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社会学系からの政策立案に役立つガイドブック第一弾(マクロ系)

今日は、社会学系からの政策立案に役立つガイドブックをお伝えします。経済学系、当然、法学系からのガイドブックはよく見ます。今回は、細川が実際、政策構築等の時に使っている本を何冊かご紹介します。

1 社会学的想像力

社会学を学ぶ意味とは何だろうか?たとえば、社会の変化が私たちの日常にどう影響するか、あるいは、日々遭遇する困難を根本的に解決するにはどうすればよいか。それを適切に考えるためには、日常を社会や歴史と関連づけて捉える知性が欠かせない。社会学的想像力と呼ばれるこの知性こそ、社会学の最大の効用である。だが、当の社会学者も理論や調査に夢中になるあまり、そのことを忘れつつある―こうした現状を鋭く批判し、社会学的想像力を鍛える学としての意義を高らかに謳いあげる重要古典。今日でも全米の大学で最も多く用いられている社会学文献である本書を、みずみずしい新訳で送る。

アマゾンからですが、ポイントは日常生活と社会的性格、社会的構造のつながりを示したものです。全体性のあり方、公共性のあり方を考える上で必須文献。

2 大転換

アマゾンからですが、先市場社会における経済の地位に注目しつつ、社会と経済の関係を検討することによって、市場社会たる19~20世紀世界の文明史的意義を解明する。経済社会学の一大古典。ポイントは、国際システムと貨幣システムと国民国家の勃興による社会変化を検討していることです。マクロ的位置づけから政策のあり方を考える上で必須です。

3 史的システムとしての資本主義

社会科学の諸分野に圧倒的な影響力を及ぼす,壮大な歴史理論「世界システム論」の骨子をかみ砕いて紹介した旧版に,新しく資本主義の総決算と将来の見取り図を提示.普遍主義,進歩主義を標榜する近代がなぜ人種問題,南北問題,性差別などの難問をもたらしたのか,またその解決は可能なのか? 「社会主義の実験」が終焉した今,我々の取りうる道とは何か,大胆に予測する.

マクロ系の古典とはこれでしょう。知識のあり方とマクロ的視座の関係性をまとめたもの。院生時代に、進歩主義が格差を生んだ仕組みが明確に示されていることに興奮したものでした。

4 自由・権力・民主的計画

マンハイムの代表的な著作の一つ。民主的な社会計画とはなにかということをまとめたもの。よりよい社会をつくるための計画の必要性と、その計画を創るための技術とはなにかというをまとめたものです。マンハイムはコンサルタントなどの職業は知らなかったと思いますが、やはり、社会計画を創るための技術という視点を最初に登場させたところはいつも感服しています。

5 アブダクション

プラグマティズムの論者の一人であるパースのアブダクションについて整理された本です。演繹と帰納ともう一つのスタイル〜仮設的推論をコンパクトにまとめたものです。現場と机上の関係で悩まれている方にはぴったりかと。アマゾンでは↓

記号の本質的な暖昧さを重視し、厳密でない推論に科学的発見の可能性を見たパース。演緯・帰納と並ぶ第三の推論として彼が提唱したのが、創造的発見を生み出す「アブダクション」である。人工知能やコンピュータサイエンスの研究者からも注目を集めるこの概念を丁寧に捉え直し、100年を経てなお新鮮なパース思想の真髄を明らかにする。

6 〈未来像〉の未来: 未来の予測と創造の社会学

アーリの遺作。過去ではなく、未来のあり方の考え方を示したもの。やはり最近では個人的なベストの一つ。まさしく権力と未来、そして技術の関係を示したもの。

「今こそ社会科学は、〈未来〉を考える時である…」
ジョン・アーリ遺作
新たな社会科学のパラダイムを切り開いた
“アーリ社会学”の最後の課題は
〈未来〉だった!
社会科学は、これまで〈未来〉について論じることから逃げてきた。
未来については、技術決定論が幅を利かせ、社会科学がまともに取り扱ってこなかった。しかし、国家や企業、技術者に委ねてすむ問題ではない。さまざまな“社会的未来像”が、現在の人々の生活を決定づけている。そして今、多くの人々が、より良きそれを求めている。未来像を予測するのに適した理論や研究は、社会科学にも数多く存在する。われわれは、それらを検証し、再び“社会的未来像”を展開させなくてはならない。
今こそ〈未来〉を考える時であり、社会科学は機を逸してはならない

もう五冊ありますが、それはのちほど。(了)

ありがとうございます!