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エッセイのほう

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野蛮で図々しくてくだらないことを書いています。400字~2000字くらいでしょうか。
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#エッセイ

『ほう』

「ほう」と感心してみましょう。 何ごとも「ほう」から始めてみましょう。「ほう」には含みが持たせてあります。一例をあげましょう。「ほう」と言いながら、その間に脳をフル回転させて見ましょう。二の句が出てこない時の時間稼ぎの「ほう」です。そのわずかな時間で失言も防げるでしょう。 また、よりよい対人関係づくりの為の一歩だと思って、毎日トーンを変えて「ほう」の練習を心掛けてみましょう。リラックスして反響する風呂場がいいのではないでしょうか。そこから、メロディーが出てきたら儲けものです。

『真夏。休薬期間中。136日目』

毛玉だらけの敷きパッドを変えた。ストレス氏が何処かへ行った。 暑さは半ば居残ったままだ、どうやら夕立はギリギリ北を通り、我が家には立ち寄らなかったようだ。暑気が廊下でむんとしている。 この二日間は、腹いっぱい食べる実験をおこなっていた。腹いっぱい食べることによって、腹圧で肝臓がんの自覚症状がでるのか知りたかったからだ。結果的に自覚症状は現れなかった。もう、食べたいものはない。イカの刺身をちょろっと食べたいだけだ。 もう、だいたいわかった。痩せよう。痩せたほうが調子がいい。

『真夏。休薬期間中。135日目』

久しぶりに牛丼を食べた。きっと数年ぶりだろう、美味しかった。 癌発覚から一年。もう、過剰な食事制限は止めた。ほどほどにストレスのない食事でいいだろうと思うようになった。この私の心模様と食事の変遷は、自由気ままだ、何処までも転がる。ただ、飲酒は止めた。これは当分変わらない。 バイクに火を入れたい。が、酷い暑さでそれが出来ない。日帰りツーリングに行きたいけれど、私の体力で何百㎞走れるかもわからない。高確率で夕方の雷雨に出会う。 四十分もあれば、赤城山の中腹までは軽く行ける。そこ

『真夏。休薬期間中。134日目』

昼飯を食べて、いま起きた。午前一時前だ。シャワーは、朝でいいだろう。 一年前のこの時期、私はぎりぎり働いていた。盲腸と癌を患いながら、午前中だけ、お盆休みの前までは働いていた。はるか昔のように感じる。 日曜日はきっと猛暑だったのだろう。私は寝ていたので知らない。午前中、とうとう紐を二階の壁際のヒサシに括り付けた。これで、窓を覆えるはずだ。あと、二月半くらい、ゴーヤカーテンは活躍してくれるはずだ。やるつもりはなかったのだ。今週からの天気予報にびびった側面もあるし、猛暑による電

『真夏。休薬期間中。133日目』

真夏のベランダのアルミニウムの手すりが熱すぎる。ゴーヤの葉がつぎつぎに枯れていく。紐を使ったほうが良かった。私はツーリングキャンパーでもあるので紐ならいくらでもあったのだ。 もう、七月末だ。間に合わない、今年は諦めよう。バケツのプランター栽培も群馬の二階のベランダの環境では過酷すぎる。紐であったなら、今頃はしっかりカーテンの回廊が出来ていたはずだった。 それでも、十センチほどの実がいくつか梅雨の間に成っていた。二階のベランダにも受粉を媒介してくれる虫がやってきてくれていた

『真夏。休薬期間。132日』

暇で、つい『X』を覗いてしまった。相変わらず罵詈雑言であふれていた。 体操選手が喫煙、飲酒でオリンピックを辞退したそうだ。おじさんの擁護が溢れていた。私見を述べると、ナショナルトレーニングセンターでも飲酒をしていたそうだから、これは彼女自身の命にかかわる大事故になる可能性もあった。見ての通り体操競技は危険で溢れている。飲酒していなくても、命に関わる大事故につながっていたかも知れない。もうすこし、早く発覚していれば良かったのだろうが、そうであれば一年謹慎とかで済んだのではないか

『真夏。休薬期間中。131』

ひと段落ついた。病院までの往復30分を歩く事が出来た。検査結果は一週間後に解る、私はこれをあまり気にしていない。やることはやったのだ、あとはどうでもいい、いわば運だ。何度も書くが、抗がん剤治療をしながら働いている人を尊敬している。私には到底できないことだ、100M走を9秒台で走れという具合に無理だ。体質もあるのだろうが「無理だ」ということで十数年ぶりに爆風スランプをechoにオーダーして聴いている。 爆風スランプのなかに好きな曲があったのだけれど思いだせない。 『鹿賀丈史 

