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【備忘録】経営資源を効果的に活用するための原理原則:実践! タイムマネジメント研修 ~より少ない時間で、より高い成果を出すために~

「限りある資源(空間、時間、金銭など)を、最大限効果的に活用するためには、資源とその用途を《》することが有効なアプローチとなる」

ホワイトボードの左側に分割、細分化、などの分ける系の言葉。
右側に共有、把握、理解などの情報系。その間の真ん中に最適化、当てはめ、マッチング……など

お金でも、空間でも、人でも、そして時間でも、とにかく資源を有効活用するということは、スキマなく完璧に用途とマッチングするという感覚を持つ必要がある。
スキマを最小化するためには、二つのアプローチが有効です。
それが両側に並んだ言葉の集合である。

「資源と用途を小さく小さくとらえながらマッチングしていくと、隙間が小さくなる。」

業務改善の世界で私たちが愛用している言葉でクラスタリング

時間だけではなく、空間やお金、それから少し抵抗感はあるかもしれませんが人間も含めて、あらゆる経営資源を有効に活用するためには、資源とその用途を大きな固まりとしてとらえず、小さく、かけらとしてとらえた方がよい
という、鉄則のようなもの。

大きな塊のまま、資源とその用途をマッチングしようとすると、スキマができる。
引っ越しの例で言えば、段ボールと段ボールの間。それから、段ボールの中にもスキマ。あとは、押し入れで言えば2、3段重ねた段ボールと天井の間のスキマ。分かりやすいスキマもあれば、気づきにくいスキマ。こういうスキマがあちこちにできることで、発見できない無駄が増えていく。

他の資源でも同様に効果をもたらす。
例えばお金。
予算を作ったり実績を集計するときに、できるだけ細かい単位、短い期間で管理すればするほど、無駄が顕在化して最適なお金の使い方になっていく。

例えば、お客さま実例
そのお客さまは流通小売業のお客様なのですが、月単位、店舗単位で予算と売り上げ目標を決めて、その実績を管理していた。

ある時、外部から招聘された経営者の方が、それを売り場単位、時間単位で集計するように指示された

その結果、ある店舗では、夕方の16時くらいから急速に生鮮食品売り場の売り上げが伸びているのに対して、別の店舗ではもう少し遅く、18時から19時くらいに加工食品、いわゆる弁当が出ている。
火曜日だけはその限りではない、といったことがわかってきた。

そのデータに仕入れや在庫を照らし合わせてみると、売れる時間帯に欠品が出ていたり、逆にほとんど売れない店ではそれが余っていたりする。

お金の使い方や在庫の配置などを細かく分けて管理して、最適な状態にマッチングすることで、売り上げの機会を確実にものにし、無駄な在庫を減らすことに成功した

人間についての例
すごく高いお給料をもらっている人がやっている仕事のうち、6割くらいはすごく単純な作業で、新入社員や学生アルバイトでもできそうな仕事

そういう仕事の与え方になっている職場はどこの企業でも数多くあり、仕事を大きく捉えすぎる

もっとプロセスで細かく切って、難易度によって複数の人で手分けしてもいいのに、なぜか1人でやらないといけないと思い込んでしまう。

人と仕事の組み合わせ方も、もっと細かく考えるとより最適になる

実際、残業で過剰な人件費が発生し、疲弊していた職場で、仕事のしかたはほとんど変えず、ただクラスタリングして難易度の低い仕事を派遣社員に移管し、正社員の中もレベルと難易度でマッチングし直しただけで残業が激減し、人件費が大幅に削減できた

ただし、現場でクラスタリングについてお話をすると、空間、お金、人については納得して、実践してくれても、時間だけはそうならない。
現場で「クラスタリングしましょう」と提案すると、意味ないよと抵抗される・そんな時間の使い方したってはかどらないよ、効率悪いよと言われる。

仕事をできるだけ大きなかたまりとして捉え、処理しようとする。
当然、それを行う時間もできるだけ大きなかたまりとして捉える。
仕事も時間も大きなかたまりと捉えて、マッチングしようとする。

その結果、空間やお金と同じように、大きく捉えてマッチングしようとすると、細かい無駄なスキマに気付きづらくなる。

いま多くの方が今週どこか空いた大きな時間である程度こなし、残りを残業でなんとかしようと思っている

その合間に30分、いや10分くらいでも結構。
そういう小さな空き時間を足していくと、どのくらいになると思うか?
たとえば、明日1日でどのくらいありそうか?

普通に1時間半から2時間くらい出てくるのでは?
下手すると、3、4時間になることも珍しくない

では、明日その時間を使って、さっきの4時間くらいかかりそうな仕事を進めてくださいと言われたら、残業しなくてもできるはず。

確かに私も明日の細かい空き時間を合計すると、2時間半くらい空く。
だけど、それが使える2時間かと言われると、そうじゃないと思う。
たいしてはかどらないのではないか?

