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8月13日の未来をつくるサロン;中小企業施策の歴史と地域未来牽引企業の今後

今日のサロンはまず、中小企業施策の流れからです。

「平成の中小企業政策:産業集積政策を振り返って;掲載日:2020-08-13 発表元:商工総合研究所」と言うレポートからです。東北大の福嶋先生の論考です。引用はすべて先生の論考からです

「平成の地域産業政策のその他の特徴としては、関係省庁が経済産業省のみならず、内閣府、文部科学省、総務省、国土交通省等など多様化していった点、また産業集積を指す言葉が時代とともに変化していった点が挙げられる。後者に関して言えば、同質的な企業が空間的に集積
する「産業集積」から、多様なプレーヤーとそれらの相互作用を意味する「クラスター」、さらには地域を一つの生態系と見なす「エコシステム」へと変わっていった。このような呼称の変化は、地域産業政策の見方や役割の変化を反映したものであると思われる。」

と言うことでした。ふむふむと言うところ、細川の個人的体験では北海道におけるクラスター政策には業務としてふれたことがあったので、懐かしさを感じました。

そして、ショックを受けたのは、中小企業振興策のほとんどは、机上の議論がスタートだったという指摘です。

「やがて2010年代に入ってくると、クラスターに代わって「エコシステム」という言葉が使用されるようになる。エコシステムという言葉には、地域が一つの生態系を形成し循環することによ
って、新しい技術、事業、企業などが次々と生みだされ、外部とやりとりしながら継続していくことが含意されている。地域をあたかも一つの生命体のようにみなすメタファーである。中小企業もその一部の役割を果たすというのである。
このようにアカデミアで作られた概念を、政策立案者は柔軟に取り入れながら、政策を立案し、その要求にあった地域への支援を活発に行ってきた。」

たしかに考えてみれば・・・思い当たる節は多いです。地元からのニーズではなく、なぜか突然与えられる補助金と審議会が多かったことを思い出しました。結果はこれからに注視です。コロナ前の動向ですが、以下のレポートがでています。エコシステムのコアになっている企業は比較的業績は堅調のようです。

「令和元年度データに基づく地域未来牽引企業調査事業 最終報告書
掲載日:2020-08-13 発表元:経済産業省 」です。

1. 地域未来牽引企業については、2017年の制度開始の前後で、分析対象
指標の急激な変化は認められなかった
• 売上高・域内調達額・域外販売額など、制度開始以前から順調な成長を示す指標が認められた
• 以前から地域を牽引していた企業が選ばれていることを示唆している
2. 牽引事業者については、2017年の制度開始以降、生産性・経営力・地
域牽引力に関する指標の推移変化が認められた
• 従業員数・総資産額は2017年以降増加している
• 特に域内調達額・域外販売額は2017年以降増加に転じている
3. 地域未来牽引企業の売上高・域内調達額・域外販売額は2015~2019年
に増加している
• 売上高に占める域外販売額が安定して推移しているため、売上高の増加とともに域外から獲得する資金も増加していると考えられる
• 域外からの獲得資金が域内調達へと分配されていることが示唆され、地域経済の資金循環に寄与しているといえる

コロナ後にどのような風景が広がっているかも含め、注視が必要になると思われます。その中で、「エコシステム」を地域地域の現場がどのように考えているのかに特に注視していきたいです。

ありがとうございます!