見出し画像

フィリピン留学記⑭ちゃんと授業があることは普通じゃない

「明日も授業か。」
大学生なら誰でも一度は口ずさんだことがあるセリフだろう。勉強や授業に出席することが学生の本分だが、それが嫌になるのはどうしてなのだろうか。
もし学業を退屈に感じたら、一度マニラの大学に来てみるといい。
私は今週、前代未聞の5連休を経験したのだ。

今アテネオ・デ・マニラで履修している授業を紹介しよう。
1)ホセ・リサールとフィリピン国家誕生の歴史
内容はタイトルの通りだ。授業の良き点は先生の司会力が高いことだ。オープンディスカッションで授業を回し、事前リーディングを元に授業を進めてく。だが、たまに飛び出すタガログ語と高校のような出席の取り方が厄介。
フィリピンの歴史を多角的に学ぶことができ、面白い文献もある。あと先生が熱心なので休校になることが少ない。

2)留学生向けのフィリピノ語と文化
フィリピノ語の基礎から、文化と言語学的な側面を交え、歴史も学べる授業。例えばタガログ語とフィリピノ語って何が違うん?などが主な授業の問いだ。言語学者が講師をしているので、一度言語学的な分析に入ってしまったら止まることを知らない。エアコンが教室についていないため、扇風機の音で先生の声をうまく聞き取れない時が3割、残りは気合が7割。
クラスメイトの中では賛否両論だが私は意外と好きだ。

3)形而上学(ハイデガーの分析)
ハイデガーの「形而上学入門」を読みながら分析する授業。私は好きだが授業に活気がなさすぎる。おそらくこの学校では必須授業なため、学生の主体性がみられることが少ない。授業に参加点があるため、みんなが手を挙げるときは原文を朗読するときが多い。金曜日は車の渋滞を避けたいという理由でオンラインになることがある。

4)東南アジアの人類学
おそらく70代前後のフィリピン文化人類学者が開講している授業。彼の研究は主に東南アジアの建築、遺跡、アイデンティティーにまつわっている。
なぜ東南アジアという括りになったのか、東南アジアには共通のアイデンティティーはあるのか、などが授業の主な命題である。だが、教え方からあまり人類学味を感じられない。講義内容は調べれば出てくることが多く、人類学の醍醐味である前提への問いかけもなければ、授業内のディスカッションも短い。さらに、講義型かつ、履修人数が多いため学生の多くは授業内容よりもSNSをよくチェックしている。
教授がご高齢なため怪我や風邪による休講が相次いでおり。オンラインを試みるがWi-Fiが使いこなせず断念することが多い。

5)文化と遺産
前述した授業と同じ教授である。だが先ほどの講義型授業とは違い、少人数かつ大きいプロジェクトが実施されているため、私は好きだ。私のチームはフィリピンの先住民の織物技術を用いた有名ファッションデザイナーと共同作業をしている。まだプロジェクトが開始したばかりなため、また後日詳しい情報と経過報告する予定だ。
前述した授業が休校になるとこれも休校になる。

寮のキッチンがぶっ壊れる

おわりに
第一学期は8月初頭から11月末である。今学期は上記した5授業(15単位)で構成している。今のところ順調であり、教授たちともうまくやっているつもりだ。
雨による洪水被害、交通政策によるストライキ、急な電波の不調。マニラでは何が起きるか予想できない。当たり前のように勉強ができる環境、誰かから学べる環境、クラスメイトと毎日いれる環境は決して当たり前ではない。

あなたは学校を楽しめていますか?いま履修している授業には行きたいですか、なぜ出席するのですか?明日休講になったらラッキーだと思いますか?

一度留学に行くと自分の母校の強みと弱みが比較により浮き彫りになってしまう。それを知った上で自分はどう学びたいかを考えるといいのかもしれない。
明日も授業があるのかどうかは分からないが、次はどういう理由で休講になるのかが楽しみだ。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?