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【備忘録】人間関係を言語化するアプローチ: 信頼関係と動機づけの基礎 ~実践!チームマネジメント研修①~ 

日常の言語化と交流

『まずは自分たちの日常を言語化するところから始めましょう』
講師は、各チームにマジックと模造紙を配り、日常のやりとりを振り返る作業を指示した。模造紙の中央に線を引き、左側には**「仲が良い人とのやりとり」、右側には「仲が悪い人とのやりとり」**をそれぞれ書き出す。

  • 仲が良い人とのやりとり: 笑顔で挨拶、気軽な声かけ、肩を叩くなど。

  • 仲が悪い人とのやりとり: 陰口、無視、冷たい対応など。

作業の進め方 書記役を決め、リアルタイムで意見を記録することが求められた。講師は、「時間内に清書しようとすると失敗することが多い」と説明し、リアルタイムの記録が重要であることを強調した。

共有とフィードバック

「他のグループの模造紙を見て回る」 参加者は赤いマジックを持ち歩き、「激しく同意できる項目」にビックリマークをつけるよう指示された。これにより、仲が良い人とのやりとりには自然とビックリマークが多く付くようになり、人間関係の本質が可視化されていった。

交流と人間関係の相互関係

「模造紙に書かれたやりとりと人間関係のどちらが先か?」
講師は問いかけた。
結論として、**「交流があってから人間関係が形成される」という事実を指摘し、「交流→人間関係」**の順序であることを説明した。

人間関係のセルフコントロール

相手との交流をコントロールするアプローチ 人間関係をセルフコントロールする際、まず考えられるのは自分自身の働きかけや交流のあり方をコントロールすることである。特に、相手の言動をコントロールするのは難しいため、自分のアプローチに焦点を当てることが第一歩となる。

キーワード: 交流分析 『交流分析』という言葉に注目し、これを強調するよう指示された。交流分析は心理学の一分野であり、人間関係を改善するための重要な考え方である。

ストロークの意味と重要性

ストロークの定義 「ストローク」とは、相手への働きかけを表す心理学用語であり、肯定的なもの(肯定的ストローク)と否定的なもの(否定的ストローク)に分かれる。

肯定的ストロークの例 肯定的ストロークの代表的な例としては、ほめる、賛成する、うなずくなどが挙げられる。これらは相手に前向きな感情を伝え、相手を肯定する働きかけである。また、ほほえみかける、明るくあいさつをするなど、日常的な些細な行動も肯定的ストロークに含まれる。

特に強い肯定的ストローク: 話に耳を傾ける

『話に耳を傾ける』 このストロークは、特にビジネスの場で非常に重要なテクニックである。多くの人が意識せずに軽視しがちだが、相手の話を真剣に聞くことは強力な肯定的ストロークとなり、相手との関係を深める。

ディスカウントの危険性

ディスカウントとは ディスカウントは、相手を値引きするような行為であり、人間関係を悪化させる原因となる。与えるべきストロークを与えない、もしくは間違ったストロークを与えることで、ディスカウントが発生する。たとえば、無視することが典型的なディスカウント行為である。

無視の効果 相手の話を聞かないこと、つまり無視することは、強いディスカウントとなり、人間関係を著しく損なう。逆に、話を聴くことが強力な肯定的ストロークになる。

ストロークの役割

肯定的ストロークは心の栄養素 『交流分析』の文献によると、肯定的ストロークは、食べ物と同様に人の成長に必要な栄養素である。これにより、相手の気持ちは前向きになり、動機付けが高まり、健全な人間関係が形成される。

ストローク経済の法則

肯定的ストロークの抑制 『ストローク経済の法則』では、私たちは成長過程で肯定的ストロークを与えるのをためらう癖がついてしまうことが指摘されている。クロード・スタイナーがまとめたこの法則には、次の五カ条がある。

  1. 与えるべきストロークがあっても、与えてはいけない

  2. 欲しいストロークを要求してはいけない

  3. 欲しいストロークを与えられても、受け取ってはならない

  4. 欲しくないストロークを与えられたら、拒否してはならない

  5. 自分自身にストロークを与えてはいけない

ストロークの抑制と親子関係 子供が成長するにつれて、親はストロークを条件付きの報酬として与えるようになり、肯定的ストロークの出し惜しみが始まる。これが繰り返されるうちに、子供はストロークに対する抵抗心を持つようになり、与えられたストロークを素直に受け取れなくなっていく。

ストロークのセルフコントロール

自覚的にストロークを与えることの重要性 この抑制されたストローク習慣をリセットするためには、自覚的にストロークを与え、受け取る努力が必要である。意識的に肯定的ストロークを与えることで、徐々に相手との関係が改善されることが期待できる。

ストローク貧者との関係改善 ストロークを受け取ることに慣れていない相手、いわゆるストローク貧者には、効果が現れるまで時間がかかることもある。しかし、繰り返しストロークを与え続けることで、心に栄養が満ち、警戒心が解けていくケースが多い。

ペアワークによる実験

肯定的ストロークの実践 ペアワークでは、肯定的ストロークを意識的に与える演習が行われる。まずは勝者が2分30秒、最近あった楽しかったことを語り、敗者が肯定的ストロークのスタイルで耳を傾ける。このように意識的に肯定的ストロークを与えることで、相手の反応や気持ちが変化していくことを実感できる。

