国民民主党の政策解説②社会保険料の低減と消費税減税
103万円の壁に隠れて、議論になりつつある国民民主党の政策”社会保険料の低減”と”消費税減税”について、位置づけがあまり説明されていない(というか忙しくて話す時間がなさそう)と感じたので整理します。
医療保険制度
まず、医療保険制度を維持するためには、
①保険料を下げると、公費負担を上げないといけない(結果消費税を上げないといけない。)
②または、公費負担を下げようとする(結果、消費税をさげる)と、保険料をあげないといけない
という関係に立ちます。
現在の医療保険制度は現役世代の保険料と公費(消費税)と自己負担額で成り立っているからですね。
例えば令和3年の計算式は
公費13.7兆円+保険料22.3兆円+自己負担額6.1兆円
となります。
すると、皆様もお気づきですが、国民民主党のかかげている”社会保険料も下げ”て、”消費税も下げ”たら、医療保険制度維持できないんじゃない?と思いますよね。
なので、もう少し国民民主党の政策を掘り下げてみましょう。
保険料を下げるための論理構成
国民民主党の保険料を下げる論理構成を理解するためにはいくつかのポイントを理解しなければいけません。
①後期高齢者の自己負担率を上げる
②後期高齢者負担金をなくす。
③低所得者等の社会保険料負担を軽減する。
後期高齢者の自己負担率をあげる
まず、国民民主党は後期高齢者(75歳以上)の医療費自己負担率を1割から2割(所得によっては3割)負担に増やすという政策を考えています。
結果、後期高齢者の自己負担額8%から13~14%程度に変化するのではないかと考えております(効果としては8000億~1兆円程度)。
この自己負担額増額分を低所得者の社会保険料負担に反映させるというのが国民民主党の政策です。
なので、所得に関係なく減税しますよ!というものではありません。
後期高齢者負担金をなくす
現在、健康保険組合の支出のうち現役世代の加入が多い”協会けんぽ”と”組合健保”の支出のうち30%ほどが、高齢者が加入する市町村国保や後期高齢者の医療費のために使用されます。
それゆえ、これらの費用を減らし、低所得者の保険料を下げたいというのが国民民主党の考え方になります。
なお後期高齢者支援金の負担がなくなるという点について、後期支援金をなくし年齢を問わず全世代が負担する財源を充てるとしています。
ここで勘の良い方なら気づくかと思いますが、”それって消費税じゃないの?”となると思います。
国民民主党は消費税を下げると言っているのにおかしいじゃないか!というご意見もあるかと思います。
それでは、消費税減税政策をしっかり見ていきましょう。
国民民主党の消費税減税策
国民民主党の消費税減税策は期間の制限があります。
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物価が上がり景気が低迷するスタグフレーションに陥らないため、(実質賃金だとは思いますが)賃金上昇率が物価+2%に達するまでの間、増税や社会保険料アップ、給付削減などによる家計負担増は行わず、消費税減税(10%→5%)を行います。
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つまり、賃金上昇率が物価+2パーセント(2024年であれば大体物価3%なので賃金上昇率が5%になった場合)に消費税減税が解除されるということです。
国民の生活が安定してきた際に、消費税を増やすというのが国民民主党の政策です。
ちなみに実質賃金上昇率5%を超えたのは10年ほど前になります。
これらを総合考慮すると、消費税の減税策については
①あくまでも一定期間の限定的な政策であること
②国民の賃金が上がった際には、消費税が戻り、適正な全世代向けの負担(消費税増税?)の負担が増えるようになると考えられます。
国民民主党の政策について
国民民主党は低所得者の社会保険料負担について手当を厚くし、未来に希望ができる国にしていくことを目標にしています。
その目標に照らせば、政策の形としては現実的な、理想的なものなのではないでしょうか。
※政策説明のパワポPDFでは現役世代の健康保険料2割減を目標にしていますが、別のページには低所得者向けの手当を厚くすると記載されておりました。現時点で、どれが正しいのか明確ではないため、わかり次第NOTEをUpdateいたします。