それが普通の反応なんです。
現場で時間のクラスタリングについては抵抗されると言ったのは、まさにこういうこと。
時間は違うよ、と。時間をそんな風にこま切れに使ったって捗らない。

では、私たちの脳みそは、どんな風に働いているか?

体験
ただのA4の白紙を1人1枚ずつお取りいただいて、横向きで使う。
それと、テーブルの上のカラーのマジックのセットから、それぞれお好きな色のマジックを1本取る

4時間かかるような大きなかたまりの仕事が降ってきた。
その時に、たまたま4時間空いていて、集中してできる環境を手に入れたと想定。
その4時間の間、みなさんの脳みそがどのように働くのか。
そのイメージをグラフ曲線のように表現する。

横軸が時間軸。4時間ですので、横軸の真ん中あたりに目盛りをちょんと、ふっていただいて、さらにその目盛りの右と左の真ん中あたりにもちょん、と。これで4時間分の時間軸がとれる。

縦軸ですが、仕事の処理量で、累積ではなく都度の瞬間の処理量。
累積だとみんな右肩上がりになってしまう。そうではなく、最初はこのくらい働いて、それからこんな感じで上がって、下がって……というようにカーブを描くのが一般的です。言い方を変えると、脳みその稼働率の推移というイメージ。

実際に4時間仕事をしている自分を感覚的なイメージで書いてみてみる。

作業結果、
時間の使い方に対してクラスタリングを提案しても抵抗されることが多い。
無駄だよ、はかどらないよ、と。

そういう方々にこの絵を描いていただくと、ある典型的な絵柄になることが多い。その絵柄を″かたより富士山″と呼ぶ。

「スタートは、どの辺から始まりをイメージするか。いきなり全開ってこともないだろう、ということで……」と、真ん中よりも少し下にマーカのペン先を置く。

「この辺からスタートする絵を描く方が多い。そこからだんだん集中力が高まってきたり、作業への慣れが出てきて、生産性が上がっていく。ピークに到達するのが、だいたい作業開始から30分ないし1時間後。そこからしばらくピークを維持。」

「だけど人間だから、ずっとピークを維持することはできないだろう。疲れてきたり、飽きてきたり、ということで、だんだん処理量が落ちていく。だらだらとやっていくうち……」

「最後、1時間から30分。この辺りでラストスパートがかかる。ぐっと生産性が上がって帳尻を合わせてゴール。こんな感じになるのが、いちばん多い絵柄です。」

昔の浮世絵に出てきそうな、かたより富士山と呼ぶ。
そして、この絵柄が、時間という資源についてクラスタリングを拒絶する原因である

仕事をはじめて30分から1時間弱くらい経過した頃、上司から声をかけられた

現場観察をしていてよく見かけるのですが、こうやって作業開始後、30分くらいで上司から呼ばれたとき、けっこう多くの方が、無意識に舌打ちをしている。

この印象が非常に悪い。これだけで評価を落とされている人も現実にいたりするわけです。もちろん、本人にはまったく悪気はないし、上司から信頼されてない理由にも心当たりがない。

なぜ、舌打ちをするのか。
もし、私たちの脳みそがこういうかたより富士山のような働き方をしているのならば、声をかけられた部下にとっては、仕事はこれからが本番というタイミングであること。
言い換えれば、ここで中断するということは、せっかく立ち上げてきたこの30分なり1時間が無駄になる。

ここは助走に過ぎないし、たいしてはかどっていない。
だから、すごく残念な気分、損した気分になって、つい舌打ちが出る。

できるだけ大きな固まりとして時間を使った方がいい。
仕事はまとめてやった方が集中できるし、効率がよいという一般的な思い込みは、単なる思い込みではなく事実であるという結論

私たちの脳みそは富士山型のような風には動いていない。
自分の脳みそに対する誤解を解くことが、効果的に時間を使えるようになるためには欠かせない。

では、私たちの脳みそがどんな感じで働くのか

スタートはまあどこでもいいんですが、やはりいきなりピークではない。
真ん中よりも少し下というところ

一気に仕事の要領をつかみ、集中力も高まり、処理量が飛躍的に上がっていく。
だいたい5分から10分くらいで、完全に仕事に入り込んでいくのが普通

間違っても30分もかかることはない
もし、はじめの5分から10分で仕事がはかどらない場合、よっぽど気が乗らない仕事か、難解で進めようがないかいずれかなため、カーブが上に向くことはないため、底辺を這いつくばる。

その場合は進まない原因をしっかり分析してから、仕切り直した方がいいということになる

5分というのは、実は結構いろんなことができてしまう長さ。
テレビを見たり、雑誌を読んだりというように、受け身で消費するだけならあっという間に感じている時間ですが、能動的に生産活動に向けると、全く感じ方が異なる。

