スピッツのライブに行ったあの日を思い出してみる
わたしは、ロックバンド『スピッツ』の大ファンです。
先日スピッツから公式に、新アルバム発売と、
2023年~2024年にかけての全国ツアー開催が発表されましたっ!
(パチパチパチ~!)。
やったぁ~!絶対に行くんだもんっ!と、いまから意気込んでいます。
とっっても楽しみ。
ファン歴はけっこう長いのですが、
好きになったのは、ライブへ連れて行ってもらった事がきっかけでした。
今日は、その時のことを思い出して書いてみます。
ファンになる前の小さいころ、
スピッツは、『空も飛べるはず』『チェリー』『ロビンソン』などの名曲がヒットしていた。
母の車でカセットから流れていたり、テレビで見たり、音楽の教科書に載っていて合唱したり…。
当時は、マッシュルームヘアの細身のおとこの人が、高めの綺麗な声で歌っている・・・。
という印象で、チェリーの『少しだけ眠い』という歌詞がおもしろいな〜と思っていた。
15歳。中学2年の秋。
知り合いのおばちゃんから、
「スピッツのライブチケットを取ったから、一緒にどう?」
と誘われた。
どうやらおばちゃんは、
スピッツのファンクラブに入っているらしい。
スピッツ?
あぁ~<空も飛べるはず>歌ってる人ね!
まぁ行ってみてもいいかな。
くらいの軽い気持ちでお誘いを受けた。
こうして、スピッツの全国ツアー"あまったれ2005"が、
わたしの人生初のライブ参戦となった。
おばちゃんからは、予習しておくように!と、
アルバム『スーベニア』をダビングしたMDを渡されていた。
このアルバムをひっさげてのライブらしい。
学校生活がなにかと忙しく、頭の片隅にMDの存在はあったけれど、
全然聴かずに日々が過ぎていった。
スピッツについて、ほとんど何も知らない状態でライブ当日を迎えた。
ライブ当日。
普通に学校へ行き、
一旦家に帰ってからおばちゃんの車で会場へ向かった。
会場に着く。
地方のライブ会場の大ホールで、席は前から12列目の真ん中辺り。
早めに着いたので座って待つ。
ステージに結構近いなぁ~。
周りのお客さんを見渡す。
制服着てる人は学校帰りの高校生かな?
けっこう年いってる人もいるなぁ~。
なんて、ぼんやりと考えたり、隣であきらかにワクワク・ソワソワしているおばちゃんと喋っていると、
流れていたBGMが止まり、暗くなった。
みんな一斉に立ち上がり、会場が拍手で包まれる。
メンバーが登場する。
「マサムネさ~ん」と、控えめな女性の声援。
「マサムネぇぇ~!」と、太い声の男性が叫ぶ。
クスクスっと笑い声が聞こえる。
真ん中のボーカルの人がマサムネさんっていうのかな?
すぐに演奏が始まる。
聴いたことのあるイントロ!
『空も飛べるはず』だ!
想像よりも音が大きく、低音がずっしりと心臓に響く。
ボーカルが私のちょうど正面にいる。
前にテレビで見たことのあるマッシュルームヘアではない。
遠目にも、目力があるのが分かる。
耳も大きいんだなぁ。
歌がはじまる。
!!!
CDで聴くのと変わらない、綺麗で透き通った声。
CDで聴くよりも、太く男らしく艶っぽい声をしている。
えっ。なんかすごく良い。すごく良いよぉ・・・。
ゾワ~っと両腕に鳥肌が立つ感じがする。
なぜか涙があふれてきた。
言葉でうまく表現できないけれど、一瞬で心をもっていかれた。
あぁ!わたし、このバンド好きだなぁ・・・と、直感的に思った。
その後も曲は続く。
予習をしていないから、初めて聴く曲がほとんどだ。
おばちゃんは隣で心地よく身体を揺らしたり、腕を振ったりしてノリノリだ。
わたしは、身体の緊張が抜けず棒立ちしている。
はたから見たら、無理に連れてこられたノリの悪い中学生に見えただろう。
そうじゃない。違うの。
圧倒されているんだ。心を奪われてしまったんだ。
スピッツといえば、穏やかな曲ばっかりだと勝手に思っていたけれど、
想像より遥かに激しめのロック!!って感じの曲も多くて、おどろいた。
特に『メモリーズ・カスタム』にはシビれた。
ライブのはじめのほうは、ボーカルにくぎ付けになった。
激しい曲でも声を張り上げたり、お客さんをあおることはしない。
腰を揺らしながら、気持ちよさそうにギターを弾き、伸びやかな声で淡々と爽やかに歌っている。
進むにつれ、他のメンバーにも注目した。
いちばんファンキーな格好をしているギタリストは、
黙々と演奏に集中している。
定位置からは、ほとんど移動しない。
MCでしゃべると、意外に声が高くておもしろい。
パッと見は大人しそうだと思ったのに、ベーシストがぴょんぴょん跳ねて暴れている!
