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『ドミノ』

抗がん剤治療8日目。
身体はすこぶる調子がいい。副作用も僅かしかない。しかし、明日もすこぶる調子がいいとは限らない。この手の薬には波がある事を忘れてはならない。私は半年前にそれを学んだのだ。

抗がん剤治療とは、ひとつひとつドミノを慎重に並べていくようなものなのかも知れない。ちょっとした気の緩みでどどどどどどどっと、これまで積み重ねてきた治療効果がドミノ倒しのように悪い方へ崩れていくこともある。
いま、私はバイクで遠出に行きたくてうずうずしている。けれど、1,2週目の抗がん剤投与期間は気分転換程度のツーリングに留めて、3週目の回復期間以外はロングツーリングには行かないと決めた。どうだっ(何を偉そうに、それはあたりまえだ)。

また、計画的にドミノを並べきった後の始末の問題もある。
あくまでも、ドミノを並べきった安定状態の維持に努める事をゴールとするのか(終末医療、緩和ケアなど)。それとも一か八かでドミノを倒すのか(手術など)。倒しきった後のドミノは私に何を見せるのか。私は、そんな決断をいつかしなければならないのだろう。

抗がん剤治療中は免疫力がおちているそうで、白血球の値も右肩下がりであるらしい。当然、細菌類の身体への侵入も容易になっている。
先日、私は気の緩みから『マルガリッタ』頭になった。どう考えても、もう1週後にずらすほうがよかった。『マルガリッタ』は悪手だった。
だって、今週寒いもん。風邪ひいて、肺炎にでもなったらアウトだもん。厚着して用心しよう。

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