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養生やまと歌 - 江戸の養生書を読む 03

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和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。
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2020年5月の記事一覧

鯛はただ筋骨強くなしにけり心腎弱き人によきもの - 養生やまと歌 008

鯛も虚弱な方に特におすすめの補益食材になります。五蔵を補い、気血を益す作用があったりと、本草学的には魚類の中でトップクラスの効能です。 江戸時代の本草書『本朝食鑑』には、乳房がしなびて垂れ下がってしまった授乳婦が見事復活した、以下のようなエピソードも記載されていました。 ある授乳婦は、体が虚弱で食が細く、母乳が出ず、乳房がしなびて垂れ下がってしまっている状態だったが、味噌と酒粕で鯛の肉を煮て食べると、3、4日して乳房が張り、湧き出るように乳汁が出るようになった。 (又一

朝早く起きて歩をはこびなば気も晴れやかに病しりぞく- 養生やまと歌 007

早朝散歩は気持ちが良さそうですね。気分の晴れない時に試してみるといいかもしれません。 僕自身は朝目が覚めるのは早いのですが、布団から出るのに時間がかかるタイプで、朝の散歩はなかなか無理そうです。今回はとりあえず養生の基本として、この一首を紹介しました。朝に強くなりたい。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新

痩せつかれ手足もだるく積かたく気さかのぼらば気海なりけり- 養生やまと歌 006

‪疲労回復の一番の薬は休むこと。ただ、休んでも疲労感が抜けない時ってありますよね。そんな時にてっとり早く回復したいなら、気海へのセルフ灸がオススメです。歌にあるように、気の逆上を下げるので、頭をクリアにしたい時にもよいでしょう。‬ 気海はお灸に向いたツボなので、せんねん灸などの台座型のお灸で刺激します。‬ ‪お灸は面倒くさそうだし怖い、という方もいらっしゃると思いますが、家庭用に市販されている台座型のお灸は点火して貼るだけで、すごく簡単です。お灸は大きめのドラッグストアで

たけの子は痰を化す也水を利す虚冷の人に用べからず - 養生やまと歌 005

今年の春はタケノコ食べましたか? もう旬も終わりになりますが、タケノコには「利水」という、体の水分バランスを調節する働きがあるとされています。 東洋医学では人の体を流体としてとらえ、気・血・水の3つがめぐっていると考えています。このバランスが乱れると、身体にさまざまな不調が現れます。「水」に関わる身近な症状ですと、「むくみ」がそれにあたります。また、口の強い渇きも、水の不調和によることがあります。 こういった水のトラブル時に、タケノコのような「利水」の食材が役に立つわけで

名将は戦わずしてかつ軍良医はいまだ病まざるを治す - 養生やまと歌 004

健康的に生きるには、養生が何よりも大事です。理想は「戦わずして勝つ」ですね。ただ、病気は体質や運に左右されるところもあるので、完全回避はまず無理でしょう。 現実的には、病になっても軽くすませる、倒れてもまたすぐ起き上がれる体を作る。これこそが養生の役割になります。 東洋医学は予防を大変重視しており、この「未だ病まざるを治す」は、『素問』という大昔の鍼灸学書に記載されています。そこでは、病気になってから治療することを、「喉が乾いてから井戸を掘り始めるようなもの」とも喩えられ

脳重く頭痛目眩や胸さわぎ脱肛出ば百会成けり- 養生やまと歌 003

百会はリラックスのつぼとして、最近テレビなどで紹介されることが多いですね。江戸中期の『鍼灸要歌集』でも「胸さわぎ」に良いと詠まれていました。 ツボ押しのコツ1.一点を垂直に押す。グリグリこねるように押さない。 2.押し込んだたまま5秒保持して、指の力をゆっくり緩める。1箇所につき5回から10回を限度に押す。 また、のぼせ傾向のある方は、次も追加で行ってください。 のぼせやすい方は、仕上げに曲池も刺激 のぼせ傾向のある方は、百絵などのような、頭部のツボを刺激するとのぼせ

いわしをばつねに食せよ気力まし血をもます也少用る−養生やまと歌 002

イワシは体力がちょっと弱っている時によい食材と覚えておきましょう。ここで詠まれているように、本草学的に気や血を補う作用があります。ただ、滋養作用が強い反面、過食すると体に熱をこもらせると考えられているので程々に。 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  ht

いつとても百の病は気より出づ花見心になるは養生-養生やまと歌 001

病は気からです。心が固くなると、体も緊張します。心をストレッチするつもりで、毎日1回5分間だけ、深呼吸しながら頭の中でお花見しましょう。 【 エア花見のやり方 】1.エア花見中は、何があっても無視すること。できれば誰にも声をかけられない静かな環境を選ぶとよい。スマホなどは別室に置いておく。 2.背筋を伸ばして座る。 3.目を閉じる。 4.深呼吸しながら、頭の中で5分間お花見をする。 5.これを毎日継続する。同じ時間帯、同じ場所でやると続きやすい。 養生やまと歌とは