5分から10分という時間の価値が思ったよりも高く、同時に私たちの脳みそが思ったよりも優秀だというカーブでここまで来た

しかし、このままピークを維持してくれるのかというと、そういうわけではない。

私たちの脳みそは、私たちが思っているよりも優秀なんですが、一方で私たちが思っているほど働き者でもない。生存のための最重要器官ですから、できるだけ温存したい。それが人間の本能。ここから脳みそはどう働くか。

「4時間かぁ、4時間ねぇ……」と呟きながら、ぐいぐいと下げていく。真ん中のラインも通りすぎて、ずいぶん下の方まで引き下げたあと、「4時間だったら、このくらいかな?」と、言いながら、ようやく下降線を止めて、水平に戻す。

1時間くらい残したところで、また脳みそは残り時間に気づく。あれ? あと1時間か。残りの仕事は? あら、結構残ってるぞ。あと1時間だったらもう少し頑張れるなあと気づいて、ラストスパートをかける……で、ゴール!

はじめはけっこう調子よくはかどっていたのに、気がつくとなんだかスランプに陥ったかのように、はかどらない。そんなことがないか?

あらゆる資源の活用に当てはまる原理原則がクラスタリング
お金や空間よりも、時間で使うと、この脳みその効果も手伝って、飛躍的に生産性が上がる
単に通常うまく使えていない、細かい時間が有効に活用できるというだけでなく、そういう細かい単位で時間を使うことで、その間の生産量も高まる。

なのに、現場ではまったく逆の思い込みで、抵抗されてしまう

まず、私たちが働きかけるのは、仕事にかかる所要時間の見積もりを立てる訓練
普通、多くの人はこれができない。
「この仕事はどのくらいの時間でできそうですか?」とたずねても、答えられないか、答えられても当たらない。

事前に仕事の見積もりを立てて、実績と照らし合わせて次回の見積もりの精度を上げるなんていうことは、普通求められないから。

自分が張り付いたターゲット社員の方が、誰かから仕事を引き受けるたび

「それってどのくらいかかりそうですか?」と声をかけて、見積もりを立てる癖をつける

仕事の開始と終わりに時刻を告げて、「今回は何時間何十分でしたね、見積もりよりも何十分早くできましたね。」ということを伝える

3回から4回やると、だいぶ見積もりが当たるようになって来る。

見積もり自体はあくまで予備動作で、見積もりが当たるようになってからが本番

少し時間がかかりそうな仕事が発生したら、いつものように見積もりを聞きく。いま課長から頼まれたその資料、どのくらいかかりそうですか? 3時間半くらいかかるんじゃないかなぁ。

時間が当たる共有ができていると、お願いごとをする。実は、うちのプロジェクトマネジャーからみなさんに実験に協力していただくように言われてるんですが、お願いできませんか? なに? 面倒なことはいやだよ。

こんな会話ができる程度には人間関係を作っておくこと。

実験は、例のクラスタリングの実践。

「今日、これから最初の来客まで30分空いてますよね。それからそのあと昼休みまでの数十分。あとは午後の来客の合間の40分くらいと、その後、終業までの30分。合計で2時間くらいありますよね。その時間を使って、この3時間半くらいかかる仕事に取り組んで、どのくらいはかどるかを計測させていただきたいんです。」
と、まあこんな感じで頼み込む。

それを実践しているのを確認しながら、その日も1日張り付く

最初は、仕方がねぇなぁ、とか言いながら手をつけるんですが、さきほどのホワイトボードに書いたように10分くらいで急速に仕事にのめり込んでいく。集中して仕事をしていますから、本人の意識としてはあっという間。

30分経って、来客が来たという連絡を受けると「ほら、せっかく乗って来たのに、すぐ中断じゃん!」とかブツブツ言う。

一方で、「まぁ、そうはいっても、結構はかどったからラッキーだったな」とも言ってる

切りが悪いところで中断されると、もったいないと思う。ここで続けていたらもっとはかどったのに。
でも、意外とはかどっている。同時に、実はそれから続けられたとしても大してはかどらない。

中途半端なところで終えてしまうと、続けてたらもっとはかどったのにという単なる想定を、事実と思い込んでしまう。
それと比べて、30分ではかどった実績を軽視してしまう。

私たちは無意識に2、30分の時間を軽視して無為に過ごしてしまう。
そういう傾向があるんだ、ということを自覚して、その2、30分を自覚的に使うことが、生産性を飛躍的に高めるということにつながる。
クラスタリング……細かく資源とその用途をマッチングすること。

それによって、スキマを最小化すること。
時間の場合は、そのスキマの時間が埋まる以上の効果がある

こんな時間で手をつけてもはかどらないよ、という時間を使って、切りが悪くてもいいから、できるだけ進めてみる。

で、どのくらいはかどったかをきちんとチェックして、その効果を検証する

半信半疑で実験して、その効果を確認していただいた方が、結果的に自分のものになり、習慣として定着する

参考:
実践! タイムマネジメント研修: より少ない時間で、より高い成果を出すために 実践シリーズ

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