見出し画像

【鉄道本】時刻表2万キロ

 鉄道にひたすら乗り続けて、当時の国鉄路線の総営業キロの2万キロの乗車を果たしました。今のJR各社の総営業キロ数も約2万キロですから、その長さの全てに乗ったという凄まじさがうかがえます。鉄道路線の全てが都会にあるわけではないので、なかには1日に数本しかない路線もあります。乗ることも難しいうえに、そこに行くまでも遠くて難しい。

■宮脇俊三氏とは

 鉄道乗りつぶしのパイオニア的な存在です。鉄道会社に勤めているわけではなく、出版社で働いていました。会社の休みの日にコツコツと乗りつぶしに出かけ、乗車の感想を本にまとめました。趣味の領域で達成したことは凄いです。当時は国鉄の路線数も最盛期と言える時期でもあり、宮脇さんの乗車記録は当時の鉄道模様を知れる歴史的価値を有しているとも言われています。

■盲腸線にのる

 路線の両端どちらかが他の鉄道路線に接続していない路線のことです。関東でいうと多摩の五日市線や、関西では桜島線(ゆめ咲線)のような形です。
 これに乗ると、終点まで行って別の路線に乗り換えられないので、その路線を往復した、終点からバスやタクシーに乗ったりと時間と出費がかさみます。しかも、田舎だと終点での折り返し時間が数時間もあり、バスも運行していないような僻地だと、ただなにもすることなく時間が経つのを待ちます。

■未乗の末端区間

 ある路線の末端数駅分だけ、乗ってなかった。だから、今回乗りに行く。凄く面倒です。だいたい行くこと自体に手間がかかるのに、列車の本数も少ないです。想像してみてください、もし東京に住んでいて北海道や九州のローカル線にあと2駅分だけ乗らないとその路線の完全乗車にならないとしたら・・・。

■新規開通

 いまの世の中では珍しくなりましたが、昭和50年代頃までの国鉄は赤字路線の合理化を進める一方で新路線を開業させていました。筆者も全線乗車が済んだあとで気仙沼線の開業で、未乗車区間ができたと述べています。だいたい田舎の方なので、やはり行くこと自体に手間がかかる。当時と比べると、もう今のJRでは新規路線の開通はほとんど見なくなりましたが、JR西日本のおおさか東線や可部線の開通などが予定されています。もし、関東や九州に住んでいたらこれらの路線に乗りに行くのは面倒・・・。

■乗りつぶしの楽しさ

 本の中では鉄道好きの話でよくある、○○系や△△△△形があーでこーでという類の内容はほとんど出てきません。沿線の風景や乗車している地元の方々の様子、他愛のない世間話などが書かれています。その土地その土地の普通の風景が描かれており、鉄道は公共交通なのだと実感しました。私はただ車窓を眺めることが乗りつぶしで一番好きなので、もし本を書くとしたら外の景色を書くのでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?