”優秀”になれなかった子供の話

 僕は中学2年生になるまで優秀な生徒の部類にいた。周りからも進学校から名門大学に進学する事を期待されていたし,素行も良かったので勿論内申も良かった。当時は普通に地元の進学校に行くと思っていたし,Marchに現役で進学しているものだと思っていたが現実はそう甘くはなかった。今度こそはと思って浪人(仮面浪人という形態ではあったが)をしたものの,結果として僕は一浪してもMarchには届かなかった。「あんなに出来てたのにねぇ」,「2年も最低限なんて情けない。」なんて親に言われて肩身の狭い思いをしながら,投げつけられた言葉のナイフなんて気にしないように装う日々だ。

 先日5年間放置し続けた段ボールの山を処理した際に小学校,中学校のテストや模試の結果が出てきた。小中どちらも学校のテストは極めて優秀なものだったが,模試はてんで駄目だった。とても進学校なんて行けるような判定ではなかった。「優秀ではなかった」のだ。そこに親子ともども目を向けなかった。見たくない現実には蓋をして,都合の良い事(学校のテスト)だけを見続けた。それを何年も続けた。僕は途中で「とても期待に応えられる人間ではない。」と薄々感じ取っていたのだが,気が付いた時にはもう遅かった。周りの期待は膨れ上がり,そして今年の受験で爆発した。もう私は”優秀”ではないし,期待外れの子になってしまったのだ。情けない子なのだ。運動も,コミュニケーション能力もなにもない。「結局お前はなにがしたかったんだ」と父に言われたことは多分一生忘れないと思う。運動も,コミュニケーション能力も,勉強も何もできない僕にはもはや何がしたかったのかすらわからない。ただ認められたかっただけなのかもしれない。もうそれも叶わぬ夢となり熱砂に陽炎の如き幻影と化した。今の私はただの藻屑である。ただの無気力。それでも承認欲求は馬鹿みたいにつよいから,本当にやってられない。

 私は優秀になりたかった。周りから認められたかった。否定されたくなかったからここまで頑張ってきたが,それも叶わなくなった今どうしたら良いのかさっぱりわからない。このまま生きても無意味だとは思っているので,寿命は10年に設定した。今すぐに死ぬ勇気もない。本当に中途半端過ぎて自分でも情けなくなる。本当に情けない…

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?