肯定的ストロークでの話の聞き方

肯定的ストロークを与える聴き方 肯定的ストロークで話を聞くというのは、相手の話や相手そのものに興味があるという前向きな想いを伝える聴き方である。このような聴き方には、体の姿勢や状態が大きな影響を与える。たとえば、上体を相手に向けて開き、相手にお腹が見えるような体の向きが理想的である。

  • 体の傾きも重要で、相手に向けて少し体を傾けることで、関心がある印象を与える。

  • 背筋を立てることも忘れず、腰や骨盤をしっかりと立てて、前のめりにならないようにする。

姿勢の工夫 座り方にも工夫が必要で、椅子に浅く座り、足を椅子の下に引き込むことで、自然に背筋がまっすぐに保たれる。

声を出して反応する また、無言の頷きは肯定的ストロークの効果が低いため、声を出して反応を示すことが重要。あいづちや笑顔を交えながら話を聞くことで、相手に対して積極的な関心を伝えることができる。

否定的ストロークとディスカウント

ディスカウントの定義 ディスカウントとは、相手を値引きするような行為であり、相手に自分が大事にされていないと感じさせるものである。これにより、相手との関係は悪化し、人間関係を損なう原因となる。

否定的ストロークとの違い ディスカウントは否定的ストロークと異なり、相手を低く見たり、価値を減じたりする行為を指す。たとえば、相手を無視したり、過小評価することで、相手に対してネガティブな印象を与えることになる。

否定的ストロークの必要性

否定的ストロークも重要 否定的ストロークは、言いにくいことをはっきり言ったり、注意すべきことをきちんと注意することで、相手との関係を強化するために必要な行為である。これがないと、相手に期待されていない、放置されていると感じさせてしまうことになる。

ディスカウントとの違いを理解する 否定的ストロークは、相手を向上させるための前向きな働きかけであり、ディスカウントとは異なる。ディスカウントは、相手を軽視し、価値を下げる行為であり、関係を悪化させる原因となる。

否定的ストロークとディスカウントの使い分け

複雑な区別 否定的ストロークとディスカウントの使い分けは、一見微妙で複雑に思えるかもしれないが、ビジネスの現場ではシンプルにアレンジすることが重要である。具体的には次のように考えるとよい。

  • 否定的ストローク: 否定すべき言動のみを否定する。相手の行動や意識をポジティブなものに修正する前向きな働きかけ。

  • ディスカウント: 人格や存在そのものを否定・軽視する行為。これが人間関係を損なう原因になる。

否定的ストロークは必要

否定的ストロークの必要性 否定的ストロークは、相手のネガティブな言動を正すための前向きな働きかけであり、人間関係や動機付けを高めるために不可欠である。これを悪者と誤解せず、積極的に使うべきものである。

ディスカウントの影響

ディスカウントの悪影響 ディスカウントは、相手にネガティブな影響を与える行為であり、人間関係を壊す要因となる。ディスカウントを与えられた人は、ネガティブな気持ちが芽生え、それによってさらに相手にディスカウントを返すことになる。これが悪循環を生む。

ストローク経済の法則とその打破

ストロークの循環 ストローク経済の法則は、ストロークを受け取った人がそれを返すという仕組みである。肯定的ストロークを与えられた人は前向きになり、さらに肯定的なストロークを返すようになる。しかし、ディスカウントを受け取ると、相手に対してネガティブな反応が生まれ、結果として人間関係は悪化する。

人間関係のセルフコントロール

ストロークの意図的コントロール 人間関係をコントロールする第一歩は、自分がどのようなストロークを与えているかを意識的にコントロールすることである。肯定的ストロークを与えることで、相手の反応が変わり、良好な関係が築かれる。

実験の課題: ストロークのセルフコントロール

明日までに取り組むべき実験 肯定的ストローク、否定的ストローク、ディスカウントの概念を理解するだけでなく、実際に行動に移して体感することが重要である。そのため、以下の実験に取り組むことが推奨されている。

実験のステップ

  1. 自分の働きかけを分析する 日常的な交流の中で、自分がどんな姿勢や表情で相手に対応しているかを意識する。それが肯定的ストロークになっているか、ディスカウントになっているかを振り返り、言葉にして分析する。

  2. ディスカウントを肯定的ストロークに変える 気づいたディスカウントを、意図的に肯定的ストロークに変えてみる。これにより、相手の反応がどう変わるかを観察する。

  3. 継続して観察する 何度も試して、相手の反応がどう変わるかを客観的に観察する。短期間で変化が見られる場合もあれば、時間がかかることもある。

アプローチのポイント

  • 複数人に試す 二、三人に試すことで、効果の違いを比較できる。

  • ストローク貧者との対話 相手がストロークを受け取りにくい「ストローク貧者」である場合は、アプローチを何度か変えながら継続して試すことが大切である。

実験を通じて、ストロークを意識的にコントロールし、相手との人間関係を改善していくことが目的である。試行錯誤しながら取り組む姿勢が求められる。



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