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『養性訣』解説 - 江戸の養生書を読む 01

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江戸時代の名医、平野重誠の『養性訣』の翻刻と、内容の解説をしていきます。
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#エッセイ

レゴ遊びに学ぶ、健康のための仕事のやり方ー 養性訣解説03

子どもと一緒に、よくレゴで遊ぶ。遊びとはいえ、レゴはものづくり作業。人間の本能をくすぐり、大人でも達成感と喜びが得られる。皆さんはレゴでどんなものを作ったことがあるだろうか? 我が家では時々実用的なものも作る。最近ではティッシュペーパーのケースを製作した。ティッシュの箱の大きさに合わせ、カラフルな外枠を組む。紙をスムーズに引き出せるよう、子どもと一緒に試行錯誤する。頑張ってひと仕事終えた時の嬉しさは、今でも忘れられない。 今回の『養性訣』解説は、ずばり仕事と養生について。

こころのかたより - 養性訣解説05

ここ10年ほど、ほぼ新聞を読んでいない。これは私に限ったことではなく、同じような方はきっと多いだろう。 普段はほとんどスマホでしかニュースを見ず、アプリやSNSがなければ、世の中で何が起きているか、全くわからない。ネットはそれくらい情報を集める方法として、頼りになるし、頼りきっている。 好きなことをさらに好きに、嫌いなことをさらに嫌いによく言われることだけれど、ネットのニュースにはどうしても偏りが出てしまう。それは思想的な偏りというよりかは、嗜好的な偏りで、ほとんどのウェ

その悩みは、幻かもしれない - 養性訣解説06

昔話昔々、中国の随の時代に、陳箴(ちんしん)という人がいました。ある日、陳箴は仙人の張果(ちょうか)に占われ、ショッキングなことを告知されます。 あなたは一年もたたないうちに必ず死ぬ、と。 困った陳箴は、弟の顗禅師(きぜんじ)に相談しました。すると顗禅師は、食(たべもの)眠(ねむり)体(からだ)息(いき)心(こころ)の五つの事を調和することなどを、兄にすすめました。 弟のアドバイスを守り、陳箴は五事の調和を真面目に実行します。そして数ヶ月が経ったときのこと。 再び張果

満腹の害 - 養性訣解説07

1.満腹の害「腹八分に医者いらず」という諺がある。なんとなくそれは正しいことなのだろうと、皆さんも認識しているだろう。ただ、八分目を守らないと一体どうなってしまうのか。そのあたりが曖昧だ。 今回の『養性訣』解説は、食について。八分目の利点と、それを守らないとどうなるのかが説かれる部分を読んでいく。 では早速、満腹の害からみてみよう。 (1)なにもかも面倒くさくなる【原文】 身体(からだ)自(しぜんと)沈重(おもく)、起居(たちい)もわれしらず懶堕(ぶしょう)になり (『

淡々と今を生きる - 養性訣解説10

面白おかしく暮らしたい、華やかな生活がしたい、有名になりたい。誰もがもつ正常な欲求だろう。ただ、これらの欲には際限がなく、求めすぎると体を病んでしまうことがある。 今回の『養性訣』は、欲望と心に関することがテーマになる。心の摂生は五事調和の最終目標で、ここで上巻も終わる。それでは、欲にとらわれすぎると、身体にどういった影響が出るか、まずは以下を読んでみよう。 【原文】 人々安逸(おもしろきこと)に耽(ふけ)り、歓楽(たのしみ)に習(なれ)て、ただ富貴栄華を慕い、名声功利競