ジャンプ力すごい!
ってか、どこいくの~!?ってくらいめっちゃ走り回る!!
えっ?お客さんにベース弾かせてるけど!?えぇっ?!
ドラマーは激しく叩くけど、うしろからメンバーを守るようにニコニコしている。
こちらも爽やかな雰囲気の人だ。
キーボード(のちにサポートメンバーと知る)の女性は、落ち着いた感じ雰囲気だ。
なんかちょっと渋いな。かっこいい。
曲の合間のMCはあまり覚えていないけれど、
ライブ開催地のご当地グルメの話とか、
学生時代の部活の話とかを、ボソボソ(笑)と話していた。
たまに「・・・」と変な間があってお客さんたちがクスクスっと笑っている。
みんなニコニコして、穏やかな雰囲気。
演奏の時とのギャップがあって、おもしろい。
アンコール含めて20曲くらい。
2時間30分とか3時間くらいあっただろう。
あっという間の時間だった。
『空も飛べるはず』で心を掴まれて、
意外なロックでおどろき、スピッツらしい穏やかな曲で癒された。
そしてとにかく、ボーカルの声に魅了された。
「どうもありがとう!」と、ボーカルが深々と頭を下げる。
そして客席に向かって何かを投げている。
ブーメラン飛ばすみたいに、かっこいい投げ方。
おぉっ!?こっちに飛んできた?!!
ゲットしたのは・・・おばちゃん!
わたしと一緒に来たおばちゃん!
おばちゃんはキャッキャしながら「ほらっ!」と私に渡してくれた。
後になってからだけど、思った。
きっとこれはボーカルが、
ライブ中に終始圧倒されていた女子中学生に、
何かしらのメッセージを送りたくて、こちらに投げてくれたのに違いないと(絶対に違う)。
なにかの運命を感じずにはいられない・・・
(キャッチしたのはおばちゃんだけど)。
ライブ終了後は、なが~いグッズ販売の行列に並び、
パンフレットを買って帰った。
帰ってからは、すぐにおばちゃんにもらった『スーベニア』のMDを聴いた。
この曲がこのタイトルね!と、
復習しながら曲名を確かめていった。
そういえば『俺のすべて』もめっちゃよかったな。
タンバリン叩くなんて意外だったよぉ。
ピックを撫でて、ボーカルの人が触ったんだ…
匂いを嗅いでみたりして(おいっ!)余韻にひたった。
はじめてのライブの大きな音で、まだ耳がジンジンとしている。
その夜は興奮して眠れなかった。
それからのわたしは、スピッツの曲を聴きあさり、
スピッツのメンバーについても調べまくった。
ちょっとおじさん
(当時30代だけど、中学生からしたら)達が奏でる、
やさしくて尖がっていて、キラキラとした音楽たち。
意味がわかるようで、よくわからない不思議な歌詞。
あっという間に、スピッツ沼へハマっていった。
学校が終わると、CDプレーヤーでスピッツを聴きながら帰った。
田舎の錆びれてつまらないと思っていた景色も、
『ロビンソン』を聴きながら歩くと、少しだけおしゃれに見えるから不思議。
つらい事があったときは、
「がんばれ」「まけるな」という直接的な言葉じゃないけど、
フワッと隣に寄り添ってくれる、
そっと背中を押してくれるような歌詞に癒されていた。
当時のわたしといえば、勉強も友達関係も家族とも、何もかもうまくいかず、
自分の居場所なんてどこにも無いと感じていた。
振り返ってみると、暗い中学生だったと思う。
「いやな事ばっかりだ」と、下を向いていた女子中学生の日常に、
スピッツがスーッと入ってきてくれた。
その後も、全国ツアーの際には
おばちゃんがチケットを取って連れて行ってくれた。
大人になって仕事を始めてからは、ファンクラブに入会した。
ライブにもたくさん参戦してきた。
これまで色んな事があったけれど、スピッツの音楽はずっと私に寄り添ってくれていて、
一緒に歳をとってきた気がする。
中学生でスピッツのライブへ連れて行ってもらい、
大ファンになった事を振り返って書いてみました。
~最初ガーンとなったあのメモリーに 今もあたためられてる(醒めない)~
これからも、すてきでカワイイおじ様たちの音楽を推していきたいです。
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