『休薬期間中。初夏、124』

昨日書いたものは、朦朧としたまま書いた。それも、がん患者の現実だと思うので、そのまま残そう。読み返してもいない。昨日の私の調子が20だとしたら今日の私は30はあるだろう。昨日の夕飯は桃の缶詰を半分、その残りを朝飯にあてた。食べすぎと飲みすぎは吐き気の原因になる。こんなにすうっと自然に吐いたことなどなかった。草津温泉の湯畑のようにいともたやすくじゃーじゃーと出た。何の抵抗もなかった。抵抗がないということは、前ぶりなくいきなり来るということだ。 もうすぐ花火の季節だ。「吐き屋~」

『休薬期間。初夏』

休み休みではあるものの、5クールをやり遂げた。尻に負担をかけながら、意地で減薬を断って、体表面積から算出される最大量の抗がん剤の服用も出来た。ほっとしている。あと数日で『腹下り』も収まるだろう。今月は、もう、絶対に抗がん剤を服用しない。3クール連続は私には無理だ。今月は検査だけだ。絶対に、絶対に、絶対にだ。 私は、いま、深夜2時にフィッシュマンズを聴いている。すこしばかり切なくなった。なぜだかしらないが、涙があふれている。今夜は『腹下り』の代わりに『涙下り』が起こっている。

『5クール。121日目』

率直にいって、5クール目は一番辛かった。 夕食時にあと3錠の抗がん剤を服用すればいい。ただでさえ、梅雨に弱い私のすべてのバロメーターが目減りしている感覚だ。果たして体調は戻るのだろうか。私の絶不調時にはサンタクロースが頭の中に現れる。プレゼントはない。ヘビー級のサンタクロースが鈴を鳴らしながらサンドバッグを叩き続ける。それが、昨夜だった。眠れたのは3時だ。 さて、今日で5クールを閉めて、121日間の『がんかわいがり』の効果と長い休薬期間と検査という未知数の領域に入る。場合に

『5クール。120日目』

実は、3日くらい前から『腹下り』が始まっている。アメリカ方式で下痢止めを飲んでいるのに、効果がない。お手あげだ。両尻に2枚、腹に1枚ホッカイロを貼っている。両尻の熱で肛門を挟み撃ちにして、ヒリヒリ感を和らげて、その周辺の血流をよくする作戦だ。 しかし、明日で抗がん剤の服用は終わる。今月は、もう安心だ。 都民にたいしてひと言いいたいことはあるが、私は群馬県民なので、それを控えよう。東京の白狸も群馬の黒狐もおなじようなものだからだ。やれやれ、という他ない。けれど、2位の者が当選

『5クール。119日目』

七夕の想いでなど、ひとつもない。 ただ、2023年の今頃に盲腸がんが発覚した。とうとう、1年、生きのびた。がん発覚から、手術するまでには二月弱くらいの時間が経っていた。間に、お盆休みがあったからだ。「万全の体制で臨みたい」、そう、主治医は言っていた。人間には休みが必要だ。それでいい。 今日は、二階の部屋には居られない。いや、居られないわけではない。私は耐えられる。しかし、スマホやパソコンが熱暴走しては困る。また、布団が汗でびっしょり濡れるのは勘弁願いたい。 そんな理由から、

『5クール。118日目』

来週の火曜日で5クール目をいったん区切ろう。それから、長い休薬期間に入る。7/19日にCT検査があり、7/26日にその結果が判明する事になった。このことから、7月は10日から自由の身になれる。体調が許せば、バイクで何処かへ行けるかも知れない。20日~25日あたりがいいなと思っていたら、世間は夏休みかもしれない。私は、未婚の子無しなので学生事情に疎い。いつから夏休みに入るのだろう。 さて、私は抗がん剤治療により随分変わった。大のサッカーファンの私がユーロ2024を一試合も観て

『5クール。117日目』

『腹下り』の対策に毎日ブドウを食べていた。意外に高いな、と思い始めている。1パック300~500円くらいする。要はタンニンを摂取したいだけなのだ。私は、タンニンを手軽に腹に入れさえできればなんでもいいのだ。明日から100%のグレープジュースに移行してみよう。 最近は砂糖の代わりにオリゴ糖を使用している。私の腹加減をみるかぎり、オリゴ糖と私の相性も悪くないようだ。我が母の故郷の習慣では、トマトに砂糖をかけて食べる。私も幼少の頃からそれに倣っていたのだが、こちらもオリゴ糖に変え