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『養生大意抄』- 江戸の養生書を読む 02

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多紀元悳(1732~1801)著の養生書で、全2巻。内容は医家向けではなく一般向けで、心、飲食、起居動作、性、鍼灸薬餌などの養生の要点がまとめられている。著者の多紀元悳(もとのり… もっと読む
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2019年12月の記事一覧

所要時間5分「心を静める」忙しさや緊張でのぼせた時のツボ刺激法 - 養生大意抄10

1.心は静かにしてやわらかに【原文】 心は静(しずか)にして和(やわら)かに躁(さわ)がしからざるを養生の一大要務とす。 如何となれば凡人の耳目口鼻の七竅皆上に在ゆへ見聞言語飲食に就て身内の諸気尽(ことごと)く上部へ引あぐることのみなり。 然るに心あらあら忙(せは)しければや神気うかみて気うはつる故、心気おさまらず、惟(ただ)逆上のみにて下降することなし。 素問に気降(くだ)るを順としのぼるを逆とすといへり。気常に逆上して久(ひさし)ければ必病を生ず。気常に順下なれば自

体に良いことは、どのように習慣化すればよいか? - 養生大意抄11

1.養生の動機付け養生の要は、体に良い事を習慣化することだ。ただ、それには強い動機付けが必要となる。 特に今現在健康な人は、健康になろうという動機が希薄になってしまうため、なかなか習慣化が難しいだろう。 一方で、体が弱いという自覚のある人や、大病をした後には、養生に対するモチベーションは、すごく高くなる。 そして、そういう人たちの方が、逆に体に気をつけ続けるので、一病息災というように、意外と健康的に歳をとれたりもする。 今回の『養生大意抄』は、この養生の習慣化について

「もう疲れてしまった」から少しだけ復活する方法 - 養生大意抄12

1.先天の気と後天の気植物の種子は、土や水があることで生長する。同じように、人間も飲食物なしには生きていけない。 東洋医学には先天の気と後天の気という概念がある。先天の気とは、父母より授かった根源的な気である。後天の気は飲食物より得られるエネルギーになる。 健康を維持しながら年をとっていくためには、この二つの気を養い保つことが重要であり、これが今回紹介する一節のテーマとなる。 では以下に原文を読んでいこう。 『養生大意抄』意訳 ○人の生命の誕生にあたって、父母から授か

正月休みでかえって疲れがたまる人 - 養生大意抄13

1.正月休みでかえって疲れがたまる人今年もあと1週間をきり、長い正月休みがいよいよ始まる。正月は自由な時間がたっぷりできるので、好きなことをして、ゆっくり過ごす方も多いだろう。 ただ、ゆっくりと楽しく過ごすつもりが、正月にかえって疲れてしまうこともある。好きなことをして過ごせば、休息になりそうなものだが、楽しいことほど、ほどほどが難しく、疲労をかえりみずに続けてしまう。 今回紹介する一節は、休養と趣味について。 『養生大意抄』意訳 ○そもそも何をするのにも、節度というも