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【本】自分の中に毒を持て

太陽の塔を作ったことで有名な岡本太郎さんの本です。周囲の顔色を伺って自分を閉じ込めてしまうようなことは辞めて、自分に素直になる。素直になるだけでは、現状に甘んじてしまうかもしれない、自分の感性や気持ちを全面に押し出して自分を表現していくことが生きていくことなのだ!!この本の意訳です。

人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。ぼくは逆に、積み減らすべきだと思う。財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、かえって自分は自在さを失ってしまう。過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きができなくなる。

本を開いていきなりこれです。年齢を重ねるにつれて色々な経験が自分を作っていき、その人の性格や考え方が固まっていき、他人には個性に映るのだと思います。ただし、それが自分の個性であると同時に自分を縛る縄にもなるわけです。お金が無くなったらイヤだから・・・、せっかく貯めてきた知識やポリシーが覆されるのはイヤだから・・・、ということで人は自発的に何かをやろうとはしなくなります。岡本太郎さんは「財産も知識も」と記述されているように、経験そのものを否定しているわけではなく、現在に現れている「過去の蓄積」の結果に縛られてはいけないとうたっています。

大学や研究機関の教授の方々が最もショックを受けることは、自分の論を支える研究結果が出てこない事や反対意見と議論する事でもないらしいです。ショックを受けるのは、自分が積み重ねてきてやっと作った論理が、実は間違っていたということが判明した時なのです。

それだけ、過去の蓄積というのは自分自身にとってとても重要な存在なのです。しかし、そこに縛られいては新たな発見は到底無理なわけです。芸術家や大学教授に限らず、誰もが日常生活で過去の蓄積に無意識に縛られています

文明社会の成人式は、あまりにも形式的で、甘すぎる。はたちにもなれば、もう腐った大人だ。それがぞろぞろと市民会館や公民館に集まって、女性は振袖で着飾り、男性は背広を着て祝を受ける。こんな形式的な儀式で大人としてのきびしさに立ち向かっていく感動がわいてくるわけがないじゃないか。

大人になるのは2016年秋の時点では法的には20歳からです。国によって18歳からもあります。酒・タバコは20歳からですが、結婚は男性は18歳から女性は16歳からと決まっています。法的にそういう決まりだから20歳から大人であり、成人式は20歳で実施するのです。周囲が決めて、誰もが平等に。周りが「お前は20歳だからオ・ト・ナ」と言われて、「そっか!もうオトナか!」となっているのが現状です。

もし、周囲が決めるのではなく、自分で決めるとしたら。もし、大人になるために何か試験・試練を受けて、乗り越えなければならないならどうなるのでしょうか。自分で「これをやる!達成するんだ!」と決めて、達成したら晴れて大人としての存在が認められる。ビジネス用語でいうと課題発見力・課題解決能力とかいうのでしょう。今の世の中は大人になる前に企業なり機関に属して、その後に大人になる仕組みかもしれません。何かをやり遂げる・達成する。そのために就職や起業という方法をとる。そうなれば子供から大人へ、社会で自分を表現していくことができるかもと感じました。

本当にいきがいをもって、瞬間瞬間に自分をひらいて生きているかどうか。

周りが決めた仕組みで大人になり、大人になっても特に何もせず、ただ自分の積み重ねた知識や金銭は失いたくない。という状況では生きがいをもって生きられず、当然ながらやりがいのある働きもないです。

自分の好きな事をやる。食べていけるかは別問題として。自分の好きな事だから、その対象の問題点や改善方法も見えてくる。それを自分が実践していく。それが楽しくて、また好きになる。実践している間、考えて四苦八苦している間が「瞬間瞬間に自分をひらいている」ことであり、やりがい・生きがいになっていくと思います。単にいえば、無我夢中で取り組むこと。簡単に言えてしまうからこそ、できない。でもやっている人を見ると、なんだか羨ましいとかんじてしまう。そもそも自分の好きな事って何だろう?忙しい毎日に追われて、自分の好きな事を考える暇すらない。もうあれこれ考えるのは面倒くさいからいいや。それはもう「いつの間にか堆積物に埋もれて身動きができなくなる」ことの始まりかもしれないと思いました。

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