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『5クール。107日目』

5クールに入った。このクールでひとつの区切りを迎える。学期末のようなものだ。5クール後のCT検査で落第するかも知れない。大小6の肝臓に転移した癌は果たしてどうなっているのだろうか。大きくなっていたり、増えていたりするとしたら、数か月分の医療費は『ぱぁ』に等しい。「この抗がん剤は効かなかったようだね」、とはすんなりいかない。私は貧乏なのだから。もともと『がんかわいがり』とは博打なのだ。それは理解しているが、せめて現状維持であって欲しい。無駄骨では、私の尻がかわいそうだ。

貧乏であるはずの私は2万円の医療費を見て「安いなぁ」と思ってしまっている。これは異常だ。今月は二度の通院で6万くらいかかっている。冷静にならなければならない。先発医薬品の医療費を一度、体感したせいだ。
私の学期末テスト(CT検査)は7/19日で、結果発表は7/24日になった。時期的にも、学生の生活と重なっているのは偶然にしては面白い。新たな告知があるかも知れない。

さて、血液検査だ。前回のクールよりは摂生して過ごした。その結果だ。

①癌転移が疑わしい。2024/02/13日
②肝臓に癌転移発覚後。抗がん剤治療開始前。2024/03/12日
③抗がん剤治療1クール終了後。2024/04/02日
④抗がん剤治療2クール終了後。2024/04/23日
⑤抗がん剤治療3クール終了後。長い休薬期間開け。2024/06/04
⑥抗がん剤治療4クール終了後。2024/06/25。
⑦基準値(下限値~上限値)
AST(GOT) ①76 ②44 ③23 ➃20⑤42➅30⑦3~30
ALT(GPT)  ①99 ②55 ③20 ➃19⑤35⑥29⑦9~41
LD(IFCC)  ①360 ②454 ③223➃170 ⑤187⑥234⑦124~222
ALP(IFCC) ①95 ②91 ③68 ➃69⑤145⑥96⑦38~113
γ-GTP ①343 ②216 ③81 ➃51⑤256⑥142⑦9~64

概ね、いい。のか。どうだろう。おそらくこの数字は体重を2~3㎏落とせば、基準値に収まるだろう。色々私なりの実験のせいで、体重がなかなか60㎏台に乗らないのが原因だ。

ああ、なんてことだ。私はクズ人間ではあるものの、正直者でもある。白状しよう。いま、私は二連発でくしゃみをした。そして、5クール目初日の今日、この瞬間に漏らしたかも知れない。一方で室温の高さでワセリンが融解したのかも知れない。くしゃみがきっかけであることから、ワセリンの可能性は薄い、はずだ。私は尻を無視した。私には切実な事情があった。

私はベッドの上から横寝ひじつき右手一本で文章を書いている。尻はぬるっとしている。それと、同時に私は鼻血を盛大に飛ばしてもいた。パソコンが血まみれになっている。グロくて披露出来ない。

だから、私は逡巡している。そして枕元のウェットティッシュにそろりと手を伸ばした。私はパソコンを優先した。血まみれのパソコンはいかにもまずい。キーボードの隙間に鼻血が潜り込もうとしている。私は冷静に、パソコンを拭きながら鼻に詰め物をした。と、同時に文章も書いている。ひと段落した後に書いているわけではない。尻のぬるぬるは5分放置している。ベッドには垂れていないのは確認済みだ。
さあ、どっちだ。私は横寝のままウェットティッシュを鷲掴みにして、ぺろりと尻を拭いた。そして、やはり、とうぜん、あたりまえに、ごくふつうに、漏れていた。一時文章を中断して、やるべき事を片付けよう。

私はやるべき事を果たした。見事なものだ。まるで、こんまり氏が憑依したようにテキパキと、部屋を何事もなかったように片付けて、パンツを洗った。48時間の『飴と共に腹下りは去りぬ計画』は、一部成功して、一部失敗したようだ。もうすこし、分析が必要だ。

このような文章を書くことに抵抗を示す者もいるだろう。読みたくない者もいるだろう。しかし、私は書く。この文章は公共の利益になると思っているからだ。どこかの、県警とは違うのだ。ウェットティッシュでもみ消す事もできた。私はこれからも、あるがままに恥をさらして書く。
この経験は語られるべき事象なのだ。私は、正直者でありたい。私は『がんかわいがり』の語り部だ。遠野物語のおばあ様方と同じなのだ。奇妙で珍妙な語り部としてこれからも書いていきたい。

そして、皆に問いたい。鼻血と尻漏らし、自分ならどちらを優先するのかと。




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