絶好の話題がありました。なんでしょうか。そうですね、ノーベル物理学賞を受賞された、真鍋叔郎氏です。ノーベル物理学賞を受賞しましたが、その功績がなんと気象学の分野だったのです。地学をやっている私としてはその話題に触れないわけにはいきません。そもそも気象学の分野からノーベル物理学賞が出ること自体が快挙で、ますます気象学にスポットが当たってほしいものだと思いますが、なぜこのタイミングで真鍋氏が受賞されたのでしょう。やはり世界中で環境問題に対する意識が高まっている、あるいは高めなければならないということだと思います。そうです。物理学賞なのに環境問題と密接な関係があるのです。そこに真鍋氏の功績が隠れています。
 さて、簡単に真鍋氏の功績を説明しましょう。真鍋氏が行ったのは、「統合気象モデル」の構築で、平たく言うと、「世界で初めて地球温暖化の予測ができるシステムを作り上げた」ということです。当時は今よりももっと地球温暖化に対して懐疑的な意見が多く、環境問題も大きな問題というわけではなかったのです。その中で真鍋氏はコンピュータを駆使して、大気中の二酸化炭素濃度が上昇すると地球の気温が上昇するということを証明して見せたのです。コンピュータを駆使して、と言っても当時のコンピュータの性能は今のスーパーコンピュータの10万分の1といわれています。そのコンピュータをどう使って複雑怪奇な気候現象をモデリングしたのでしょうか。それは単純化です。現在の大気の様子を限りなく単純なモデルに置き換えて、コンピュータに計算させたのです。この単純化は相当に難しいものです。大量に存在する情報を取捨選択し、重要な要素を切り捨てないように単純化を図らなければなりません。ここで、真鍋氏は大気中に0.04%しか含まれていない二酸化炭素の影響力の大きさを見抜いたのです。
 二酸化炭素の温室効果を見抜いて地球温暖化を予測した真鍋氏のモデルは現在の予測システムの基盤となっており、真鍋氏が予測した通りに温暖化が進んでいます。特に深刻なのが干ばつによる被害と言われています。日本ではあまり感じることはないですが…。
 真鍋氏がどれだけ今の温暖化対策に貢献されたか簡単にわかったでしょうか。僕としてはこのノーベル賞をきっかけに気象学がますます賑やかになってほしいと思っています。

石原

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